【1】書式概要
この副業・兼業実績報告書は、労働基準法の改正に完全対応した月次報告用の書式テンプレートです。現代の働き方改革により副業・兼業が一般的になった今、企業と従業員双方にとって適切な労働時間管理が必要不可欠となっています。
本書式を使用することで、従業員は毎月の副業・兼業活動を正確に記録し、会社へ適切に報告することができます。特に1日8時間、週40時間の労働時間制限を超過した場合の管理が重要で、この書式には超過の有無を明確にチェックする項目が設けられています。
実際の使用場面としては、月末締めでの定期報告、人事部への提出資料、労働時間の自己管理ツール、監査対応書類などがあります。また、副業先との契約形態(雇用契約か業務委託契約か)も明記できるため、税務処理や社会保険の手続きにも活用できます。
この書式はWord形式で提供されており、各企業の実情に合わせて項目の追加や修正が自由に行えます。手書きでの記入はもちろん、デジタル入力にも対応しており、現代のペーパーレス化にも適応しています。労働者の健康状態確認欄も設けられているため、過重労働の防止にも役立ちます。
【2】解説
【基本情報欄】
所属・社員番号・氏名
本業での所属部署、社員番号、氏名を正確に記入します。人事システムと照合される重要な識別情報のため、略称ではなく正式名称での記入が必要です。例えば「営業部」ではなく「第一営業部第二課」のように具体的に記載しましょう。
副業・兼業先会社名
副業・兼業を行う会社の正式名称を記入します。個人事業主との契約の場合は屋号または個人名を記載してください。契約形態については「雇用」か「請負(業務委託)」のいずれかを選択します。雇用契約の場合は労働者として扱われ、請負・業務委託の場合は個人事業主として扱われるため、労働時間の計算方法や社会保険の取り扱いが異なります。
【期間・時間管理欄】
実施期間
報告対象月の具体的な稼働期間を記入します。月の途中から開始した場合や、一時的に休止した期間がある場合は、実際に業務を行った期間のみを記載してください。例:「2024年4月15日~2024年4月30日」
月間労働日数・時間数
副業・兼業先での実労働日数と総労働時間を記入します。休憩時間は除外し、実際に業務に従事した時間のみをカウントします。在宅勤務の場合でも、実際の作業時間を正確に計測することが重要です。例えば、1日4時間×週3日×4週間=48時間といった計算になります。
【労働時間超過確認欄】
1日8時間超過の有無
本業と副業・兼業を合算して1日8時間を超えた日があるかどうかを確認します。例えば、本業で8時間勤務後に副業を2時間行った場合は「有」となります。この超過分については、労働基準法上の時間外労働となる可能性があり、適切な管理が必要です。
週40時間超過の有無
同様に、1週間の総労働時間が40時間を超えたかどうかを確認します。土日に副業を行う場合でも、月曜から日曜までの7日間で計算します。例えば、平日の本業40時間+土日の副業8時間=48時間の場合は「有」となります。
【変更・健康管理欄】
事前届出との相違
事前に提出した副業・兼業届出書の内容と実際の業務内容に違いがあったかどうかを記載します。業務内容の変更、勤務時間の大幅な増減、契約形態の変更などがあった場合は「有」を選択し、別途詳細を報告する必要があります。
現在の健康状態
副業・兼業による過重労働を防ぐため、現在の体調や健康状態を簡潔に記入します。「良好」「やや疲労気味」「体調不良なし」などの表現で構いません。継続的な疲労や体調不良がある場合は、労働時間の調整を検討することが重要です。
【添付書類について】
労働時間が法定時間を超過した場合は、副業・兼業先のタイムカードやシフト表、業務日報などの客観的な勤怠記録を添付する必要があります。これらの書類は労働基準監督署の調査や社内監査の際に重要な証拠資料となります。デジタルデータの場合はプリントアウトして提出するか、PDF形式での提出が求められる場合もあります。
この報告書は単なる形式的な手続きではなく、労働者の健康と権利を守るための重要な管理ツールです。正確な記入により、適切な労働環境の維持と法令遵守を実現できます。
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