Q1. 非上場会社が自己株式を取得する目的は何ですか?
主に以下の目的で実施されます。
- 株主への現金化機会の提供:非上場株式は市場での売却ができないため、会社が買い取ることで株主に換金の機会を与えられます
- 株式の集約:分散した株式を会社に集め、株主構成を整理できます
- 議決権比率の調整:自己株式には議決権がないため、残った株主の議決権比率が相対的に高まります
実質的には株主への資本払い戻しと同様の効果があり、会社資金を活用した株主政策・資本政策として活用されています。
Q2. 自己株式を取得する際の手続きはどうなりますか?
非上場会社では、全株主を対象とする方法(ミニTOB方式)か、特定株主から取得する方法が一般的です。
- 株主総会決議:取得価額の総額、株式数、種類などを決議します。全株主対象なら普通決議、特定株主からの取得なら特別決議が必要です(特定株主からの取得の場合、他の株主には売主追加請求権があります)
- 取締役会決定・通知:具体的な取得株式数、価格、期間を決定し、全株主に通知します
- 申込み・承諾・支払:株主からの申込みを受け、会社が承諾・支払・株式移転を行います。申込みが超過した場合は按分比例で振り分けます
Q3. 取得できる金額に上限はありますか?
あります。自己株式取得は「分配可能額」の範囲内で行わなければなりません。
分配可能額は、取得の効力発生日の直前事業年度末の貸借対照表をもとに、概ね「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」の合計額から自己株式の帳簿価額を控除した額となります(会社法446条・461条2項)。
Q4. 取得した自己株式は会計上どう処理しますか?
自己株式は資産ではなく、貸借対照表の純資産の部において取得価額をマイナス表示します。結果として、純資産が減少することになります。
Q5. 株式を売却した株主にはどのような課税がありますか?
みなし配当課税と譲渡益課税の2つがあります。
譲渡対価のうち、会社の「資本金等の額」に対応する部分を超える金額は「みなし配当」として扱われます。これは利益積立金を財源とした支払いとみなされるためです。
Q6. みなし配当にはどう課税されますか?
個人株主の場合:配当所得として原則、所得税の総合課税および住民税の対象となります。総合課税は累進税率のため、みなし配当が高額になると配当控除を適用しても税負担が重くなることが多いです。
法人株主の場合:益金に算入されますが、「受取配当等の益金不算入」制度の適用対象となります。
Q7. 譲渡益にはどう課税されますか?
譲渡対価からみなし配当を差し引いた金額と、株式の取得費との差額が譲渡損益となります。
個人株主の場合:申告分離課税(税率約20%)の対象です。
法人株主の場合:益金に算入され、法人税の対象となります。
Q8. 相続で取得した株式を会社に売却する場合、税制上の特例はありますか?
あります。相続または遺贈により非上場株式を取得した個人が、一定の要件を満たし、相続税申告期限の翌日から3年以内に発行会社へ譲渡した場合、みなし配当課税は行われず、全額が譲渡所得課税として扱われる特例があります。