規程に書いていない細かいことは、責任者が別途ルールを作れるという条文です。たとえば具体的な書類の分類方法や台帳のフォーマットなど、実務レベルの詳細を柔軟に決められます。
【4】活用アドバイス
まず自社の状況に合わせてカスタマイズすることが大切です。部署名や役職名を実際の組織に合わせて書き換えてください。別表の保管期間も、業種によって必要な書類が違うので、自社に関係のある書類を追加しましょう。
導入時には、いきなり全部門で始めるより、総務部や経理部など重要書類を多く扱う部署でパイロット運用するのがおすすめです。実際に使ってみて問題点を洗い出してから、全社展開するとスムーズです。
文書管理台帳はExcelなどで作成すると検索や集計が簡単です。書類番号の採番ルールも最初に決めておくと、後々管理しやすくなります。たとえば「部門コード-年度-連番」といった形式ですね。
電子データの管理については、クラウドストレージを活用するのも一つの方法です。アクセス権限を設定しやすいですし、バックアップも自動化できます。ただしセキュリティ面では信頼できるサービスを選ぶことが重要です。
定期的な見直しも忘れずに。法律が改正されて保管期間が変わることもありますし、新しい書類が増えることもあります。年に一度は規程を見直して、実態に合わせて更新しましょう。
【5】この文書を利用するメリット
第一に、法令違反のリスクを減らせます。保管義務のある書類を誤って捨ててしまったり、必要なときに見つからなかったりすると、税務調査や監査で指摘を受ける可能性があります。この規程があれば、何をいつまで保管すべきか明確になり、そうしたトラブルを防げます。
第二に、業務効率が上がります。書類の場所が分からなくて探し回る時間、本当にもったいないですよね。台帳で管理していれば、すぐに必要な書類を取り出せます。また、保管期間が過ぎた書類を計画的に廃棄することで、保管スペースも有効活用できます。
第三に、情報セキュリティが強化されます。機密情報や個人情報を含む書類の取り扱いルールが明確になるため、情報漏洩のリスクが下がります。万が一事故が起きても、対応手順が決まっているので迅速に対処できます。
第四に、組織としての信頼性が高まります。きちんとした書類管理体制は、取引先や金融機関、投資家からの評価にもつながります。特に上場準備をしている企業や、大手企業との取引を目指している会社にとっては、内部統制の一環として重要です。
第五に、属人化を防げます。「あの書類は○○さんしか知らない」という状態を避けられます。担当者が異動や退職をしても、規程と台帳があれば後任者がスムーズに業務を引き継げます。
最後に、社員の意識向上にもつながります。規程があることで、書類管理の重要性を全社員が認識し、日々の業務で注意を払うようになります。