【1】書式概要
この書式は、企業内で従業員が自主的に運営する部活動やサークル活動に対して会社が補助金を支給する際のルールを明文化したものです。野球部やテニス部、写真部、料理サークルなど、社員同士の交流を深める活動を会社として支援したいと考える企業が増えていますが、そうした支援を公平かつ適切に行うためには明確な基準が必要になります。
この規程があれば、どんな部活動なら補助金がもらえるのか、申請はどうすればいいのか、お金の管理はどうするのかといった点が誰にでも分かる形で整理されています。新しく部活動の支援制度を導入する場合はもちろん、すでに運用している制度を見直したい場合にも活用できます。Word形式で提供されるため、自社の状況に合わせて人数や金額、実施時期などを自由に編集することが可能です。
補助金の申請から承認、使用、報告までの一連の流れが盛り込まれているので、人事や総務の担当者が制度を運用する際の手間も大幅に軽減できます。従業員の満足度を高めながら、透明性のある福利厚生制度を構築したい企業にとって役立つ書式といえるでしょう。
【2】解説
第1条(総則)
この条文は規程全体の目的を示しています。部活動への補助金をどういう基準で出すのかを定めたルールブックであることを宣言する、いわば看板のような役割です。シンプルですが、この一文があることで規程の性格がはっきりします。
第2条(支給の条件)
補助金を受け取れる部活動の条件を並べた条文です。
まず(1)では、健全な目的と活動内容を持っていることが求められます。たとえば地域のボランティア活動に参加するサークルや、スポーツで心身を鍛える部活動などは該当しますが、ギャンブルを目的とした集まりなどは対象外になるでしょう。
(2)では最低限の人数が定められています。「●人以上」という部分は企業の規模に応じて設定します。たとえば5人以上としておけば、少人数でも真面目に活動する部が支援を受けられます。
(3)は組織としての体裁を整えることを求めています。会則があって、代表者や会計担当者がいるといった基本的な運営体制が必要です。これにより、お金の使い道が不透明になるリスクを防げます。
(4)では、実際に3カ月以上活動していることが条件になっています。申請だけして実態がないという事態を避けるための規定です。
第3条(補助金の申請)
申請の手続きを定めた条文です。第1項で、毎年決まった期日までに申請書を出すよう求めています。たとえば毎年3月末までに翌年度分を申請する、といった運用が考えられます。第2項では、第2条の条件を満たしていることを証明する書類の添付を義務づけています。会則のコピーや会員名簿、活動実績の写真などが該当するでしょう。
第4条(補助金の決定手続き)
誰が補助金の支給を決めるのかを明らかにした条文です。会社側の代表と社員側の代表で構成される「部活動委員会」が判断します。これにより一方的な決定を避け、公平性を保つ仕組みになっています。
第5条(補助金の決定)
部活動委員会が、会社全体の福利厚生予算の範囲内で各部への補助金額を決定することを定めています。予算には限りがあるため、活動の規模や内容、参加人数などを考慮しながら配分されることになるでしょう。
第6条(通知)
補助金の支給が決まったら、速やかに該当する部に知らせることを義務づけています。結果を待つ部員にとって、早く連絡がもらえるのはありがたいことです。
第7条(予算)
各部は認められた予算の範囲内で補助金を使えることを確認しています。たとえば年間10万円の補助が認められたテニス部なら、その枠内で用具購入や遠征費に充てられます。
第8条(伝票)
補助金を使うたびに伝票を人事部門などに提出する義務を定めています。これにより、いつ、何に、いくら使ったのかが記録に残り、透明性が確保されます。
第9条(会計処理)
収入と支出をきちんと記録し、適正に処理することを求めています。会計担当者がノートやエクセルで帳簿をつけるなど、後から確認できる形で管理する必要があります。
第10条(不正使用の禁止)
補助金を部活動以外の目的で使ってはいけないという当たり前のルールです。たとえば野球部の補助金で個人的な飲み会の費用を賄うようなことは禁止されます。
第11条(補助金の中止)
第1項では、条件を満たさなくなった場合や不祥事があった場合に補助金を打ち切れることを定めています。たとえば会員が大幅に減って人数要件を満たせなくなったり、部員が問題行動を起こしたりした場合です。第2項では、年度途中で打ち切られた場合、残りの期間分の補助金を月割りで返還する義務を課しています。
第12条(活動報告書)
年度が終わったら、活動内容をまとめた報告書を会社に提出することを求めています。どんな活動をしたのか、補助金をどう使ったのかを振り返る機会にもなります。
(付則)
この規程がいつから有効になるのかを記載する部分です。施行日を明記することで、適用開始のタイミングが明確になります。
【3】活用アドバイス
この規程を効率的に活用するには、まず自社の実情に合わせて「●」の部分を埋めることから始めましょう。最低人数は企業規模に応じて設定し、施行日は導入時期に合わせて記入します。
申請書や伝票の様式をあらかじめ用意しておくと、部活動側も会社側もスムーズに手続きを進められます。申請書には会則や会員名簿、活動計画書などを添付する形式にすると分かりやすいでしょう。
部活動委員会のメンバー選定も重要です。会社側と社員側の代表をバランスよく配置し、公平な判断ができる体制を整えてください。年に一度、定期的に委員会を開催して補助金の審査や配分を行うルーティンを作ると運用が安定します。
また、この規程を社内イントラネットや福利厚生の案内ページに掲載して、全社員が閲覧できるようにしておくことをおすすめします。新しく部活動を立ち上げたい社員が条件や手続きをすぐに確認できる環境があれば、制度の利用促進につながります。
【4】この文書を利用するメリット
この規程を導入すると、部活動への補助金支給が属人的な判断ではなく、明確なルールに基づいて行われるようになります。そのため「あの部はもらえたのに、なぜうちはダメなのか」といった不公平感を防ぐことができます。
人事や総務の担当者にとっては、問い合わせがあったときに規程を示すだけで説明が済むため、業務効率が上がります。また、申請から承認、使用、報告までの流れが整理されているので、制度運用の手間が大幅に削減されます。
部活動を運営する社員側にとっても、何をすれば補助金がもらえるのか、どう使えばいいのかが明確になるため、安心して活動に取り組めます。会社からの支援があることで、活動の幅も広がるでしょう。
さらに、こうした制度を整備すること自体が、従業員を大切にする企業姿勢のアピールにもなります。採用活動や社内の満足度向上にもプラスの効果が期待できます。
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