Word形式で提供されているので、自社の実情に合わせて金額や承認フローを自由に編集できます。専門的な知識がなくても、空欄部分に必要事項を記入するだけで、すぐに使える状態に仕上げることが可能です。経理や総務の担当者はもちろん、経営者の方にとっても、社内の経費管理体制を整える第一歩として最適な書式といえるでしょう。
【2】条文タイトル
第1条(目的)
第2条(適用対象者)
第3条(経費の定義及び範囲)
第4条(交通費の支給基準)
第5条(宿泊費の支給基準)
第6条(会議費の支給基準)
第7条(接待交際費の支給基準)
第8条(その他の経費の支給基準)
第9条(経費支出の事前申請)
第10条(経費支出の承認権限)
第11条(経費精算の手続)
第12条(仮払金の取扱い)
第13条(証憑書類の提出)
第14条(経費精算における不正行為の禁止)
第15条(不正行為に対する措置)
第16条(経費に関する記録の保存)
第17条(規程の改廃)
第18条(細則への委任)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この規程が何のために作られたのかを明らかにしています。経費の使い方を適正にして、会社の業務がスムーズに回るようにすることが狙いです。ルールが曖昧だと現場が混乱しますから、最初に目的をはっきりさせておくわけですね。
第2条(適用対象者)
誰がこの規程の対象になるのかを定めています。正社員だけでなく、契約社員やパート、派遣社員まで含めているのがポイントです。ただし別の契約や規程がある場合はそちらが優先されます。例えば役員だけ特別な旅費規程がある会社なら、そちらを使うことになります。
第3条(経費の定義及び範囲)
そもそも「経費」って何を指すのかを明確にしています。業務のために使ったお金で会社が負担すべきものが経費です。交通費や宿泊費はもちろん、研修参加費や調査費なども含まれます。逆に、プライベートな支出や業務と関係ない費用は認められません。週末の家族旅行を出張扱いにする、なんてことはできないということです。
第4条(交通費の支給基準)
電車やバス、飛行機などの交通費をどう扱うかを決めています。基本は実費精算ですが、遠回りして高い運賃を請求するようなことは認められません。新幹線は普通車が基本ですが、長距離ならグリーン車もOK。タクシーは深夜や早朝、荷物が多い時など限定的な場面でしか使えないようになっています。マイカーで出張した場合は1キロあたり何円、という計算方法で払われます。
第5条(宿泊費の支給基準)
出張で泊まるホテル代の上限を決めています。一般社員、管理職、役員で金額が違うのが普通です。国内と海外でも違います。ただし、繁忙期でホテルが取れないとか、そういう特別な事情があれば上限を超えてもいい仕組みになっています。事前承認が必要ですけどね。
第6条(会議費の支給基準)
会議室を借りたり、資料を作ったり、お弁当を用意したりする費用です。社内だけの会議なら控えめに、取引先も来るなら少し豪華に、という感じで上限が分かれています。節度を保ちつつ、必要な支出はきちんと認めるバランスが大事です。
第7条(接待交際費の支給基準)
取引先との関係を良好に保つための接待や贈り物の費用です。一人あたりの上限が決まっていて、それを超える場合は事前承認が必要になります。お歳暮やお祝いなどは別の基準があることが多いので、そちらに従います。交際費は税務上も注目されやすいので、しっかり管理することが求められます。
第8条(その他の経費の支給基準)
前の条文で出てこなかった経費全般を扱います。電話代、文房具代、本の購入費、セミナー参加費など。業務に必要で、金額が常識的な範囲なら認められます。高額なものは上司の承認が必要という安全弁もついています。
第9条(経費支出の事前申請)
お金を使う前に申請が必要なケースを定めています。出張費や接待費、高額な支出などは事前にチェックを受けないといけません。急な用事で事前申請できなかった場合も、後からきちんと報告すればOKです。無断で勝手に使うのを防ぐための仕組みですね。
第10条(経費支出の承認権限)
金額に応じて誰が承認するかを決めています。少額なら直属の上司、それなりの金額なら部長、さらに高額なら役員や社長、という段階的な仕組みです。これによって、重要な支出ほど上のレベルで判断されるようになっています。
第11条(経費精算の手続)
お金を使った後、どうやって会社に請求するかの手順です。決められた期限内に精算書を出して、領収書を添付して、経理部門に審査してもらいます。問題なければ翌月の給料日に振り込まれる、というのが一般的な流れです。遅れると精算してもらえない可能性もあるので注意が必要です。
第12条(仮払金の取扱い)
大きな出張などで多額の出費が見込まれる時、先にお金を渡してもらえる制度です。後で使った分を精算して、余ったら返す仕組みになっています。社員が自腹で大金を立て替える負担を減らすための配慮ですね。
第13条(証憑書類の提出)
精算するには領収書が必須です。日付、金額、支払先、内容が書いてあることが条件。レシートでもOKですし、クレジットカードの明細でも大丈夫です。電車やバスみたいに領収書が出ないものは、自分で証明書を書いて上司に確認してもらえば認められます。
第14条(経費精算における不正行為の禁止)
やってはいけないことを列挙しています。嘘の申請、私的な支出の混入、領収書の改ざん、二重請求など。当たり前のことですが、明文化しておくことで抑止力になります。
第15条(不正行為に対する措置)
ルール違反があった場合のペナルティです。お金を返してもらうのは当然として、懲戒処分の対象にもなります。悪質なケースでは警察に通報することもあり得ます。厳しいようですが、会社の信用を守るためには必要な措置です。
第16条(経費に関する記録の保存)
申請書や精算書、領収書などを何年間保管するかを決めています。税務調査が入った時に備えて、一定期間はきちんと保存しておく必要があります。法律で決まっている期間があればそれに従います。
第17条(規程の改廃)
この規程を変更したり廃止したりする時は、取締役会で決議することになっています。社長の独断ではなく、会社の正式な手続きを踏むことで、ルールの重みを保っています。
第18条(細則への委任)
細かい運用ルールは経理部門が別に決めていいことにしています。すべてをこの規程に書き込むと長くなりすぎるので、実務的な部分は現場に任せるわけです。柔軟な運用ができるメリットがあります。
【4】活用アドバイス
この規程を導入する際は、まず空欄部分(__で示された箇所)に自社の実情に合った金額や期間を記入することから始めましょう。交通費の1キロあたり単価、宿泊費の上限、承認権限の金額区分などは、会社の規模や業種、地域性によって適切な水準が変わってきます。
金額設定に迷ったら、同業他社の相場や税務上の損金算入基準を参考にするといいでしょう。あまりに厳しすぎると社員の不満につながりますし、緩すぎると経費が膨らんでしまいます。バランスが大切です。
規程を作っただけでは意味がありません。全社員にしっかり周知して、どこを見れば何が書いてあるか分かるようにしておきましょう。特に新入社員や中途入社者には、入社時のオリエンテーションで必ず説明してください。
運用を始めてからも、定期的に見直しをかけることをお勧めします。実際に使ってみると不便な点や矛盾が見つかるものです。年に一度は経理部門や利用者の声を聞いて、必要に応じて改定していくと、より実態に即した規程になっていきます。
経費精算システムを導入している会社なら、このルールをシステムに反映させることも検討してください。自動チェック機能を使えば、上限オーバーや承認漏れを防げて、経理の負担も減ります。
【5】この文書を利用するメリット
まず、経費に関する判断基準が統一されます。これまで「これって経費で落ちるの?」と迷っていたようなケースでも、規程を見れば答えが分かるようになります。社員にとっても経理担当者にとっても、無駄な確認作業が減って業務効率が上がります。
不正利用の防止効果も大きいです。ルールが明文化されていれば、「知らなかった」という言い訳は通用しなくなります。承認フローがしっかりしていれば、おかしな支出があっても途中でチェックできます。会社の財産を守る意味でも重要です。
税務調査が入った時の対応もスムーズになります。きちんとした規程に基づいて運用していることを示せれば、税務署からの信頼も得られやすくなります。領収書の保存期間なども規程で定めておけば、必要な書類が見つからないというトラブルも防げます。
経営者の視点で言えば、経費のコントロールがしやすくなります。どこにどれくらいお金が使われているか把握しやすくなりますし、予算管理の精度も上がります。無駄な支出を削減する際の根拠にもなります。
新しく入った社員や、初めて経費精算をする人にとっては、頼れるマニュアルになります。先輩に聞かなくても自分で調べられるので、質問する側もされる側も時間を節約できます。
Word形式で編集できるので、一度導入した後も、会社の成長や環境の変化に合わせて柔軟に更新していけます。最初から完璧を目指すのではなく、使いながら改善していくスタイルで運用できるのも大きな利点です。