【1】書式概要
この稟議規程は、企業における意思決定プロセスを明確化し、業務の効率化を図るための重要な社内規程です。会社の日常業務において、支払いや契約締結、投資判断など様々な案件について、誰がどのような手続きで承認を得るべきかを体系的に定めています。
特に電子稟議システムを活用した現代的な運用方法を想定しており、従来の紙ベースの煩雑な手続きから脱却し、迅速かつ透明性のある決裁プロセスを構築できます。製造業、建設業、商社、IT企業など業種を問わず、組織的な意思決定が必要な企業において必須の規程となっています。
実際の使用場面としては、新しい設備の購入、取引先との契約締結、従業員の出張申請、会議費の支出など、日常的に発生する業務の承認プロセスで活用されます。また、内部統制の強化や監査対応においても重要な役割を果たし、企業ガバナンスの向上に直結します。
このWord形式の文書は完全に編集可能で、各企業の組織構造や業務内容に応じて自由にカスタマイズできます。決裁金額の設定、承認ルートの変更、稟議項目の追加など、実際の運用に合わせて柔軟に調整可能です。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(定義) 第3条(稟議の種類) 第4条(事前稟議の原則) 第5条(分割稟議の禁止) 第6条(稟議者) 第7条(稟議事項の範囲とその決裁者) 第8条(起案前の準備) 第9条(電子稟議システム) 第10条(稟議管理担当部署および事務取扱者) 第11条(受理および形式審査) 第12条(回議手続) 第13条(回議者の審査) 第14条(審査への回答) 第15条(回議の促進) 第16条(決裁の方法) 第17条(決裁の通知) 第18条(決裁効力の原則) 第19条(業務の執行) 第20条(決裁事項の変更・報告稟議) 第21条(実施の中止) 第22条(実行報告・報告稟議) 第23条(稟議書の保管) 第24条(稟議書の閲覧) 第25条(機密の保持)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この規程の存在意義を明確にする条文です。企業においてなぜ稟議制度が必要なのかを説明し、業務の円滑化と効率化という目標を掲げています。例えば、担当者が勝手に高額な備品を購入してしまうといった問題を防ぎ、組織として一貫した判断基準を保つことができます。
第2条(定義)
稟議とは何かを具体的に定義する重要な条文です。自分の権限を超える業務や、規程に定めのない新しい業務について上司の承認を得ることを稟議と呼んでいます。例えば、通常10万円まで決裁権限がある課長が50万円の機器購入を検討する場合、上位者の承認が必要になります。
第3条(稟議の種類)
稟議を6つのカテゴリーに分類し、それぞれの具体的な内容を示しています。支払・購入稟議から投資稟議まで、日常業務で発生する様々な案件を網羅しています。一方で、少額の経費や定型的な契約については稟議を不要とし、業務効率を重視した設計になっています。
第4条(事前稟議の原則)
事後承諾を防ぐための重要な条文です。先に実行してから承認を求めるという本末転倒な事態を避け、必ず事前に承認を得ることを義務付けています。ただし、緊急時の例外規定も設けており、現実的な運用を可能にしています。
第5条(分割稟議の禁止)
関連する事項を意図的に分割して、個別に承認を得ることを禁止する条文です。例えば、100万円のシステム導入を50万円ずつ2回に分けて稟議することで、本来必要な上位者の承認を回避することを防ぎます。
第6条(稟議者)
稟議を起案する責任者を明確にする条文です。基本的には担当者が稟議者となりますが、責任の所在を明確にすることで、いい加減な稟議の提出を防ぎます。
第7条(稟議事項の範囲とその決裁者)
別途定められた権限基準表に基づいて稟議事項と決裁者を決定することを規定しています。金額や内容に応じて誰が最終決裁者になるかが体系的に整理されており、迷うことなく適切な承認ルートを選択できます。
第8条(起案前の準備)
稟議を起案する前の準備作業について定めています。十分な調査研究と関係者との事前調整を求めており、後戻りのない質の高い稟議を作成することを目的としています。契約稟議では特に法務部門との連携を重視しています。
第9条(電子稟議システム)
現代的な電子システムを活用した稟議の運用方法を規定しています。紙ベースの煩雑な手続きから脱却し、効率的で追跡可能な稟議プロセスを実現します。添付資料の取扱いについても電子化と書面の併用を認めており、実務に即した内容となっています。
第10条(稟議管理担当部署および事務取扱者)
稟議制度の運用を統括する部署と責任者を明確にしています。総務部が全体を管理することで、統一的な運用と適切な記録保管を実現します。
第11条(受理および形式審査)
稟議書の受理時に行うべき形式的なチェック項目を定めています。不備のある稟議書で後工程が滞ることを防ぎ、スムーズな決裁プロセスを実現します。
第12条(回議手続)
稟議書を決裁者に回付する前の中間審査者について規定しています。社長決裁案件と部長決裁案件で異なる回議ルートを設定し、効率的な審査体制を構築しています。
第13条(回議者の審査)
回議者が稟議書を審査する際の判断パターンを4つに分類しています。単純な承認だけでなく、条件付承認や要説明といった細かな対応を可能にし、より精緻な審査を実現します。
第14条(審査への回答)
回議者から質問や条件が付された場合の対応方法を定めています。稟議者に迅速な回答を求めることで、審査の停滞を防ぎ、円滑な決裁プロセスを維持します。
第15条(回議の促進)
審査の遅延を防ぐための具体的な期限設定と、回議者不在時の代行制度を規定しています。3日以内の審査完了を原則とし、緊急時には柔軟な対応を可能にしています。
第16条(決裁の方法)
最終決裁者による判断方法を4つのパターンに分類しています。特に社長決裁では、社長が先に承認しても全回議者の承認を条件とする仕組みを設けており、組織的な意思決定を重視しています。
第17条(決裁の通知)
決裁完了を稟議者に通知する方法を定めています。決裁番号の記入をもって通知とする簡便な方法を採用し、事務処理の効率化を図っています。
第18条(決裁効力の原則)
決裁の有効期限や無効となる条件を明確にしています。決裁後3ヶ月以内の実行や、条件付承認の条件充足など、決裁の実効性を担保する重要な規定です。
第19条(業務の執行)
決裁後の実行段階における稟議者の責任を定めています。状況変化に対する柔軟な対応を求めており、形式的な承認に留まらない実質的な業務遂行を重視しています。
第20条(決裁事項の変更・報告稟議)
決裁内容に変更が生じた場合の手続きを規定しています。旧稟議番号を明記して新たな稟議を起案することで、変更の経緯を明確に記録し、適切な統制を維持します。
第21条(実施の中止)
決裁を受けた事項を中止する場合の報告義務を定めています。情勢変化による中止も想定されており、硬直的でない柔軟な制度運用を可能にしています。
第22条(実行報告・報告稟議)
決裁者からの指示がある場合の事後報告制度を規定しています。重要案件については実行結果の報告を求めることで、PDCAサイクルの完結を図っています。
第23条(稟議書の保管)
稟議書の保存期間を10年と定めています。監査対応や責任追及の際に必要となる重要な記録として、長期保管を義務付けています。
第24条(稟議書の閲覧)
稟議書の閲覧制度について定めています。原則として社員の閲覧を認めつつ、機密性の高い案件については制限を設ける仕組みを採用し、透明性と機密保持のバランスを図っています。
第25条(機密の保持)
稟議書に記載された情報の機密保持義務を全社員に課しています。企業の重要な意思決定情報が外部に漏洩することを防ぐための最終的な歯止めとして機能します。
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