書式には、未払い期間と金額の計算欄、振込先口座の記載欄、支払期限と法的措置の予告文があらかじめ盛り込まれています。空欄を埋めるだけで完成しますので、一から文章を考える必要はありません。Word形式のファイルですので、お手持ちのパソコンで自由に編集でき、ご自身の状況に合わせて文言を調整することも可能です。内容証明郵便として発送する場合の注意点も把握した上で作成していますので、安心してお使いいただけます。
【2】逐条解説
この書式は条文形式ではないため、逐条解説の対象外となります。代わりに、催告書の各構成要素について解説します。
■ 作成日付
催告書を作成した日付を記載します。内容証明郵便で送付する場合、この日付が「いつ請求したか」の証拠になります。たとえば、後日調停や訴訟になった際に、「令和○年○月○日付で催告したが応じなかった」と主張する根拠となります。
■ 宛先(相手方の表示)
養育費の支払義務者である元配偶者の住所と氏名を記載します。住所は住民票上の住所が基本ですが、転居している場合は現在の居所を調べて記載します。宛名の後に「殿」を付けるのが一般的な書式作法です。
■ 差出人(請求者の表示)
養育費を受け取る権利のある親権者の情報を記載します。住所、氏名、連絡先電話番号を明記することで、相手方が連絡を取りやすくなります。押印欄がありますが、実印である必要はなく認印で構いません。
■ 件名
「養育費支払請求に関する催告」という件名で、何についての書面かを明確にしています。内容証明郵便の場合、郵便局員が内容を確認するため、件名があると分かりやすくなります。
■ 離婚と親権に関する事実の記載
いつ離婚が成立し、どの子について親権者となったかを明記します。たとえば「令和4年3月15日に協議離婚が成立し、長女・花子(令和2年1月10日生)の親権者となった」のように具体的に記載します。これにより、請求の前提となる事実関係を明らかにします。
■ 養育費の合意内容
離婚時にどのような養育費の取り決めをしたかを記載します。「子が20歳に達するまで毎月末日限り5万円を支払う」など、金額・支払時期・終期を明確にします。離婚協議書や公正証書がある場合は、その内容と一致させることが重要です。
■ 未払いの事実と金額
いつから支払いが滞っているか、現時点で合計いくら未払いになっているかを計算して記載します。たとえば「令和5年10月分から令和6年9月分まで12か月分、月額5万円×12か月=60万円が未払い」というように、誰が見ても計算根拠が分かるように書きます。
■ 支払期限の設定
「本書面到達後14日以内」という期限を設けています。2週間という期間は、相手方が資金を準備する猶予としては妥当であり、かつ不当に長すぎないバランスの取れた設定です。この期限内に支払いがなければ次のステップに進む、という意思表示になります。
■ 振込先口座の指定
支払いを受けるための銀行口座を明記します。金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義をすべて記載することで、相手方が振り込む際に間違いが起きにくくなります。
■ 法的措置の予告
期限までに支払いがない場合は「家庭裁判所への養育費請求調停の申立て、その他法的措置を講じる」と予告しています。これは脅しではなく、正当な権利行使の予告です。この一文があることで、相手方に対して本気度を示すとともに、後日の法的手続きにおいて「事前に十分な警告をした」という証拠になります。
【3】FAQ
Q1. この催告書は弁護士に依頼しなくても自分で送れますか?
はい、催告書は弁護士に依頼しなくてもご自身で作成・送付できます。この雛形の空欄を埋めて、普通郵便または内容証明郵便で送付すれば完了です。ただし、その後の調停や強制執行まで視野に入れている場合は、専門家への相談も検討してください。
Q2. 内容証明郵便で送った方がいいですか?
強くお勧めします。内容証明郵便は、いつ・どのような内容の書面を送ったかを郵便局が証明してくれるため、「届いていない」「そんな内容ではなかった」という言い逃れを防げます。後日の法的手続きでも証拠として使えます。
Q3. 離婚時に口約束しかしていない場合でも使えますか?
使えます。書面がなくても養育費の合意は有効です。ただし、相手方が「そんな約束はしていない」と争ってきた場合は、合意の存在を証明するのが難しくなります。その場合は家庭裁判所の調停で改めて養育費を決めることになります。
Q4. 公正証書を作成済みの場合、この催告書は必要ですか?
強制執行認諾文言付きの公正証書がある場合は、催告書を経ずに直接強制執行(給与差押え等)が可能です。ただし、まず催告書で任意の支払いを促し、それでも応じない場合に強制執行に進む、という段階を踏むのが穏当なやり方です。
Q5. 相手の住所が分からない場合はどうすればいいですか?
戸籍の附票を取得することで、相手方の住民票上の住所を調べることができます。元配偶者であれば、子の戸籍から辿って附票を請求できる場合があります。それでも分からない場合は、弁護士に依頼して住所調査を行う方法もあります。
Q6. 催告書を送っても無視された場合、次に何をすればいいですか?
家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。調停では調停委員を介して話し合いを行い、合意に至れば調停調書が作成されます。調停が不成立の場合は審判に移行し、裁判官が養育費の金額を決定します。
Q7. 過去の未払い分も請求できますか?
請求できます。養育費の請求権は、原則として支払期日から5年で時効にかかりますが、時効が完成していない分については遡って請求可能です。この催告書でも未払い期間と合計金額を記載する欄を設けています。
Q8. 養育費の金額を変更したい場合はこの書式で対応できますか?
この書式は既に合意した養育費の支払いを求めるものです。金額の増額や減額を求める場合は、改めて協議するか、家庭裁判所に養育費変更の調停を申し立てる必要があります。
【4】活用アドバイス
1. 送付前に証拠を整理しておく
催告書を送る前に、離婚協議書や公正証書のコピー、これまでの養育費の入金記録(通帳のコピー等)、相手方とのやり取り(メールやLINEのスクリーンショット)を整理しておきましょう。後日の調停や訴訟で必要になります。
2. 内容証明郵便で送付する
普通郵便でも送れますが、内容証明郵便で送ることを強くお勧めします。郵便局で同じ文面を3通作成し、1通は相手方に送付、1通は郵便局が保管、1通は自分の控えとなります。配達証明を付ければ、相手方がいつ受け取ったかも記録に残ります。
3. 期限は現実的に設定する
雛形では「14日以内」としていますが、相手方の状況によっては7日や1か月に変更しても構いません。ただし、あまりに短いと「払う意思はあったが間に合わなかった」と言い訳されるおそれがあり、あまりに長いと対応の引き延ばしに使われます。2週間程度が一般的です。
4. 感情的な文言を加えない
未払いが続くと腹立たしい気持ちになるのは当然ですが、催告書に感情的な言葉や非難の文言を書き加えるのは避けてください。後日裁判所に提出する可能性のある書面ですので、事実と請求内容を淡々と記載するのが得策です。
5. コピーを必ず保管する
送付した催告書のコピー、内容証明郵便の控え、配達証明書は大切に保管してください。調停申立書に添付資料として提出する場合があります。
6. 期限後の対応を事前に決めておく
催告書を送る前に、「期限までに払われなかったら調停を申し立てる」など、次のステップを決めておきましょう。相手方から連絡があった場合の対応(分割払いに応じるか等)も想定しておくとスムーズです。