〔1〕書式概要
この〔リスク管理規程〕は、企業が直面するさまざまなリスクを一元的に管理するために作成された社内規程のひな型です。経営環境が変化する中で、事故やトラブルが発生した際に迅速な対応を行うには、事前にルールを整備しておくことが欠かせません。
本書式は、会社全体に共通する基本的な考え方から、取締役会・担当役員・委員会・各部門の役割分担、リスク調査・報告の手続き、内部監査や人材育成まで体系的に定めています。実務上は、新規事業を始めるとき、コンプライアンス体制を強化したいとき、監査法人や金融機関から内部管理体制の整備を求められたときなどに活用できます。Word形式で編集可能なので、自社の業種や組織規模に合わせて条文をカスタマイズすることができ、法律や会計に詳しくない担当者でも読みやすい内容になっています。
〔2〕条文タイトル一覧
第1条(目的) 第2条(適用範囲) 第3条(定義) 第4条(原則) 第5条(基本方針) 第6条(取締役会) 第7条(リスク管理担当役員) 第8条(リスク管理推進委員) 第9条(リスク管理基本方針の決定) 第10条(リスクの認識・分析) 第11条(リスク情報の収集) 第12条(日常的リスク管理) 第13条(事故等発生報告) 第14条(その他リスク管理事項) 第15条(内部監査) 第16条(人材育成と人事管理) 第17条(規程の所管および改廃)
〔3〕逐条解説
第1条(目的) 会社全体で共通のルールを定め、リスクを適切にコントロールすることで事業の安定的な発展を目指しています。例えば自然災害やサイバー攻撃が発生した際、事前にルールがあることで混乱を最小限に抑えられます。
第2条(適用範囲) 全ての部門と従業員に適用されることを明確にしています。部署ごとに異なるルールが存在して混乱することを防ぐ狙いがあります。
第3条(定義) 「リスク」という言葉を明確に定義し、経営目標の妨げとなる要因全般を対象にしています。曖昧さを避けることで、幅広いリスクを一貫して扱うことが可能になります。
第4条(原則) リスク管理の考え方の基本を定めています。役員から一般社員までが役割を理解し、報告・監査・改善までが循環する体制を強調しています。例えば、情報漏洩の兆候が発見された場合、すぐに経営層へ報告され、監査と改善が行われる仕組みです。
第5条(基本方針) 財務面と業務面の両方を守るために、全体を見渡したリスク管理を行うと定めています。資金繰りの悪化やサプライチェーンの混乱など、多様なリスクを総合的に判断します。
第6条(取締役会) リスク管理の最終意思決定を行う機関であることを明示しています。大きな方針を決定する責任は経営トップにあることを示しています。
第7条(リスク管理担当役員) 取締役会と現場をつなぐ橋渡し役として、実務の指揮を取る役員の責任を定めています。例えば、新しいサイバーセキュリティ対策を導入する判断を下す立場にあります。
第8条(リスク管理推進委員) リスクを集計・分析する専門組織としての役割を明確化しています。現場からの情報を整理し、担当役員に報告して対応を提案します。
第9条(リスク管理基本方針の決定) 取締役会が方針を決める手順を規定し、担当役員が提案する形をとっています。提案内容にはリスクの種類や許容範囲が含まれるため、実務に即した経営判断が可能となります。
第10条(リスクの認識・分析) リスクの洗い出しと分析を行う調査手順を規定しています。必要に応じ外部専門家の助言も受けられるため、専門性が求められる分野にも対応できます。
第11条(リスク情報の収集) 各部門が自分たちのリスクを定期的に報告する仕組みを整えています。これにより現場の情報が迅速に本部に集まり、早めの対応が可能になります。
第12条(日常的リスク管理) 定期報告とモニタリングを通じて、リスクを常にチェックすることを定めています。一定の閾値を超えた場合はすぐに報告し、経営層の判断につなげます。
第13条(事故等発生報告) 事故や障害が起きたときの報告手続きを明確にしています。例えば社内システム障害が起きた場合、報告書を作成して被害拡大を防止します。
第14条(その他リスク管理事項) 個別に規定していないリスクも含め、柔軟に対応できるよう情報収集を続けることを規定しています。
第15条(内部監査) 内部監査によって規程が機能しているか確認する仕組みを定めています。監査結果は経営層に報告され、改善につながります。
第16条(人材育成と人事管理) 人材こそリスク管理の中心であると位置付けています。研修や人事ローテーションを通じて、リスク管理を担える人材を育成します。
第17条(規程の所管および改廃) この規程の責任者は担当役員であり、改正は取締役会の決議で行うと定めています。組織の変化に合わせて見直す仕組みを整えています。
〔4〕活用アドバイス
この書式は、そのまま導入しても十分に機能しますが、自社のリスク特性に合わせて調整することでさらに有効になります。例えば製造業であれば「供給停止リスク」、IT企業であれば「情報セキュリティリスク」などを具体的に追記すると実効性が高まります。
また、導入時には社内研修やマニュアルとセットで配布することで、従業員の理解と実践につながります。定期的な見直しを行うことで、形骸化を防ぎ、常に最新の経営環境に対応できる体制を維持できます。
〔5〕この文書を利用するメリット
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経営陣から現場まで一貫したリスク管理体制を構築できる
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事故やトラブル発生時に迅速な対応が可能になる
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金融機関や監査法人への説明資料としても活用でき、信頼性を高められる
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Word形式で編集できるため、業種や会社規模に合わせて柔軟にカスタマイズ可能
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人材育成や内部監査の仕組みまで含まれているため、実務での運用が容易になる
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