【1】書式概要
この規程は、会社が従業員の住宅取得や増改築を金銭的にサポートするための制度を定めたものです。従業員が家を建てたり購入したりする際、会社が提携する銀行から有利な条件で融資を受けられる仕組みを整えるために使います。
多くの会社では、従業員の生活基盤を安定させることが離職率の低下や働きやすさの向上につながると考えています。しかし、住宅取得には大きな資金が必要で、特に若い世代や中堅社員にとっては大きな負担です。そこで、会社が金融機関と提携して金利の一部を負担したり、優遇条件で融資を受けられる制度を設けることで、従業員の住宅取得を後押しすることができます。
この規程では、融資を受けられる条件(勤続年数や年齢、財形貯蓄の状況など)、融資額の上限、返済方法、担保設定など、制度運用に必要な項目が全て盛り込まれています。人事部や総務部が従業員向けの福利厚生制度を充実させたいとき、あるいは優秀な人材の確保や定着を図りたいときに、この規程をベースにして自社に合った住宅融資制度を導入できます。
Word形式のファイルなので、会社名や取扱銀行名、融資条件などを自由に編集して、すぐに運用を開始することが可能です。専門知識がなくても、項目を埋めていくだけで実用的な規程が完成します。
【2】条文タイトル
- 第1条(総則)
- 第2条(目的)
- 第3条(適用範囲)
- 第4条(取扱銀行)
- 第5条(融資の対象事由)
- 第6条(立地上の制限)
- 第7条(融資の資格)
- 第8条(融資限度額)
- 第9条(利率)
- 第10条(会社の利率負担)
- 第11条(申請)
- 第12条(審査)
- 第13条(融資の順位)
- 第14条(通知)
- 第15条(提出書類)
- 第16条(融資の方法)
- 第17条(譲渡等の禁止)
- 第18条(抵当権の設定)
- 第19条(返済の原資)
- 第20条(返済期間)
- 第21条(即時返済)
【3】逐条解説
第1条(総則)
この規程全体の位置づけを示す条文です。財形住宅融資という制度を会社として正式に定めるという宣言になります。
第2条(目的)
なぜこの制度を設けるのかという理由を明記しています。従業員が自分の家を持てるよう、会社が銀行と協力して支援する姿勢を表しているわけです。たとえば採用活動で「当社は住宅取得支援制度があります」とアピールする際の根拠にもなります。
第3条(適用範囲)
この制度を利用できるのは正社員だけと限定しています。パートや契約社員は対象外という意味です。会社によっては雇用形態を問わず適用することもできますが、ここでは正規雇用者に絞っています。
第4条(取扱銀行)
融資を実際に行う金融機関を指定する条文です。複数の銀行と提携する場合もありますが、ここでは●●銀行という形で1行を想定しています。地方銀行や信用金庫など、会社の取引関係に応じて選ぶことになります。
第5条(融資の対象事由)
どんな目的なら融資が受けられるかを列挙しています。新築や中古住宅の購入はもちろん、リフォームや土地だけの購入も対象です。たとえば「将来家を建てるために先に土地を買いたい」という場合にも使えます。
第6条(立地上の制限)
融資対象の住宅や土地は通勤できる範囲に限るという条件です。あまりに遠方だと通勤が困難になり、実質的に退職につながるリスクがあるためです。たとえば東京の会社なのに北海道に家を建てるといった場合は対象外になります。
第7条(融資の資格)
融資を受けるための条件を5つ設けています。勤続3年以上で55歳以下、本人の収入で生活していること、財形貯蓄を3年続けていること、必要額の3割以上の自己資金があることです。これらは返済能力や制度の悪用防止を考慮したものです。たとえば入社したばかりの人や定年間近の人は対象外となります。
第8条(融資限度額)
最大で3000万円まで貸し付けられますが、定年時の退職金を超える額は融資しないという歯止めも設けています。退職金で完済できる範囲内という考え方です。
第9条(利率)
金利は会社と銀行の話し合いで決めるとしています。市場金利や会社の信用力によって変わってきます。
第10条(会社の利率負担)
会社が金利の一部を負担することで、従業員にとって有利な条件にしています。たとえば金利が年2%なら、会社が0.5%負担すれば従業員の実質負担は1.5%になるわけです。
第11条(申請)
融資を希望する従業員は専用の申請書を上司経由で会社に提出します。この流れを明確にすることで、手続きの透明性を保ちます。
第12条(審査)
会社が申請内容を審査して、問題なければ銀行に推薦します。会社が保証人的な役割を果たすため、この審査が重要になります。
第13条(融資の順位)
希望者が多くて会社の保証能力を超える場合の優先順位です。賃貸住宅に住んでいる人を優先するなど、住宅事情の厳しい人から支援する考え方です。
第14条(通知)
銀行が融資の可否と金額を決めたら、すぐに申請者に知らせるという手続きを定めています。
第15条(提出書類)
融資が決まった後に必要な書類のリストです。新築なら建築確認申請書、購入なら売買契約書といったように、目的に応じて異なる書類を銀行に出す必要があります。
第16条(融資の方法)
お金は銀行から申請者の口座に直接振り込まれます。現金で渡すわけではないので、資金の流れが明確になります。
第17条(譲渡等の禁止)
返済が終わるまで、融資で取得した住宅や土地を他人に売ったり貸したりしてはいけないという制限です。担保価値を守るための条件です。
第18条(抵当権の設定)
融資対象の住宅や土地に銀行の抵当権を設定します。返済が滞った場合に備えた担保措置で、設定費用は借りた人が負担します。
第19条(返済の原資)
返済は給与や賞与から天引きする形を原則とします。確実に回収できるようにする仕組みです。
第20条(返済期間)
最長20年で返済しますが、定年までに完済する必要があります。たとえば50歳で借りた人は、定年が60歳なら返済期間は10年になります。
第21条(即時返済)
融資金を目的外に使ったり、退職したりした場合は、残額を一括で返さなければなりません。制度の趣旨に反する行為や返済能力の喪失に対する措置です。
【4】活用アドバイス
この規程を導入する際は、まず自社の財務状況や従業員のニーズを把握することが大切です。融資限度額や金利負担率は会社の体力に応じて調整しましょう。また、取扱銀行との事前交渉も重要で、できるだけ有利な条件を引き出すことで従業員にとって魅力的な制度になります。
申請書類のフォーマットもあらかじめ用意しておくと、手続きがスムーズです。審査基準を明確にして、公平性を保つことも従業員の信頼につながります。制度を導入したら、社内説明会を開いて具体的な利用方法を周知すると、実際に使ってもらいやすくなります。
定期的に制度の利用状況を確認し、必要に応じて条件を見直すことも効果的です。たとえば利用者が少なければ条件を緩和する、多すぎれば審査を厳しくするといった調整ができます。
【5】この文書を利用するメリット
既に体系的に整理された規程をベースにできるため、ゼロから作る手間が省けます。住宅融資制度に必要な項目が網羅されているので、抜け漏れの心配がありません。Word形式で編集できるため、会社の実情に合わせてカスタマイズが簡単です。
従業員にとって魅力的な福利厚生制度を整えることで、採用活動での競争力が高まり、既存社員の満足度向上や定着率アップも期待できます。また、制度を明文化することで運用のルールが明確になり、担当者が変わっても一貫した対応が可能になります。
会社と銀行、従業員の三者の関係が整理されているため、トラブル防止にも役立ちます。返済方法や担保設定など、お金が絡む部分を明確にしておくことで、後々の問題を未然に防げます。
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