反贈賄基本方針

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反贈賄基本方針

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【1】書式概要

 

 

この反贈賄基本方針は、企業が贈賄行為を防止し、健全な事業運営を実現するために社内で定める基本ルールの雛形です。近年、日本企業の海外展開が進む中で、贈賄防止への取り組みは単なる倫理の問題ではなく、企業存続に関わる重要な経営課題となっています。

 

 

特に海外で事業を展開する企業や、公共事業に携わる企業にとって、この方針は必須のものです。公務員との接触がある業務、海外の取引先との商談、代理店を通じた営業活動など、日常のビジネスシーンで「これは大丈夫なのか」と迷う場面は意外と多いものです。この方針を社内で明文化しておくことで、従業員一人ひとりが判断に迷ったときの指針となり、会社全体のリスクを大きく減らすことができます。

 

 

本テンプレートはWord形式で提供されるため、自社の事業内容や組織体制に合わせて自由に編集・カスタマイズが可能です。社名の追加、具体的な処分内容の明記、自社特有のルールの追加など、必要に応じて修正してすぐに使い始めることができます。専門的な知識がなくても、この雛形をベースにすれば、国内外の規制に対応した実効性のある方針を短時間で整備できます。

 

 

 

 

【2】解説

 

第1条:目的

この条文は、方針全体の目指すゴールを示しています。日本の不正競争防止法や、アメリカのFCPA(海外腐敗行為防止法)といった国内外の規制に従い、贈賄を事前に防ぐことを宣言しています。

 

企業活動のグローバル化に伴い、複数の国の規制が同時に適用される場面が増えています。たとえば、日本企業がアジアで事業展開する際、日本の法律だけでなく、アメリカに上場していればFCPAも守る必要があります。この条文は「私たちの会社は世界のどこで事業をしても、贈賄はしません」という姿勢を内外に示すものです。腐敗のない透明な取引を実現することで、長期的な信頼関係を築き、持続可能なビジネスを展開する土台を作ります。

 

第2条:贈賄行為の禁止

ここでは具体的に何が禁止されているかを明確にしています。対象は公務員だけでなく、外国の公務員や政府が関係する企業の職員も含まれます。

 

実務では「どこまでが賄賂なのか」という線引きが難しいケースがあります。たとえば、取引先の担当者を接待する際、通常の商習慣の範囲内であれば問題ありませんが、契約獲得を目的に過度な接待や金品を提供すれば贈賄とみなされる可能性があります。「直接および間接を問わず」という表現は、自社が直接渡さなくても、代理店を通じて間接的に渡すケースも禁止対象であることを意味します。近年、代理店を使った間接的な贈賄が問題になるケースが増えており、この点は特に注意が必要です。

 

第3条:贈賄要求への対応

取引先や公務員から賄賂を要求されたときの対応方針を定めています。「要求されたから仕方なく」という言い訳は通用しないことを明示しています。

 

実際のビジネスでは、特に新興国などで「手数料」や「スピードアップ料金」といった名目で金銭を要求されることがあります。現地の商習慣だと説明されても、それが法令違反であれば毅然と断る必要があります。この条文があることで、従業員は「会社の方針として断らなければならない」と説明でき、個人の判断で悩む負担を減らせます。万が一、要求を受けた場合は上司や法務部門にすぐ報告する体制を整えておくことも大切です。

 

第4条:適切な記録管理

すべての支払いを正確に記録し、証拠を残すことを求めています。これは不正を防ぐ最も基本的な仕組みです。

 

賄賂は往々にして「コンサルティング料」「謝礼」といった曖昧な名目で処理されます。しかし、内部統制がしっかりしていれば、こうした不自然な支出はチェックの段階で発見できます。たとえば、通常より高額な手数料、実態の不明な相手への支払い、領収書のない経費などは警戒すべきサインです。帳簿を事実に基づいて正確に記録し、支払いの証拠書類を保管しておくことで、監査や調査の際にも透明性を証明できます。

 

第5条:遵守体制の整備

方針を作るだけでなく、実際に守られる仕組みを作ることを約束しています。規程の制定、責任者の配置、従業員への教育などが含まれます。

 

方針は掲げるだけでは意味がありません。たとえば、年に一度は全従業員向けに贈賄防止研修を実施する、海外赴任者には現地の規制について特別講習を行う、内部通報窓口を設置するなど、具体的な取り組みが必要です。また、定期的に体制を見直し、新しいリスクに対応できるよう改善を続けることも重要です。実効性のある体制を整えることで、従業員が安心して業務に取り組める環境を作ることができます。

 

第6条:違反時の処分

ルールを破った場合の結果を明確にしています。就業規則に基づいて処分することで、抑止力を持たせています。

 

処分の内容は、違反の程度により懲戒処分(戒告、減給、出勤停止、降格、解雇など)が考えられます。厳正な処分を行うことは、他の従業員への警告にもなります。ただし、処分だけでなく、なぜ違反が起きたのかを分析し、再発防止策を講じることも同じくらい重要です。違反者を罰するだけでなく、違反が起きにくい環境を作ることが、この条文の真の目的です。

 

第7条:取引先への周知と要請

自社だけでなく、代理店やコンサルタントにも同じ基準を求めています。取引先経由の不正を防ぐための条文です。

 

実務では、自社は清廉でも、委託した代理店が現地で贈賄を行うケースがあります。しかし、たとえ代理店が勝手に行ったことでも、最終的な責任は委託した企業に及ぶことがあります。そのため、契約時に反贈賄条項を盛り込む、定期的に取引先の活動をモニタリングする、疑わしい行為が発覚したら直ちに契約を解除するなど、厳格な管理が求められます。信頼できるパートナーと取引することが、自社のリスクを最小化する鍵となります。

 

 

 

【3】活用アドバイス

 

この反贈賄基本方針を最大限に活用するには、ただ作成して終わりにせず、社内に浸透させる工夫が必要です。

 

まず、方針を制定したら、全従業員に配布し、研修やミーティングで内容を説明しましょう。特に営業部門、購買部門、海外駐在員など、外部との接触が多い部署には重点的に周知してください。単なる配布だけでなく、「こういう場面ではどう判断すべきか」といった具体的なケーススタディを交えると理解が深まります。

 

次に、社内のイントラネットや掲示板に常に掲載しておき、いつでも参照できる状態にしておくことをおすすめします。新入社員の研修資料にも必ず含めましょう。

 

さらに、取引先や代理店との新規契約時には、この方針のコピーを渡し、遵守を約束する契約条項を盛り込むと効果的です。既存の取引先にも改めて通知し、同意を得ておくことで、トラブルを未然に防げます。

 

定期的(年1回程度)に方針の見直しを行い、法改正や社会情勢の変化に対応することも忘れずに。内部監査の際には、この方針が実際に守られているかをチェック項目に加えると、形骸化を防げます。

 

 

 

 

【4】この文書を利用するメリット

 

この反贈賄基本方針テンプレートを利用する最大のメリットは、専門知識がなくても短時間で国際水準の方針を整備できることです。

 

まず、ゼロから作成する手間が大幅に省けます。弁護士に依頼すれば数十万円かかる内容を、このテンプレートを使えば自社で作成できます。Word形式なので、社名や具体的な規程名を変更するだけで、すぐに使用開始できる点も大きな利点です。

 

次に、取引先や金融機関からの信頼を得られます。特に海外企業との取引では、贈賄防止体制の有無を確認されることが増えています。きちんとした方針があることを示せば、商談がスムーズに進む場合もあります。また、上場準備中の企業や、コンプライアンス体制の強化を求められている企業にとっては、必須の整備項目です。

 

さらに、万が一の際のリスク軽減にもつながります。従業員が不正を犯した場合でも、会社として適切な方針と教育体制があったことを示せれば、会社全体の責任を軽減できる可能性があります。予防的な措置として、この方針の存在は大きな意味を持ちます。

 

最後に、従業員にとっても明確な行動指針があることで、判断に迷う場面が減り、安心して業務に集中できる環境が整います。結果として、組織全体の倫理意識が向上し、健全な企業文化が育ちます。

 

 

 

 

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