【1】書式概要
この〔監査役会規程〕は、会社における監査役会の運営方法や決議手続を整理した実務的なひな型です。監査役会の開催頻度、議長の選任、決議方法、代表取締役との定期的会合、会計監査人の選任や解任、監査報告の作成方法など、監査役会に必要なルールを体系的にまとめています。
上場企業やIPO準備企業では、ガバナンス体制の透明性や社内規程整備が求められるため、この書式を導入することで監査役会の運営を円滑に行うことができます。Word形式で編集可能なため、自社の規模や体制に合わせてカスタマイズでき、内部統制や監査対応に不安のある企業でも安心して利用できます。
【2】条文タイトル一覧
第1条(目的) 第2条(組織) 第3条(監査役会の目的) 第4条(開催) 第5条(議長及び招集者) 第6条(招集通知) 第7条(決議の方法) 第8条(監査の方針等の決議) 第9条(代表取締役との定期的会合等) 第10条(監査役会に対する報告) 第11条(報告に対する措置) 第12条(監査報告の作成) 第13条(監査役の選任に関する同意権および提案請求) 第14条(会計監査人の選解任に関する決定等) 第15条(会計監査人の報酬等に対する同意) 第16条(取締役の責任免除等に関する監査役会の同意) 第17条(監査役の権限行使に関する協議) 第18条(常勤の選定・報酬に関する協議) 第19条(議事録) 第20条(監査役会事務局) 第21条(監査役監査基準) 第22条(本規程の改廃)
【3】逐条解説
第1条(目的)
会社の監査役会が何を目的に設置されるのかを明確化しています。例えば、法令や定款を根拠にしているため、規程自体が「社内ルールとしての強制力」を持つことを示しています。特にIPO準備段階では、投資家や証券取引所への説明にも活用できます。
第2条(組織)
監査役全員で構成することを明記しており、一部の監査役だけで決定を進めないようにする趣旨です。例えば、常勤と非常勤が混在する場合でも平等に扱うことを意味します。
第3条(監査役会の目的)
監査の方針や重要事項を共有する場であることを示しています。実務上は、監査役同士の情報格差を防ぐために必要です。
第4条(開催)
原則3か月に1度の開催義務を定めています。例えば四半期ごとに会計監査人の意見を聞くタイミングとして活用できます。
第5条(議長及び招集者)
議長の役割を定めており、招集・運営の中心人物を明確にしています。会社によっては常勤監査役が慣例的に議長を務めるケースもあります。
第6条(招集通知)
開催日の3日前通知が原則ですが、緊急時の柔軟性も担保されています。たとえば、粉飾の疑いなど急を要する事案に対応可能です。
第7条(決議の方法)
原則は過半数決議としつつ、重要案件では全員一致を要求する仕組みになっています。実務上は「監査役の独立性」を守る意図があります。
第8条(監査の方針等の決議)
監査計画や分担方法を事前に決めることで、監査が属人的にならないようにしています。大企業では、監査スタッフの人員配置もここで決定されます。
第9条(代表取締役との定期的会合等)
経営トップとの意見交換を定め、情報不足を防止する仕組みです。例えば経営課題の早期把握やリスク共有に役立ちます。
第10条(監査役会に対する報告)
監査役自身だけでなく、会計監査人や内部監査部門からの報告も受けることができます。実務では、内部監査報告を議題にするケースが多いです。
第11条(報告に対する措置)
重大な不正や損害の恐れがある場合の対応を定めています。例えば「不正会計が疑われる支出」を報告されたとき、監査役会が取締役に勧告できる根拠となります。
第12条(監査報告の作成)
最終的な監査報告をまとめる条文です。異論がある監査役の意見も残せる仕組みで、透明性を確保しています。
第13条(監査役の選任に関する同意権および提案請求)
監査役会が選任に関与する仕組みを整備し、形骸化を防ぎます。特に上場会社では必須の手続きです。
第14条(会計監査人の選解任に関する決定等)
会計監査人の選任・解任に関する重要な権限を監査役会に持たせています。実務上は、独立性確保のために全員一致を要する場面があります。
第15条(会計監査人の報酬等に対する同意)
監査報酬の妥当性を監査役会がチェックする条文です。過大な費用や利益相反の回避に有効です。
第16条(取締役の責任免除等に関する監査役会の同意)
取締役の責任を免除する場面で全員一致を求めています。例えば訴訟リスクを抱える事案では、安易な免除を防ぐ役割を果たします。
第17条(監査役の権限行使に関する協議)
株主や取締役会への対応を協議できる場を提供しています。特に株主からの質問対応や差止請求の判断で有用です。
第18条(常勤の選定・報酬に関する協議)
常勤監査役の役割や報酬決定を明確化する条文です。人件費コントロールの一環としても利用できます。
第19条(議事録)
議事の記録保存義務を定め、取締役会議事録と同等の取扱いを要求しています。10年間保存義務があるため、訴訟対応や規制当局への説明に役立ちます。
第20条(監査役会事務局)
実務担当部署を定めており、通常は管理部門が担います。これにより運営負担が軽減されます。
第21条(監査役監査基準)
監査役会が独自に基準を定められる余地を残しています。会社規模に応じた柔軟な運営が可能です。
第22条(本規程の改廃)
規程自体の改廃権限を監査役会に持たせています。これにより、自律的な運営が可能になります。
【4】活用アドバイス
この書式はそのまま利用するのではなく、自社の実情に合わせてカスタマイズすることが大切です。例えば、開催頻度を四半期ごとから毎月に変更したり、議事録の保存期間を内部規程全体で統一するなど、実務に沿った調整を行うと効果的です。IPO準備企業であれば、証券会社や監査法人の指摘を踏まえて修正することで審査対応がスムーズになります。
【5】この文書を利用するメリット
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監査役会の運営ルールを一元化でき、属人的な判断を排除できる
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IPOやガバナンス強化の際に外部説明資料としても活用できる
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Word形式で編集可能なので、会社規模や業種に合わせた修正が容易
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監査役会と取締役会・会計監査人との関係性を整理し、不正防止やリスク管理に役立つ
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