婿養子の離婚及び縁組解消に関する合意書

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婿養子の離婚及び縁組解消に関する合意書

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【1】書式概要


この合意書は、婿養子として妻の家に入った夫が、何らかの事情で結婚生活を継続できなくなった場合に、離婚と同時に養子縁組を解消するための書類です。通常の離婚だけでは対応しきれない複雑な状況を、一つの合意書で整理できるようになっています。

 

婿養子というのは、結婚する際に夫が妻の実家の一族に入る身分変更を伴う特殊な婚姻形態です。このケースでは、単に夫婦関係を終わらせるだけでなく、家族の一員としての法律上の親子関係も同時に解消する必要があります。つまり、婚姻届を出すのと同じくらい重要な「縁組解消届」という手続きが発生するわけです。

 

たとえば、妻の親との折り合いが悪くなったり、婚姻生活が上手くいかなくなったりした場合に、妻の家族の一員から身を引く必要が生じます。そういう時に、この書式を使うことで、二人の間で何を決めたのかを明確に残すことができます。離婚と縁組解消の時期をそろえるか、支払うべきお金はあるのか、名前をどうするのかなど、実務的な決定事項をすべてまとめておくと、市町村役場での手続きもスムーズに進みます。

 

本テンプレートはWord形式で提供されているため、パソコン上で簡単に日付や金額、住所などの必要な情報を直接入力して編集できます。自分たちの状況に合わせてカスタマイズが可能なので、すぐに実務で活用できる実践的な書類として機能します。このような身分変更を伴う離婚は件数が少なくニッチですが、該当する当事者にとっては大変貴重な参考資料になるはずです。

 

 

 


【2】条文タイトル


第1条(離婚及び縁組解消)
第2条(離婚届・縁組解消届の提出)
第3条(財産分与)
第4条(慰謝料)
第5条(戸籍上の名前変更)
第6条(その他の合意事項)
第7条(秘密保持)
第8条(合意の変更及び解除)
第9条(紛争解決)
第10条(効力発生日)

 

 

 


【3】逐条解説


第1条(離婚及び縁組解消)


このセクションは、二人の身分変更の基本事項を定めます。婿養子制度において、婚姻と養子縁組は同時に成立することがほとんどです。ここで重要なのは、離婚と縁組解消を同時に行うことの確認です。たとえば、妻が実家を継がなくなった場合や、婚姻生活の破綻により一切の親族関係を清算したい場合に、この規定が基盤になります。具体的には、「令和6年3月15日に婚姻および養子縁組を成立させたことを確認し、本日付で両者を解消する」というように、成立日と解消日をはっきりさせることで、その後の戸籍処理に齟齬が生じるのを防ぎます。

 


第2条(離婚届・縁組解消届の提出)


離婚と縁組解消を行政上実現するためには、市町村役場に書類を提出しなければなりません。単に二人で合意しただけでは戸籍は変わらないのです。この条項は、その提出期限と提出方法を明確にします。通常は「30日以内」のように比較的短い期間が設定されることが多く、これにより合意内容が実行されることを担保します。例えば、「合意してから45日以内に役場に行く」と決めておくことで、どちらかが手続きを後回しにしてしまう事態を防げます。提出先は通常、妻の住所地の市町村役場か夫の住所地の市町村役場のどちらかになります。

 


第3条(財産分与)


婚姻期間中に二人で力を合わせて築いた共有財産(自動車、貯金、不動産など)の分け方を決めます。「分与なし」と「分与あり」の選択肢が用意されているのは、夫婦の経済状況や婚姻期間によって大きく異なるためです。たとえば、5年間の婚姻で相応の貯金がある場合は「分与あり」を選び、「妻が夫に200万円を支払う」と明記します。支払期限は「45日以内」など具体的な日数で記入し、銀行振込やその他の方法で確実に支払うようにします。この条項がないと後で「あの時お金をもらうはずだった」というトラブルが生じやすいため、たとえ0円であっても明確に「なし」と記す重要性があります。

 


第4条(慰謝料)


婚姻破綻の原因に一方の責任がある場合、その方から相手方に対して慰謝料を支払うことがあります。第3条の財産分与とは異なり、慰謝料は「誰かの不法行為に対する精神的損害賠償」という性格を持ちます。例えば、夫が妻の親族に対して著しく失礼な言動を繰り返したために家族関係が破綻した場合、妻は夫に慰謝料を請求することができます。ここでは「50万円を分割で支払う」「一括で支払う」など、双方が納得した支払い方法と期限を設定します。慰謝料を請求しない場合は「慰謝料なし」を選択し、相互に請求権を放棄することを明記することで、後のトラブルを未然に防ぎます。

 


第5条(戸籍上の名前変更)


縁組解消後、夫がどの氏を使うかを決める条項です。婿養子は妻の姓に変わっているため、縁組解消時には元の姓(旧氏)に戻すか、現在の氏を名乗り続けるかの選択が生じます。例えば、元々「田中太郎」だった男性が妻の「鈴木」家に婿養子として入ると、戸籍上「鈴木太郎」に変わります。縁組解消後に「田中太郎」に戻したければ「名前を変更する」を選び、そのまま「鈴木太郎」でいたければ「名前を変更しない」を選びます。戸籍の変更は人生に大きな影響を与えるため、ここは慎重に判断する必要があります。仕事上の信用や子どもがいる場合の親権との関連も考慮すべき重要な決定です。

 


第6条(その他の合意事項)


上記の5つの条項では網羅しきれない、カップルごとの特殊な約束事を記入するための余白です。例えば「婚姻中に生まれた子どもの親権と養育費はどうするのか」「妻の親が夫に貸していたお金は返すのか」「別れた後の交流は持つのか」など、当事者たちにとって重要な事柄があれば、ここに明記します。このセクションは自由度が高いため、カップルの具体的な状況に合わせてカスタマイズできる利点があります。

 


第7条(秘密保持)


この合意内容を無分別に周囲に広めないことを約束する条項です。婿養子の離婚という事実は、妻の家族にとってセンシティブな問題になることが多く、第三者に余計な詮索をされたくないと考えるのが自然です。この条項により、「慰謝料はいくら支払ったのか」「どういう理由で離婚したのか」といった具体的な内容を、正当な理由がない限り他言しないことが定められます。ただし「弁護士や税理士に相談する」というような正当な理由がある場合は秘密保持義務が解除されるという仕組みになっており、実務的な柔軟性も備えています。

 


第8条(合意の変更及び解除)


いったん合意した内容は、その後変更したり解除したりすることができるということを定めています。ただし重要な制限があり「当事者双方の書面による同意があった場合に限り」という条件が付いています。つまり、片方が一方的に「やっぱり変えたい」と言ってもダメで、もう一方も同意する必要があるということです。例えば、合意後に夫が仕事を失って経済状況が大きく変わった場合でも、妻が同意しなければ支払い条件は変わらないということになります。この厳格な要件により、一度した約束の重みが担保されるわけです。

 


第9条(紛争解決)


合意の解釈や履行をめぐってトラブルが生じた場合の裁判所を特定する条項です。通常の民事訴訟ではなく「家庭裁判所」を第一審として指定しているのは、この事件が家族関係という特殊な領域に属するためです。例えば、支払い期限を過ぎても慰謝料が支払われない場合や、財産分与の額について意見が異なる場合、いきなり普通の地方裁判所に訴えるのではなく、まず家庭裁判所で調停や審判を受けることになります。このように紛争解決の場所を事前に定めておくことで、争いが生じた際の判断が迅速になります。

 


第10条(効力発生日)


この合意書がいつから効力を持つかを定める条項です。通常は「両者が署名・押印した日」が効力発生日になります。例えば「令和6年5月20日に二人が印鑑を押して署名した」なら、その日から合意内容が法的に拘束力を持つようになるということです。これにより、後で「実はあの合意は無効だと思う」というような言い張りを防ぎます。効力発生日を明確にすることで、各条項に定めた期限計算(例えば「45日以内」)の基準日も自動的に決まるため、実務的に重要な規定です。

 


【4】FAQ


Q1. 婿養子と通常の婚姻は何が違うのですか?


A. 通常の婚姻では夫が妻の姓になりませんが、婿養子では夫が妻の家族の一員として妻の氏を名乗るようになります。同時に戸籍上の親子関係も生じるため、法律上は妻の家族の一員となります。そのため離婚時には、この親子関係も解消する必要があるのです。

 


Q2. 離婚届と縁組解消届は同時に提出できますか?


A. はい、同時に提出できます。むしろ同時に提出することが標準的です。両方を同じタイミングで市町村役場に出すことで、戸籍上も一度に変更されるため、手続き上もスッキリします。

 


Q3. 財産分与と慰謝料は両方請求できますか?


A. はい、できます。財産分与は「婚姻中に築いた共有財産の分け方」で、慰謝料は「婚姻破綻の責任に対する損害賠償」という異なる性質の請求です。ただし、合計金額が妥当かどうかは状況によります。

 


Q4. 子どもがいる場合はどうなりますか?


A. この書式の第6条「その他の合意事項」で、親権や養育費について記入することができます。子どもの親権者を決め、養育費の金額と支払い方法を明記することが重要です。

 


Q5. 署名と押印は必ず必要ですか?


A. この書式では効力発生日が「双方が署名・押印した日」と定められているため、署名と押印は必須です。できれば認印ではなく実印を使い、印鑑登録証明書を一緒に保管しておくと、より確実です。

 


Q6. 弁護士や行政書士に相談してから記入するべきですか?


A. 状況によります。支払い額が大きい場合や、第6条で決める事項が複雑な場合は、専門家に一度相談してから記入することをお勧めします。この書式はテンプレートであり、個別の事情に完全に対応するわけではないからです。

 


Q7. この書式で市町村役場に認められますか?


A. 市町村役場の担当者が確認する必要があります。基本的な形式は備えていますが、各自治体によって細かい指定がある場合もあります。提出前に一度、窓口で「この書式で大丈夫ですか」と確認することをお勧めします。

 


Q8. 後で気が変わったら解除できますか?


A. できますが、相手の同意が必要です。第8条に「変更又は解除は、当事者双方の書面による同意があった場合に限り、これを行うことができる」と書かれているため、片方だけの都合では変えられません。

 


【5】活用アドバイス


このテンプレートを活用する際には、いくつかのコツがあります。まず最初に、二人でこの書式をゆっくり読み合わせることをお勧めします。各条項が何を意味しているのか、互いに同じ理解を共有することが大切です。誤解のまま署名してしまうと、後でトラブルが生じやすくなります。

 

次に、金額を記入する際には「具体的な数字」を入れてください。「適切な金額」や「相応の金額」のような曖昧な表現では、後で争いになる可能性があります。「300万円」「45日以内」というように、数字で明確に定めることが重要です。

 

第6条「その他の合意事項」は、カップルごとに最も異なる部分になります。例えば子どもがいれば親権と養育費、妻の親から借りているお金があれば返済方法、など個別の事情をここに盛り込みます。このセクションを丁寧に埋めることで、テンプレートがあなたたちの状況に合ったカスタマイズ版に変わります。

 

記入後は、できれば行政書士や弁護士に一度見てもらう(形式的な確認)ことをお勧めします。特に金額が大きい場合や、複雑な条項を設定する場合は、専門家の目を通すことで後のトラブルを大きく減らせます。

 

最後に、署名と押印をする前に、3~5日間は文書を寝かせて、冷静に再度確認することをお勧めします。興奮状態や感情的になっている時に署名すると、後で「あの時はおかしかった」という後悔につながりやすいからです。落ち着いた判断こそが、後々のトラブルを防ぐ最良の方法です。


【6】この書式を利用するメリット


このテンプレートを使用することで、いくつかの実質的なメリットが生まれます。

 

まず何といっても、弁護士に頼むよりも大幅に費用を抑えられることです。弁護士に離婚協議書の作成を依頼すれば数十万円の費用がかかることもありますが、このテンプレートなら数千円の投資で済みます。特に慎重に進める必要がある婿養子の離婚だからこそ、コスト面でのメリットは大きいのです。

 

次に、必要な条項がすべて揃っているという安心感があります。素人が一からドキュメントを作成しようとすると、「あ、これについて決めてなかった」という落ち穴に陥りやすいものです。このテンプレートは、婿養子の離婚で通常必要とされるすべての条項を盛り込んでいるため、抜け落ちのリスクが低まります。

 

第三に、両者の合意内容を明確に記録に残すことができます。「言った言わないの争い」を防ぐため、書面という客観的な証拠が何よりも重要です。特に感情的になりやすい状況だからこそ、第三者にも分かる形で条件を明記することが大切なのです。

 

第四に、市町村役場での手続きがスムーズに進む可能性が高まります。役場の担当者は、形式的に整った書類を見ると処理が早くなる傾向があります。ちぐはぐな書類よりも、きちんとした形式で作成された書類の方が印象も良く、質問されるリスクも減ります。

 

最後に、この書式を作成する過程そのものが、二人にとって心理的な区切りになります。感情的に別れるのではなく、理性的に条件を整理して合意する過程を通じて、「これからは別々の人生を歩む」という覚悟が決まりやすいのです。

 

 

 

 

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