「お金を返してほしい」——返金請求書を送ったら、相手から連絡がきた。
示談に応じる姿勢を見せている。でも、ここからどうすればいいの?
口約束だけで終わらせたら、また逃げられるかもしれない。
そんな不安を抱えていませんか?
示談交渉がまとまったら、必ず「示談書」を作成してください。
この記事では、頂き女子被害の示談書の作り方を、すぐに使えるテンプレート付きで解説します。
示談書とは?
示談書とは、当事者間でトラブルを解決した際に、その合意内容を書面にまとめたものです。
法的には「和解契約書」とも呼ばれ、双方が署名・押印することで法的拘束力を持ちます。
示談書を作成するメリット
① 合意内容が明確になる
「いくら返す」「いつまでに返す」「分割払いはどうする」など、口約束では曖昧になりがちな内容を明文化できます。
② 後から「言った・言わない」を防げる
書面に残すことで、後から「そんな約束はしていない」と言われるリスクを防げます。
③ 裁判での証拠になる
万が一、相手が約束を破った場合、示談書は裁判で有力な証拠になります。
④ 追加請求を防げる
「清算条項」を入れることで、この示談で全て解決したことを確認し、後からの追加請求を防げます。
示談書に盛り込むべき条項
頂き女子被害の示談書には、以下の条項を盛り込みましょう。
必須条項
① 事実の確認(第1条)
何が起きたのかを明確にします。
- いつ知り合ったか
- いくら騙し取られたか
- どんな嘘をつかれたか
- 相手が詐欺行為を認めているか
相手に「詐欺だった」と認めさせることがポイントです。
② 示談金(第2条)
返金される金額を明記します。
通常は騙し取られた全額ですが、交渉の結果、減額する場合もあります。
③ 支払方法(第3条)
- 一括払いか分割払いか
- 支払期限
- 振込先口座
- 振込手数料の負担
分割払いの場合は、毎月の支払額と最終期限を明確にします。
④ 期限の利益喪失条項(第4条)
「以下の場合は残額を一括で払え」という条項です。
- 2回以上支払いを滞納したとき
- 住所不明になったとき
- 破産手続きを開始したとき
この条項がないと、相手が支払いをサボっても、毎回督促しなければなりません。
⑤ 遅延損害金(第5条)
支払いが遅れた場合のペナルティです。
年14.6%が上限の目安(消費者契約法)。これを入れることで、支払い遅延の抑止力になります。
⑥ 刑事告訴に関する条項(第6条)
「支払いを完了したら刑事告訴しない」という約束です。
逆に言えば、「支払わなければ刑事告訴する」というプレッシャーになります。
⑦ 接触禁止条項(第7条)
示談後、相手から連絡されたり、つきまとわれたりしないための条項です。
- 面会禁止
- 電話・メール・SNS禁止
- 自宅・勤務先への訪問禁止
⑧ 口外禁止条項(第8条)
この件を第三者に言いふらさないという約束です。
SNSへの投稿も禁止に含めましょう。
⑨ データ削除条項(第10条)
相手があなたの写真や個人情報を持っている場合、削除させます。
リベンジポルノ対策としても重要です。
⑩ 違約金条項(第11条)
示談書の内容に違反した場合のペナルティです。
10万円~50万円程度が相場。抑止力として機能します。
⑪ 清算条項(第12条)
「この示談で全て解決。他に請求するものはない」という確認です。
双方にとって、これ以上揉めないための重要な条項です。
一括払いと分割払い、どちらがいい?
一括払いのメリット・デメリット
メリット
- 一度で解決する
- 取りっぱぐれがない
- 手間がかからない
デメリット
- 相手が払えない可能性がある
- 交渉が難航する可能性がある
分割払いのメリット・デメリット
メリット
デメリット
- 途中で支払いが止まるリスク
- 長期間かかる
- 督促の手間
結論
可能であれば一括払いがベストです。
ただし、相手に支払い能力がない場合は、分割払いで確実に回収する方が現実的です。
分割払いの場合は、必ず期限の利益喪失条項と遅延損害金条項を入れてください。
示談書作成の流れ
STEP 1:条件を交渉する
示談書を作成する前に、以下の条件を相手と合意します。
- 返金額(全額?減額?)
- 支払方法(一括?分割?)
- 支払期限
- その他の条件(接触禁止など)
LINEやメールでやり取りする場合は、必ずスクショを保存しておきましょう。
STEP 2:示談書を作成する
本記事のテンプレートを使って示談書を作成します。
合意した条件を記入し、2部印刷します。
STEP 3:署名・押印する
直接会って署名・押印するか、郵送でやり取りします。
直接会う場合の注意点
- 人目のある場所(カフェ等)で
- 可能であれば第三者(友人など)に同席してもらう
- 録音しておく(念のため)
郵送の場合
- 2部送って、1部に署名・押印して返送してもらう
- 返信用封筒(切手付き)を同封する
STEP 4:保管する
署名・押印された示談書は、大切に保管してください。
コピーを取っておくと安心です。
示談交渉のポイント
相手が減額を求めてきた場合
「全額は払えない」と言われることは珍しくありません。
対応方法
- まずは全額請求を維持する
- 相手の支払い能力を確認する(収入、資産など)
- どうしても無理なら、減額に応じることも検討
- ただし、安易に大幅減額しない
減額に応じる場合の目安
一般的に、騙し取られた金額の**70%~80%**が回収できれば、まずまずの結果と言えます。
50%以下になる場合は、弁護士に相談した方がよいかもしれません。
分割払いを求められた場合
分割払いに応じる場合は、以下の点を確認してください。
- 月々いくらなら払えるのか
- 収入の証拠(給与明細など)を見せてもらえるか
- 連帯保証人を付けられるか
分割回数の目安
- 12回以内が望ましい
- 24回以上は要注意(途中で逃げられるリスク)
- 毎月の支払額は、相手の収入の20%以内が目安
相手が「払えない」と開き直った場合
示談交渉が決裂した場合は、以下の選択肢があります。
- 弁護士に依頼して交渉してもらう
- 少額訴訟(60万円以下の場合)
- 通常訴訟
- 刑事告訴
「払えないなら刑事告訴する」と伝えると、態度が変わることも多いです。
示談書の記入例
テンプレートの○○部分を、以下のように記入します。
| 記入箇 |
記入例 |
| 甲(被害者)の氏名 |
鈴木 太郎 |
| 乙(加害者)の氏名 |
山田 花子 |
| 知り合った時期 |
令和5年4月頃 |
| 金銭交付期間 |
令和5年6月から令和5年12月まで |
| 被害総額 |
150万円 |
| 虚偽の事実(1) |
「家賃が払えなくて困っている」と告げた |
| 虚偽の事実(2) |
「来月には必ず返す」と告げた |
| 虚偽の事実(3) |
「あなたと結婚したい」と告げた |
| 示談金額 |
150万円 |
| 支払方法(一括の場合) |
令和6年1月31日までに一括 |
| 支払方法(分割の場合) |
令和6年1月から12月まで毎月末日限り12.5万円ずつ |
| 振込先口座 |
○○銀行 ○○支店 普通 1234567 スズキ タロウ |
| 違約金 |
30万円 |
| 管轄裁判所 |
東京地方裁判所 |
示談書作成後の注意点
支払いが遅れたら
期限までに支払いがない場合は、まず連絡して督促します。
2回以上遅れたら、「期限の利益喪失」を通知し、残額一括請求に切り替えます。
それでも払わない場合は、弁護士に相談するか、訴訟を検討してください。
相手が接触してきたら
示談書で接触禁止を約束したにもかかわらず、相手が連絡してきた場合は、違約金条項に基づいて請求できます。
悪質な場合は、ストーカー規制法に基づく警告申出も検討してください。
相手がSNSで暴露したら
口外禁止条項に違反しているため、違約金を請求できます。
また、内容によっては名誉毀損として別途損害賠償請求も可能です。
FAQ(よくある質問)
Q. 示談書に法的効力はある?
A. あります。示談書は「和解契約」として法的拘束力を持ちます。相手が約束を破った場合、裁判で強制執行することも可能です(ただし、確定判決や公正証書が必要な場合もあります)。
Q. 公正証書にした方がいい?
A. 高額(100万円以上)の場合や、分割払いの場合は、公正証書にすることをおすすめします。公正証書にすると、相手が払わない場合、裁判なしで強制執行(差押え)ができます。
公正証書の作成費用は、金額によりますが1万円~数万円程度です。
Q. 相手が署名・押印を拒否したら?
A. 示談は合意があって初めて成立します。相手が署名を拒否する場合、示談は成立しません。
その場合は、弁護士に依頼するか、訴訟を検討してください。
Q. 示談書は手書きでもいい?
A. 手書きでも有効ですが、読みやすさと保存性を考えると、パソコンで作成した方がよいでしょう。
署名部分は手書きで記入し、押印してください。
Q. 印鑑は実印が必要?
A. 認印でも法的には有効です。ただし、高額な示談の場合は、実印+印鑑証明書があるとより確実です。
Q. 示談書を作成するタイミングは?
A. 条件が合意できたら、すぐに作成してください。口約束のまま放置すると、相手の気が変わることがあります。
まとめ
頂き女子被害の示談交渉がまとまったら、必ず示談書を作成してください。
口約束だけでは、いつ裏切られるかわかりません。
この記事のポイント
- 示談書は法的拘束力を持つ
- 事実の確認、支払条件、接触禁止、清算条項が重要
- 分割払いの場合は期限の利益喪失条項を必ず入れる
- 高額・分割の場合は公正証書も検討
- 署名・押印された示談書は大切に保管
このテンプレートを活用して、確実に返金を受け取ってください。
ご利用にあたっての注意事項
- 本テンプレートは一般的な事案を想定して作成しています
- 個別の事情により修正が必要な場合があります
- 法的効果を保証するものではありません
- 高額被害や複雑な事案は弁護士への相談を推奨します
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