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【1】書式概要
この書式は、警察などの公的機関から従業員に関する情報提供を求められた際に、企業が回答する際に使用する統一的な対応文書です。具体的には、刑事事件の捜査に関連して警察から「あなたの会社で働いている人について、その人の氏名や給与、勤務状況などの情報を教えてほしい」という照会を受けた場合に、企業側が公式に情報を提供するための回答書となります。
このような照会は珍しいことではなく、企業の従業員が何か事件に関係している可能性がある場合や、従業員の個人情報が事件の解明に必要な場合に発生します。警察から照会を受けた企業は、法律に従ってこれに適切に対応する義務があります。ただし、単に従業員の情報をそのまま渡すだけでなく、どの法律に基づいて情報を提供するのか、その情報をどのような目的で使用するのか、そして企業としての責任をどこまで負うのかといった点をきちんと整理した上で提出する必要があります。このテンプレートは、そうした法務的な配慮と企業防衛のポイントをあらかじめ組み込んだ完成度の高い回答書の形式を提供するものです。
本テンプレートの最大の特徴は、法律の専門家でない企業の総務や人事の担当者でも、このファイルを使用して適切な回答書を作成できるという点にあります。Wordで編集可能な形式であるため、自社の情報を入力欄に記入していくだけで、内容的に充実した専門性の高い回答書が完成します。改めて文体を整えたり、記載すべき項目を追加したりする手間も不要です。
このテンプレートには、従業員の基本情報や給与情報、勤務状況、懲罰処分などに関する情報をまとめるための明確に構成されたセクションが含まれています。また、情報開示の法的根拠を示すセクション、企業の責任範囲を明確にするセクション、そして重要な留意事項をまとめたセクションが組み込まれており、警察側に対して企業の真摯な対応姿勢を効果的に示すことができます。
企業の法務部門や総務部門では、警察からの照会に対応する際に直面する様々な疑問や不安を抱えることになります。提供しても良い情報は何か、提供してはいけない情報は何か、従業員本人にはどのタイミングで知らせるべきか、といったことです。このテンプレートは、そうした疑問に対する答えを既に反映させた形で構成されており、専門知識がなくても企業として適切で堅実な対応ができるようになっています。さらに、情報管理の責任を誰に帰属させるのかといった内容も明記されているため、将来的なトラブルを回避するという観点からも有効です。
Wordの編集機能を活用することで、自社の会社名や従業員の氏名、給与額といった個別情報を簡単に入力でき、複数の従業員からの照会に対応する際も、効率的にカスタマイズされた文書を作成することが可能です。
【2】条文タイトル一覧
第1条(当社の概要)
第2条(本照会書の内容の確認)
第3条(従業員の基本情報)
第4条(勤務実績及び勤務記録)
第5条(懲罰・処分・訓告に関する情報)
第6条(その他の情報)
第7条(情報の正確性及び記録の限界について)
第8条(法的根拠及び情報開示に関する説明)
第9条(重要な留意事項)
第10条(今後の対応及び問い合わせ先)
【3】逐条解説
◆第1条(当社の概要)
当社の概要セクションは、回答を提出する企業側の基本情報を最初に明確にしておくための重要なパートです。企業の商号、代表者の名前、本社の所在地、電話番号、設立年月日、従業員数、そして事業内容を列挙します。警察側にしてみれば、回答書を受け取った際に、これが正当な企業からの回答であるかどうかを確認したいというニーズがあります。そのため、企業としての基本身分をはっきりと提示することは、回答書の信頼性を大きく高めます。
また、この情報は、今後警察が何か追加の質問をしたい場合や、より詳しい情報を求めたい場合の連絡先確認の役割も果たします。企業側としても、「我が社は健全で透明性のある企業である」というメッセージを最初から発信することができる効果があります。中小企業から大企業まで幅広い企業が利用することを想定しているため、従業員数や事業内容の欄に具体的な数字や説明を記入することで、その企業の実像が警察側にも明確に伝わるようになっています。
◆第2条(本照会書の内容の確認)
このセクションは、警察から受け取った照会書そのものについて、企業側がその内容をきちんと読み取り、理解していることを示すためのものです。具体的には、照会を受けた日付、どこの警察からなのか、その法律上の根拠は何か、誰についての情報が求められているのか、どのような事件との関連が考えられているのか、といった各要素を表形式でまとめて記載します。このプロセスは、単なる形式的な手続ではなく、実は非常に重要な意味を持っています。
理由としては、企業が警察の照会内容を正確に理解した上で、その範囲内での情報提供をしたということを明確に記録に残すためです。万が一、後日「その情報は求めていなかった」といったようなトラブルが生じたとしても、「我々はこの内容の照会に対して、このような回答をしました」という証拠が残るわけです。これはいわば企業側の自己防衛にもなります。また、照会の内容を正確に理解していることを示すことで、警察側にも「この企業は真摯に対応している」という印象を与えることができます。
◆第3条(従業員の基本情報)
このセクションは、回答書の中核となる部分です。当該従業員に関する情報を、細分化された複数のカテゴリーに分けて記載します。個人情報として、氏名、生年月日、性別、現在の住所、連絡先の電話番号を記載します。雇用情報では、社員番号、入社日、雇用形態(正社員か契約社員かなど)、契約期間がある場合はその期間、所属する部門、職位、具体的な職務内容、直属の上司の氏名、そして現在の雇用状況(在籍しているのか、休職中なのか、既に退職しているのか)を記載します。給与・福利厚生情報では、給与体系、毎月の基本給、最新の給与額、賞与の支給状況、昇給の実績、社会保険や雇用保険への加入状況、福利厚生施設の利用状況などを明記します。このように多項目にわたる情報を体系的に整理することで、警察が必要とする情報を漏れなく提供することができます。
また、形式が統一されているため、複数の従業員に関する照会が来た場合でも、同じフォーマットで対応できるという実務的な利点もあります。退職者である場合のセクションも別途設けられているため、既に退職した従業員に関する照会にも対応できる柔軟性を備えています。
◆第4条(勤務実績及び勤務記録)
このセクションでは、当該従業員の最近の勤務実績を客観的データとして提供します。具体的には、照会を受けた日前の3ヶ月間について、毎月の出勤日数、欠勤日数、遅刻や早退の回数を表にして示します。さらに、出張や部門間の異動がある場合は、その日付、内容、異動先、そして期間を記載します。
警察が従業員の在籍状況や勤務地を知りたい理由は様々ですが、例えば「事件が起きた時間帯に、その従業員は本当に会社にいたのか」といった点を確認したい場合があります。あるいは「この従業員が別の営業所に出張していた」というような事実が事件解明に関係することもあり得ます。このセクションによって、警察の捜査に対して客観的で信頼性の高い情報を提供することができるようになります。
◆第5条(懲罰・処分・訓告に関する情報)
企業が従業員に対して懲罰や処分を行ったことがある場合、その記録をこのセクションに記載します。具体的には、警告を与えた日、減給処分を行った日、懲戒解雇をした日、あるいは訓告を行った日といった日付、その処分の種類、そしてその理由の詳細を表形式で示します。企業の規則に違反したから、勤務態度に問題があったから、といった理由が記載されることになります。このセクションが重要な理由は、従業員の過去の行動パターンや問題行動の有無について、警察に客観的な情報を提供できるという点です。
例えば、当該従業員が過去に複数回の処分を受けている場合、それは「この人物は企業の規則にしばしば違反する傾向がある」というメッセージになり、警察の捜査方針に何らかの示唆を与えるかもしれません。逆に、処分歴がない場合も、「この従業員は企業内での評価が良好である」という情報として機能します。ただし、処分歴がない場合も「該当期間中に懲罰・処分・訓告の記録なし」と明確に記載することで、「情報がないのではなく、実際に処分歴がない」ということが明確に伝わります。
◆第6条(その他の情報)
このセクションは、第3条から第5条までのセクションに記載されなかった、それでも企業が保有している従業員に関する情報をリストアップするものです。業務上の連絡先(メールアドレスや内線番号)、勤務地の変更履歴、職位の変更履歴、休業期間の詳細、研修や教育の受講状況、コンプライアンス研修の受講記録、セキュリティゲートの通過記録(セキュリティゲートのある企業施設がある場合)などが該当します。ここでの工夫は、「これらの情報についても、貴職がご必要であれば、別途ご照会いただければ幸いです」という一文を入れることです。これによって、企業は「求められた情報には誠実に応じつつも、求められていない情報まで無制限には提供しない」というスタンスを示すことができます。これは、過度な情報提供を避けつつも、協力的な姿勢を示す絶妙なバランスです。
◆第7条(情報の正確性及び記録の限界について)
このセクションは、企業が提供する情報について、その正確性を完全に保証しないという点を明確にするための重要な条項です。理由としては、人事管理システムにおけるデータ入力の遅延、システムエラーの可能性、従業員による虚偽申告がシステムに反映されている可能性、そして企業が保有していない情報については当然提供できないという現実があるためです。例えば「基本給月額が100万円」と記載してあっても、実際には社会保険加入に伴う給与計算のルールによって手取りが変わることもあります。
また、「現住所が〇〇市」と記載していても、従業員が転居してまだ企業に届け出ていない場合、実際には異なる住所に住んでいる可能性があります。こうした限界を最初から明確にしておくことで、警察側も「この情報は企業が保有している時点でのデータである」という適切な理解のもとで情報を利用することができるようになります。また、企業側としても「我々はこの情報が完全正確であることを保証していない」という免責的な立場を記録に残すことができます。
◆第8条(法的根拠及び情報開示に関する説明)
このセクションでは、企業が従業員の個人情報を警察に提供することが、法律上正当であることを説明しています。具体的には、刑事訴訟法第197条第2項という法律の条文に基づいて、警察が企業に対して情報照会を行う権限があることを述べています。さらに、個人情報の保護に関する法律第23条第2項第2号という条文では、「法令に基づく場合」には、企業の個人情報保護方針の制限を受けることなく、従業員の個人情報を第三者(この場合は警察)に提供することができると定めていることを説明しています。
このセクションを入れることで、企業が「単に警察からの圧力に屈しているのではなく、法律に従って適切に対応している」ということを明確に示すことができます。これは、従業員からの将来的なクレーム(「なぜ私の個人情報を警察に渡したのか」といった類のもの)に対する防衛材料にもなります。
◆第9条(重要な留意事項)
このセクションは、回答書提出後の重要な点を警察側に改めて念押しするセクションです。具体的には、以下の五つの点を記載しています。第一に、提供した情報は、その照会の対象となっている事件の捜査のためにのみ使用されるべきであり、他の目的での使用は避けるべきであるという点。第二に、この情報が利用される過程で新たに得られた二次的な情報の利用については、企業への事前報告があるべきであるという点。第三に、情報提供後の情報管理はすべて警察側の責任であり、企業は管理ミスに起因しない限り責任を負わないという点。第四に、企業は、このような情報提供が従業員に対して行われたことについて、法令に従って適切に対応するという点。そして第五に、企業の従業員には守秘義務を課しており、照会書とその内容について情報漏洩がないようにしているという点です。これらの点を警察に対して明示することで、企業としての責任範囲を明確にし、トラブルの回避を図ることができます。
◆第10条(今後の対応及び問い合わせ先)
最後のセクションでは、企業の連絡先情報をまとめています。会社名、代表者名、本社住所、電話番号、メールアドレス、そして問い合わせ窓口となる部門と担当者の氏名、その担当者の携帯電話とメールアドレスまでも記載します。警察が回答書を受け取った後、「この情報についてもう少し詳しく知りたい」「別の点について教えてほしい」といったような追加の質問が生じる可能性があります。あるいは、逆に「この情報について何か聞きたいことがあるのですが」と警察から企業に連絡があるかもしれません。そうした際に、スムーズに連絡が取れるようにしておくことは、企業としての誠実さを示すとともに、捜査協力という観点からも重要です。このセクションによって、警察と企業の間のコミュニケーションが今後も円滑に進むための基盤が整えられます。
【4】FAQ
Q1:このテンプレートはどんなときに使うのでしょうか?
A1:警察などの捜査機関から、従業員に関する情報提供を求められたときに使用します。例えば「〇〇社の社員である△△さんについて、その人の給与額や勤務状況について教えてほしい」といった類の照会を受けた場合です。このテンプレートを使うことで、企業として法律に基づいた適切な回答書を作成し、提出することができます。
Q2:個人情報を警察に提供しても大丈夫でしょうか?
A2:はい、個人情報保護法で認められています。ただし「法令に基づく場合」という条件があります。警察からの照会は刑事訴訟法という法律に基づいているため、個人情報保護法第23条第2項第2号の「法令に基づく場合」に該当します。そのため、通常の個人情報保護方針の制限を受けることなく、従業員の個人情報を提供することが認められています。このテンプレートには、その法的根拠がきちんと記載されています。
Q3:従業員本人には知らせる必要がありますか?
A3:基本的には、捜査の障害になならない限りは、企業として従業員に適切なタイミングで知らせることが望ましいとされています。ただし「秘匿してほしい」という警察からの指示がある場合は、その指示に従う必要があります。このテンプレートには「捜査機関からの指示がある場合には秘匿を検討し、指示がない場合には適切なタイミングで従業員に報告することを検討いたします」と記載されており、企業としての慎重な姿勢が示されています。
Q4:どのような情報を記載する必要がありますか?
A4:このテンプレートでは、従業員の基本的な個人情報(氏名、生年月日、住所など)、雇用情報(入社日、職位、給与額など)、勤務状況(最近の出勤日数、異動状況など)、そして処分履歴などを記載することになっています。ただし「すべての情報をすべて記載しなければならない」というわけではなく、その時点で企業が保有している情報を記載することになります。記載できない情報がある場合は、そのことを明記すればよいようになっています。
Q5:情報を提供した後、警察が不当な目的で使用した場合、企業は責任を負いますか?
A5:いいえ、基本的には負いません。このテンプレートの第8条では「本情報が提供された後の管理及びセキュリティ確保については、貴機関の責任に属するものです」と明記されています。つまり、情報提供後は警察側の管理の問題となり、企業の管理ミスに起因しない限り、企業は責任を負わないということになります。
Q6:複数の従業員に関する照会が来た場合、このテンプレートを複数使用できますか?
A6:はい、もちろんです。このテンプレートはWord形式で編集可能な形になっているため、1回限りの使用を想定していません。むしろ、複数の従業員に関する照会に対応する際に、同じフォーマットで効率的に対応できるというのが、このテンプレートの利点の一つです。従業員ごとに異なる情報を入力欄に記入することで、カスタマイズされた回答書を複数作成できます。
Q7:このテンプレートを使用すれば、本当に大丈夫ですか?
A7:大丈夫度は高いです。ただし、企業の業態や照会の内容によっては、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。例えば「法人の代表者としての責任が問われる可能性がある」といったような特殊な事情がある場合は、回答内容について専門家のアドバイスを受けた上で提出することが望ましいです。ただ、通常の従業員に関する照会への対応であれば、このテンプレートを使用することで、企業として十分な対応ができるレベルの書式になっています。
Q8:このテンプレートに記載されていない情報も提供する必要がありますか?
A8:基本的には、警察からの照会内容に応じて提供する情報を判断することになります。テンプレートに記載されていないけれど、警察が明確に「これについて教えてほしい」と言っている情報があれば、その情報も提供する必要があります。その際は、テンプレートの「第6条(その他の情報)」を活用して、追加情報を記載することができます。
Q9:情報を誤って記載してしまった場合、後で修正できますか?
A9:はい、修正できます。ただし、既に警察に提出してしまった場合は、誤りに気付いた時点で速やかに警察に連絡し、修正版を提出することをお勧めします。Word形式のテンプレートであれば、修正が容易です。ただし、第7条に「提供情報の正確性、完全性、最新性について、法律上の保証をいたしません」と記載されているため、多少の誤りについては「人事管理システムのデータが最新ではなかった」という説明で対応できる場合もあります。
Q10:このテンプレートは何度も使用できますか?
A10:はい、何度も使用できます。複数の従業員に関する照会が来た場合、そのたびにこのテンプレートをコピーして、従業員ごとの情報を入力することで、効率的に対応できます。また、同じ従業員に関する照会が複数の機関から来た場合でも、テンプレートをベースにして対応することができます。ただし、過去に提供した情報から状況が変わっている場合は、最新情報に更新した上での提出が必要です。
【5】活用アドバイス
■ステップ1:警察からの照会を正確に読み込む
警察からの照会を受け取ったら、まずはその内容を全体的に読み込んでください。どの従業員についての照会なのか、何の事件に関連しているのか、どのような情報が求められているのか、といった点を整理します。このテンプレートの第2条を使いながら、照会内容を表にして整理するのがお勧めです。この段階で正確に理解していることが、後の作業の精度に大きく影響します。
■ステップ2:当該従業員に関する情報を社内で集める
次に、企業内の各部門から、当該従業員に関する情報を集めます。人事部からは雇用契約書や給与情報、総務部からは勤怠記録や異動履歴、法務部からは懲罰処分の記録があればそれを集めます。このテンプレートの第3条から第5条までを見ながら「どのような情報が必要か」を確認しておくと、情報収集がスムーズになります。なお、情報によっては「企業が保有していない」という場合もあります。その場合は無理に作為的な情報を記載するのではなく、「当該情報は企業システムに記録されていない」という旨を明記するのが適切です。
■ステップ3:情報を正確に入力する
集めた情報をテンプレートの各欄に入力していきます。この際、特に給与額や日付については、細心の注意を払って入力してください。後で修正することもできますが、最初から正確な情報を入力することが望ましいです。また、情報によっては「概算値」ではなく「正確な実績値」を入力する必要があります。例えば、給与額については「大体この程度」ではなく「正確に〇〇円」と入力してください。
■ステップ4:法的根拠の部分をしっかり確認する
第8条の「法的根拠及び情報開示に関する説明」の部分をしっかり読み込んでください。企業が情報提供するに当たって、法律的な根拠があることが重要です。通常は、このテンプレートに記載されている内容でカバーされていますが、企業の業態によっては、さらに追加的な法的配慮が必要な場合もあります。不安であれば、この段階で顧問弁護士に相談することをお勧めします。
■ステップ5:留意事項を再度確認する
第9条の「重要な留意事項」を再度確認します。特に「情報利用の限定」「利用目的の確認」「情報管理責任」といった点は、企業が警察に対して明確に示しておくべき点です。これらが明記されていることで、企業の責任範囲が明確になり、将来的なトラブルを避けることができます。
■ステップ6:連絡先情報を正確に入力する
第10条の問い合わせ先には、企業の代表的な連絡先だけでなく、今回の照会に対応する部門の具体的な担当者の連絡先も入力します。携帯電話番号も入力しておくと、警察が急に追加質問をしたい場合に対応しやすくなります。
■ステップ7:従業員への対応を検討する
回答書を警察に提出する前に、当該従業員への対応をあらかじめ検討しておくことをお勧めします。警察から「秘匿してほしい」という指示がなければ、適切なタイミングで従業員本人に知らせることが誠実な対応です。この際、「あなたの情報が警察に提供される」ということよりも「なぜそのようなことが起きたのか」という背景を丁寧に説明することが重要です。
■ステップ8:情報セキュリティを再度チェック
回答書は個人情報を含む重要な文書です。ファイル送付時には、パスワード保護を使用し、メール以外の安全な方法(ファックスなど)での送付も検討します。また、企業内でもこの文書の閲覧を限定し、知る必要がある人材のみがアクセスできるようにします。
■ステップ9:提出後の記録管理
回答書を警察に提出したら、企業内には正式な控えを保管しておきます。将来的に「この照会に対してこのような回答をした」という証拠として機能します。ただし、この文書もまた個人情報を含んでいるため、セキュアな環境での保管が必要です。
■ステップ10:警察との今後のコミュニケーション
警察から追加質問が来る可能性に備えて、第10条に記載した担当者を決めておき、その担当者が警察との連絡窓口になるようにします。警察からの問い合わせに対しては迅速に対応することで、企業としての協力的姿勢をさらに示すことができます。
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