【1】書式概要
会社で日々作成される契約書や議事録、請求書、人事書類などの膨大な文書を、いつまで保管すればいいのか迷ったことはありませんか。この文書管理規程は、そんな悩みを解決するための社内ルールを定めたテンプレートです。
企業活動では様々な書類が発生しますが、それぞれに適切な保存期間があります。例えば株主総会の議事録は永久保存が必要ですし、会計帳簿は10年間の保管が求められます。一方で、一時的な通知文書なら1年で処分しても問題ありません。この規程を導入すれば、どの書類をどのくらい保存すべきかが明確になり、オフィスのスペース管理も効率化できます。
特に税務調査への対応や訴訟リスクの軽減という観点からも、文書の適切な管理は欠かせません。保存すべき書類を誤って捨ててしまったり、逆に不要な書類をいつまでも保管してコストがかさんだりといった問題を防げます。また、機密情報の取扱いルールも盛り込まれているため、情報漏洩の防止にも役立ちます。
Word形式で提供されるため、自社の実情に合わせて保存期間や管理方法を自由にカスタマイズできます。総務部門の担当者が文書管理体制を整備する際や、会社設立時に社内規程を整える場面で活用いただけます。紙の書類だけでなく、電子データやマイクロフィルムなど現代的な記録媒体にも対応した内容となっています。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(文書の範囲) 第3条(私有禁止) 第4条(文書管理の主管) 第5条(機密文書取扱い) 第6条(文書の整理) 第7条(保存期間) 第8条(保存の方法) 第9条(保存場所の基準) 第10条(廃棄処分)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この規程がなぜ必要なのかを宣言する条文です。文書の保存と廃棄について明確なルールを設けることで、会社の事務作業をスムーズに進められるようにすることが狙いです。規程がないと、担当者ごとに判断がバラバラになって、後で「あの書類どこいった?」という混乱が起きやすくなります。
第2条(文書の範囲)
この規程で管理する「文書」が何を指すのかを定義しています。紙の書類だけでなく、USBメモリに入ったデータやビデオテープ、録音記録なども含まれます。例えば営業会議の録音データや、顧客管理用のエクセルファイルも対象になるわけです。デジタル化が進む現代の職場環境に対応した幅広い定義といえます。
第3条(私有禁止)
会社の文書は個人のものではなく、組織全体の財産であることを明確にしています。退職時に「これは自分が作ったから」と持ち出したり、自宅に保管したりすることは禁止です。企業秘密の流出防止や、業務の継続性を守るために重要な決まりです。
第4条(文書管理の主管)
文書管理の責任部署を総務部と定めています。各部署で勝手にルールを作ると統一性がなくなるため、全社的な管理は総務部が音頭を取るという体制です。実際の保管作業は各部署が行いますが、ルール作りや指導は総務部の仕事になります。
第5条(機密文書取扱い)
特に重要な情報を含む文書については、別途定められた情報管理規程に従って慎重に扱うよう指示しています。また「極秘」「秘」「社外秘」といったランク付けを書類に明記することで、扱う人が注意すべきレベルを一目で判断できるようにしています。例えば新商品の開発資料には「極秘」を付けるといった運用です。
第6条(文書の整理)
各部署で管理責任者を決めて、処理済みと未処理の書類をきちんと分けて整理することを求めています。担当者が休んだときでも他の人が対応できるよう、わかりやすくファイリングしておくことが大切です。書類の山に埋もれて重要な契約書が見つからない、といった事態を防ぎます。
第7条(保存期間)
この規程の核心部分で、文書の種類ごとに保存期間を定めています。永久保存が必要なのは定款や不動産の契約書、株主総会議事録など会社の根幹に関わるもの。10年保存は会計帳簿や稟議書、7年保存は税務関係書類、5年保存は健康診断簿や出勤簿、3年保存は労働者名簿や賃金台帳、1年保存は一時的な文書といった具合です。ただし硬直的にならないよう、必要に応じて期間を調整できる柔軟性も持たせています。
第8条(保存の方法)
文書を保存する際の実務的な手順を示しています。会計年度ごとにファイルを作り、文書名や保存期間の開始日・終了日をラベルに書いておくことで、いつまで保管すべきかが一目瞭然になります。「この書類いつから保管してるんだっけ?」という疑問がなくなるわけです。
第9条(保存場所の基準)
書類の保管方法について定めています。担当者が不在でも誰でもすぐに取り出せるよう整理することが基本です。また、重要書類については施錠できる金属製キャビネットでの保管を義務付けています。これにより盗難や紛失、火災からの保護を図ります。
第10条(廃棄処分)
保存期間が過ぎた文書をいつまでも置いておくとスペースの無駄になるため、原則として焼却処分することを定めています。ただし、まだ保存期間中であっても明らかに不要な場合は廃棄できますし、逆に期限が来ても必要なら継続保存できる柔軟性も持たせています。情報漏洩を防ぐため、シュレッダー処理も含めた適切な廃棄方法の検討が必要です。
【4】活用アドバイス
まず導入時には、自社で実際に発生する文書の種類を洗い出して、規程の保存期間区分と照らし合わせることをお勧めします。業種によって特有の書類があるはずなので、必要に応じて項目を追加してください。
総務部門だけで運用を始めるのではなく、各部署の管理責任者を集めて説明会を開くと効果的です。なぜこの規程が必要なのか、どう運用すればいいのかを共有することで、現場での定着がスムーズになります。
実際の運用では、年度末に定期的な見直しの時間を設けましょう。保存期間が満了した文書をリストアップして、本当に廃棄していいか確認する作業を習慣化すると、オフィスが書類で溢れかえる事態を防げます。
また、電子データについても同じルールを適用することを忘れずに。サーバーやクラウドに保存されたファイルも、この規程に従って整理・削除していく必要があります。フォルダ構造を保存期間ごとに分けておくと管理が楽になります。
機密文書の区分については、情報管理規程と連動させることが大切です。両方の規程を整備して、セキュリティレベルに応じた保管方法を徹底しましょう。
【5】この文書を利用するメリット
コンプライアンス対応の強化
税務調査や労働基準監督署の調査が入ったときに、必要な書類をすぐに提示できる体制が整います。「保管義務のある書類を捨ててしまった」という致命的なミスを防げます。
業務効率の向上
「この書類どこにある?」「いつまで保管すればいい?」という問い合わせが減り、総務部門の負担が軽減されます。担当者が変わっても混乱なく引き継ぎができるようになります。
コスト削減
不要な書類を処分することでオフィススペースを有効活用でき、保管コストを抑えられます。外部の倉庫サービスを利用している場合は特に効果が大きいでしょう。
リスク管理の徹底
重要書類の紛失や情報漏洩のリスクを低減できます。施錠管理や機密区分の明示により、セキュリティ意識も高まります。
組織の信頼性向上
きちんとした文書管理体制があることは、取引先や金融機関からの信頼にもつながります。特に上場準備中の企業には必須の整備項目です。
柔軟なカスタマイズ
Word形式なので、自社の実情に合わせて保存期間や管理方法を自由に調整できます。業界特有の書類にも対応可能です。
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