【1】書式概要
この解除合意書テンプレートは、既存の契約を双方の合意により円満に終了させるための重要な書式です。国際ビジネスでよく使われる英文契約の解除において、トラブルを避けながらスムーズに契約関係を清算したい場面で威力を発揮します。
特に海外企業との業務委託契約、販売代理店契約、ライセンス契約などを解除する際に、後々の紛争を防ぐための必須書類となっています。単純に契約を一方的に打ち切るのではなく、お互いが納得できる形で解除条件を明確にすることで、ビジネス関係を良好に保ちながら契約を終了できるのが大きなメリットです。
この書式には相互解放条項が含まれているため、解除後に「あの時の損害を請求したい」といった後出しの争いを防げます。また、解除に伴う対価の支払いについても明確に定めているので、金銭面でのトラブルも回避できます。日本語訳も併記されているため、英語が苦手な方でも内容をしっかり理解してから使用できる親切設計になっています。
実際の使用場面としては、海外向けのソフトウェア開発プロジェクトが予定より早く完了した場合の開発契約解除、販売不振により代理店契約を終了する場合、特許ライセンス契約の期間短縮など、様々なケースで活用できます。Word形式で提供されているため、お客様の具体的な契約内容に合わせて自由に編集・カスタマイズが可能です。
【2】逐条解説
第1条(解除時の義務事項/Obligations upon Termination)
この条項は契約解除のタイミングで、それまで両者が負っていた様々な義務がどうなるかを定めています。基本的には「もう何もしなくていいですよ」という内容ですが、この合意書で特別に決めたことは別として継続する場合もあります。たとえば、システム開発契約を解除する場合でも、既に完成した部分の引き渡し義務だけは残るといったケースが考えられます。
第2条(解除の効果/Effect of Termination)
これは非常に重要な条項で、「契約を解除したからといって、過去の問題がチャラになるわけではない」ということを明確にしています。具体例を挙げると、毎月の支払いが3ヶ月遅れている販売代理店契約を解除する場合、契約は終了しますが、その3ヶ月分の未払い代金は依然として支払う義務があるということです。解除前に発生した損害や違反についても同様で、後から請求される可能性を残しています。
第3条(対価/Consideration)
契約解除に際して金銭の授受がある場合の規定です。解除される側が何らかの損失を被る場合の補償金や、逆に解除する側が早期終了の対価を支払うケースなどを想定しています。IT企業が長期サポート契約を途中で解除する際に、残り期間分の一部を補償金として支払うような場面で使われます。金額と支払時期を明確にすることで、後々の金銭トラブルを防ぐ効果があります。
第4条(相互解放/Mutual Release)
この条項は契約解除における最も重要な部分の一つで、「お互いに今後は一切文句を言わない」という約束です。契約に関連して発生した、または発生する可能性のある全ての請求権を放棄することを意味します。製造業の部品供給契約で品質問題があった場合でも、この条項により解除後は品質に関する損害賠償請求ができなくなります。ただし、詐欺や重大な不法行為については別途考慮が必要な場合もあります。
第5条(準拠法/Governing Law)
どこの国や州の法律に従って契約を解釈するかを定める条項です。国際契約では非常に重要で、たとえば日本企業とアメリカ企業の契約でトラブルが発生した場合、日本法で判断するのかアメリカの特定の州の法律で判断するのかで結果が大きく変わることがあります。通常は契約を主導する側や、より事業に関連の深い地域の法律が選ばれることが多いです。
第6条(全契約/Entire Agreement)
この合意書が契約解除に関する全ての約束事を含んでおり、口約束や別の文書は無効であることを明確にしています。「解除の件は電話で話し合ったあの条件で」といった曖昧な約束を排除し、書面に書かれていることだけが有効であることを確認する重要な条項です。商社などで複数の担当者が関わる複雑な契約では特に重要になります。
第7条(修正/Amendments)
この合意書の内容を後から変更したい場合は、必ず両者が署名した書面で行わなければならないという規定です。「やっぱり解除日を1ヶ月延ばしたい」といった変更を口約束で済ませることを防ぎ、全ての変更を文書化することで証拠を残します。外資系企業などでは本社の承認プロセスも関わるため、この条項により変更手続きの透明性を確保できます。
第8条(副本/Counterparts)
契約書を複数部作成して、それぞれに署名した場合でも、全て同じ効力を持つ一つの契約として扱うという技術的な規定です。たとえば、日本にいる会社とアメリカにいる会社が契約する場合、郵送の関係で同じ書面に両者が署名することが困難なため、それぞれが自分の控えに署名して交換することが多くあります。この条項により、そうした実務上の便宜を図りながらも契約の有効性を確保しています。
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