【１】書式概要　

この請願書テンプレートは、市民の皆さんが地方議会や国会に対して正式な要望を提出する際に必要な書式を完備した実用的な文書です。日本国憲法第16条で保障された請願権を行使するための具体的な手順と記載方法を、初心者でも迷わず作成できるよう丁寧に解説しています。

通学路の安全対策、公園整備、子育て支援施設の充実など、地域の課題解決に向けて議会へ声を届けたい時に威力を発揮します。特に自治会活動、PTA活動、住民運動、市民活動に携わる方々にとって欠かせない文書作成ツールとなるでしょう。実際の記載例として小学校通学路の交通安全対策を題材とした完成見本も収録しており、どの程度具体的に書けばよいかが一目で理解できます。

Word形式での提供により、お使いのパソコンで自由に編集・カスタマイズが可能です。文字サイズの変更、項目の追加削除、レイアウトの調整など、用途に応じて柔軟に対応できます。議会事務局での受理から委員会審査、本会議での採択まで、提出後の流れも詳しく説明しているため、初めて請願を行う方でも安心して取り組めます。

市民活動家、政治団体関係者、NPO職員、自治会役員、PTA役員といった方々の日常業務を効率化し、民主的な政治参加を強力にサポートする実践的なツールです。

【２】解説

宛先

請願書の提出先を明記する冒頭部分です。市議会、県議会、国会など、請願内容に応じて適切な議会を選択します。地域の道路整備なら市議会、教育制度の改革なら県議会や国会といった具合に、問題の管轄範囲を考慮して決めるのがコツです。「殿」という敬語表現は公式文書では今でも使われているため、そのまま使用してください。

請願の趣旨・件名

何について請願するのかを端的に表すタイトル部分です。「○○に関する請願」という形式が一般的で、読み手が内容を即座に把握できる簡潔さが重要になります。例えば「桜台小学校通学路の安全対策に関する請願」のように、場所と問題を特定できる表現が効果的です。あまり長すぎると要点がぼやけるため、20文字程度に収めるのが理想的でしょう。

請願の理由

請願の核心となる部分で、なぜこの請願が必要なのかを論理的に説明します。現状の問題点、問題が生じた背景、そして緊急性の三段階で構成するのが王道です。ここで大切なのは感情論ではなく、具体的な数値データや事実関係を盛り込むことです。「危険だから何とかして」ではなく「過去3年間で事故が2件発生し、ヒヤリハット事例が年間15件報告されている」といった客観的な根拠を示すことで説得力が格段に向上します。

請願事項（具体的要求）

実際に何をしてほしいのかを明確に列挙する最重要セクションです。抽象的な要望ではなく、実現可能で測定可能な具体案を提示することが成功の鍵となります。例えば「安全対策をしてほしい」ではなく「横断歩道交差点への歩行者用信号機設置」「通学時間帯の時速30km制限実施」といった具体的な内容にします。予算規模や完成期限も明記すると、議会側も検討しやすくなります。

請願者情報

請願を行う代表者の基本情報を記載する欄です。住所・氏名・電話番号は必須項目で、職業は任意ですが記載することで信頼性が高まります。紹介議員がいる場合は必ず記載しましょう。紹介議員の存在により請願が委員会で審議される可能性が大幅に向上するためです。代表者は地域のリーダー的存在や専門知識を持つ人が務めるのが一般的です。

署名簿

請願に賛同する住民の署名を集める部分です。住所・氏名・署名・年齢の四項目で構成され、特に署名は本人が自筆で記入することが原則となっています。署名数が多いほど住民の関心の高さを示すことができ、議会での採択率向上につながります。署名収集の際は個人情報保護にも十分配慮し、目的以外での使用は行わない旨を説明することが大切です。

添付資料

請願内容を補強する参考資料の一覧です。地図や写真、調査データ、アンケート結果など、請願の正当性を裏付ける材料を添付します。特に現地の状況を示す写真や、住民の声を集めたアンケート結果は非常に効果的です。資料が多すぎると逆に要点がぼやけるため、本当に必要なものを厳選して添付するのが賢明でしょう。

記入上の注意事項

請願書作成時に知っておくべき重要なポイントをまとめた実用的なガイドです。署名の自筆原則、未成年者の署名可能性、紹介議員の効果など、実際の作成場面で疑問となりやすい点を解説しています。また、提出後の審議プロセスも説明されており、請願がどのような流れで処理されるかを事前に把握できます。これらの知識があることで、より戦略的な請願活動が可能になります。