【1】書式概要
この書式は、道路工事現場で発生した歩行者の転倒事故について、被害者、発注者(市区町村)、施工業者(建築会社)の三者間で損害賠償の合意を行うための示談書テンプレートです。
道路工事が行われている際に、歩道の安全対策が不十分だったために通行人が怪我をしてしまった場合に使用します。このような事故では、工事を発注した自治体と実際に工事を行っている建築会社の両方に責任が生じることが多く、三者での話し合いが必要になります。
具体的な使用場面としては、工事現場の穴や段差につまずいて転倒した、安全柵が不適切で怪我をした、工事区域の表示が分かりにくくて事故に遭った等のケースが想定されます。賠償金額の内訳、支払い方法、今後の医療費補償、再発防止策まで包括的にカバーしており、後々のトラブルを防ぐための条項も充実しています。
Word形式で提供されるため、お手元のパソコンで簡単に編集できます。空欄部分に具体的な内容を記入するだけで、専門知識がなくても適切な示談書を作成できるよう工夫されています。改正民法にも対応した最新の内容となっており、安心してご利用いただけます。
【2】条文タイトル
第1条(事故の認識および責任) 第2条(傷害の内容) 第3条(損害賠償金) 第4条(支払方法) 第5条(遅延損害金) 第6条(医療費の追加補償) 第7条(後遺障害) 第8条(再発防止) 第9条(解決条項) 第10条(秘密保持) 第11条(公表) 第12条(協力義務) 第13条(管轄合意) 第14条(紛争解決)
【3】逐条解説
第1条(事故の認識および責任)
この条項では、事故が発生した原因と責任の所在を明確にします。発注者である自治体は工事の監督責任を、施工業者は現場の直接管理責任を認める内容になっています。例えば、市が道路補修工事を建設会社に依頼したケースで、工事現場の安全対策が不十分だった場合、市は発注者として適切な監督を怠った責任があり、建設会社は実際の現場管理を怠った責任があることを双方が認めるということです。
第2条(傷害の内容)
被害者が負った怪我の詳細と治療期間を記載する条項です。骨折なのか打撲なのか、全治何週間の見込みなのか、どこの病院で治療を受けたのかを具体的に記録します。これにより、後から「そんな怪我ではなかった」といった争いを防ぐことができます。
第3条(損害賠償金)
賠償金の総額とその詳細な内訳を定める重要な条項です。治療費、通院のための交通費、仕事を休んだことによる損害、精神的苦痛に対する慰謝料など、様々な損害項目を網羅しています。例えば、会社員の方が3日間仕事を休んだ場合、日給1万円なら休業損害は3万円といった具合に計算します。
第4条(支払方法)
誰がいくら支払うのか、いつまでにどのように支払うのかを具体的に定めます。自治体と建設会社のどちらかが支払いを怠った場合は、もう一方が全額を立て替える仕組みも含まれており、被害者の確実な救済を図っています。振込先の口座情報も詳細に記載し、手数料の負担者も明確にします。
第5条(遅延損害金)
支払いが遅れた場合のペナルティを定める条項です。約束の期日を過ぎた場合、遅れた日数分だけ利息のような遅延損害金を追加で支払う義務が発生します。これにより、責任者側の支払い遅延を防ぐ効果があります。
第6条(医療費の追加補償)
示談後に事故が原因で追加の治療が必要になった場合の対応を定めます。転倒事故では、当初は軽傷に見えても後から症状が悪化することがあります。そうした場合でも一定期間内であれば追加の医療費を補償してもらえる安心の条項です。
第7条(後遺障害)
示談時点では後遺症がないように見えても、後になって機能障害が残ることがあります。そのような場合の対応について定めた条項で、追加の補償について改めて話し合うことを約束しています。
第8条(再発防止)
同様の事故を二度と起こさないための具体的な安全対策を定めます。明確な通路表示、適切な囲い、夜間照明、定期パトロールなど、実効性のある対策を義務付けています。この条項により、他の工事現場でも安全性の向上が期待できます。
第9条(解決条項)
この示談書で事故に関する問題が完全に解決することを確認する条項です。ただし、追加医療費や後遺障害については例外として、引き続き請求できることも明記されています。
第10条(秘密保持)
示談の内容を第三者に漏らしてはならないという条項ですが、必要な場合の例外も定められています。弁護士への相談や家族への説明、公的機関からの要請には応じられるバランスの取れた内容です。
第11条(公表)
自治体が住民の安全のために事故情報を公表する場合のルールを定めます。個人が特定されない形での公表であれば認めるという、公益性と個人のプライバシーの両方に配慮した条項です。
第12条(協力義務)
三者が示談の内容を確実に実行するために協力し合うことを約束する条項です。書類の準備や手続きの実施などで互いにサポートすることを明記しています。
第13条(管轄合意)
万が一、示談書の内容について争いが生じた場合にどこの裁判所で解決するかを事前に決めておく条項です。通常は事故が発生した地域の裁判所を指定します。
第14条(紛争解決)
示談書に書かれていない問題が生じた場合は、まず当事者間で誠実に話し合って解決することを約束する条項です。いきなり争いに発展させるのではなく、まずは協議による解決を目指すという姿勢を示しています。
【4】活用アドバイス
この示談書を効率的に活用するためには、まず事故の状況を正確に把握することから始めましょう。現場の写真、医師の診断書、治療費の領収書など、必要な資料を事前に準備しておくことが大切です。
空欄部分の記入では、曖昧な表現を避けて具体的な内容を記載してください。特に損害額の計算は慎重に行い、将来的な追加費用も考慮して適切な金額を設定することをお勧めします。
三者間の話し合いでは、それぞれの責任の範囲を明確にし、支払い分担についても事前に十分協議しておきましょう。また、再発防止策についても実現可能で具体的な内容を盛り込むことで、より実効性の高い示談書にすることができます。
【5】この文書を利用するメリット
この示談書を利用する最大のメリットは、三者間の複雑な責任関係を整理し、公平で包括的な解決を図れることです。被害者にとっては確実な損害回復が期待でき、自治体や建設会社にとっても将来的なリスクを明確化できる利点があります。
改正民法に対応した最新の内容で作成されているため、現在の制度に適合した安心できる示談書として活用できます。また、追加医療費や後遺障害への対応も織り込まれており、示談後のトラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
Word形式で編集可能なため、個別のケースに応じた細かな調整も簡単に行えます。専門的な知識がなくても、テンプレートの空欄を埋めるだけで適切な示談書を作成できる手軽さも大きなメリットといえるでしょう。
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