【1】書式概要
この書式は、定期借家契約を結ぶ際に貸主が借主に対して必ず行わなければならない事前説明のための専用書面です。通常の賃貸契約とは異なり、定期借家契約では契約期間が満了すると自動的に契約が終了し、更新されることがありません。この重要な違いを借主にしっかりと理解してもらうため、借地借家法という法律で事前説明が義務付けられているのです。
不動産オーナーや賃貸管理会社の方が、アパートやマンション、一戸建ての住宅を期間限定で貸し出す場合に必要となる書面です。特に転勤などで一時的に住居を貸したい場合や、建て替え予定があって長期間の契約を避けたい場合、相続した物件を短期間だけ活用したい場合などに重宝します。
契約書を交わす前に、この説明書を使って借主に十分な説明を行い、署名・押印をもらうことで、後々のトラブルを防ぐことができます。説明を怠ったり書面を残さなかったりすると、せっかく定期借家契約を結んでも普通の賃貸借契約として扱われてしまう可能性があるため、この書式の活用は極めて重要です。
改正民法にも対応しており、現在の賃貸借に関する規定に基づいて作成されているため、安心してご利用いただけます。
【2】項目タイトル
- 定期建物賃貸借契約であることの説明
- 賃貸期間と契約終了に関する説明
- 建物返還義務に関する説明
- 立ち退き料に関する説明
【3】解説
第1項目(定期建物賃貸借契約の性質)
この項目では、締結する契約が借地借家法38条1項に基づく定期建物賃貸借契約であることを明確に伝えます。普通の賃貸借契約とは根本的に性質が異なることを借主に認識してもらう重要なポイントです。多くの借主は通常の賃貸契約に慣れているため、この違いをしっかりと理解してもらうことが不可欠です。
第2項目(賃貸期間と更新なし)
契約期間を具体的に示し、期間満了とともに契約が自動的に終了することを説明します。例えば2年契約であれば、2年後には必ず契約が終了し、借主の希望があっても自動的に更新されることはありません。この点が通常の賃貸契約との最大の違いであり、借主にとって最も重要な情報となります。転勤から戻る予定がある貸主や、建て替えを計画している物件オーナーにとって、この仕組みは非常に有効です。
第3項目(建物返還義務)
契約期間満了時には、借主が速やかに建物を返還しなければならないことを明記します。また、賃料滞納や契約違反があった場合には、期間満了前でも建物を返還する必要があることも併せて説明します。これにより、借主は契約終了時の義務を明確に理解できます。
第4項目(立ち退き料の不発生)
建物の明け渡し時に立ち退き料などの補償金が一切発生しないことを明確にします。通常の賃貸契約では立ち退きを求める際に立ち退き料の支払いが必要になる場合がありますが、定期借家契約では契約期間満了による自然な終了であるため、そのような費用は発生しません。この点を事前に説明することで、後々の誤解やトラブルを防ぐことができます。
これらの項目を丁寧に説明し、借主の理解と同意を得ることで、定期借家契約の適切な運用が可能となります。