【1】書式概要
この契約書は、シェアオフィスやコワーキングスペースの運営事業者と利用者の間で締結される専用の契約書です。近年、働き方の多様化により急速に普及しているシェアオフィスサービスにおいて、運営者と利用者双方の権利と義務を明確に定めることで、トラブルを未然に防ぎ、安心してサービスを提供・利用できる環境を構築します。
この書式は、単なる賃貸借契約とは異なり、シェアオフィス特有のサービス内容や利用規約、共用スペースの使用ルールなどを詳細に規定しており、改正民法にも完全対応しています。利用者の信用状況をより確実に保障するため、連帯保証人を含む三者間契約の形式を採用しているため、運営事業者にとって安全性の高い契約関係を構築できます。
実際の使用場面としては、新規利用者の入会手続き時、契約更新時、利用条件変更時などに活用され、特にスタートアップ企業や個人事業主、フリーランスの方々が新たなワークスペースを確保する際に頻繁に使用されています。Word形式で提供されるため、利用者の業種や施設の特徴に応じて条文内容を自由に編集・カスタマイズすることが可能で、契約締結後も変更が容易に行えます。
【2】条文タイトル
第1条(契約の目的) 第2条(「●●●●オフィス」の利用) 第3条(入会金及び利用料) 第4条(契約期間) 第5条(届出義務) 第6条(修繕) 第7条(任意解約) 第8条(解除) 第9条(反社会的勢力の排除) 第10条(原状回復) 第11条(立入権) 第12条(禁止行為) 第13条(免責条項) 第14条(不可抗力) 第15条(利用者情報の取扱い) 第16条(遅延損害金) 第17条(権利義務の移転) 第18条(連帯保証) 第19条(合意管轄)
【3】逐条解説
第1条(契約の目的)
この条文は契約全体の基本的な枠組みを定めています。利用者がシェアオフィスを適切に利用するための基本姿勢を明確化し、契約書に定められた各種ルールを遵守することを約束する内容となっています。単なる場所の提供ではなく、共同利用空間における秩序維持の重要性を示しています。
第2条(「●●●●オフィス」の利用)
シェアオフィスで提供されるサービス内容を具体的に列挙した重要な条文です。専用部分の使用権から住所利用、電話サービス、会議室利用まで、従来の賃貸借契約では見られない多様なサービスを包括的に規定しています。特に24時間入館可能な点や登記利用可能な点は、現代的な働き方に対応した内容となっています。また、借地借家法の適用を明確に排除することで、運営者側の柔軟な運営を可能にしています。
第3条(入会金及び利用料)
料金体系を明確化し、支払い方法と時期を具体的に定めています。入会金の返金なし条項や日割り計算の規定など、実務上よく問題となる点を事前に明確化しています。毎月の前払い制度により、運営者の資金繰りを安定化させる効果があります。
第4条(契約期間)
1年間の契約期間と自動更新制度を定めています。更新拒絶の申し出期間を1か月前と設定することで、双方に十分な準備期間を与えています。自動更新制度により、継続利用を希望する利用者の手続き負担を軽減しています。
第5条(届出義務)
利用者の基本情報に変更があった場合の届出義務を定めています。特に法人の場合、代表者変更や本店移転など、重要な変更が発生する可能性があり、運営者としては現況を正確に把握する必要があります。
第6条(修繕)
利用者の責任による損壊に対する修繕費用の負担を定めています。共用スペースを含む施設全体の維持管理において、個別の責任を明確化することで、施設の適切な保全を図っています。
第7条(任意解約)
双方からの解約申し入れに関する手続きを定めています。1か月前の書面による申し入れを原則としつつ、利用者については料金支払いによる即時解約も可能とし、急な事業環境の変化にも対応できる柔軟性を持たせています。
第8条(解除)
運営者側からの契約解除事由を詳細に列挙しています。契約違反から信用悪化、反社会的行為まで、シェアオフィス運営において想定される様々なトラブルに対応できる包括的な内容となっています。特に共同利用の秩序を乱す行為を解除事由とすることで、良好な利用環境の維持を図っています。
第9条(反社会的勢力の排除)
現代の契約書において必須となっている反社会的勢力排除条項です。直接的な該当のみならず、関係者や取引関係まで含めた包括的な排除規定となっており、施設の信頼性確保に重要な役割を果たします。
第10条(原状回復)
契約終了時の専用部分の取扱いを定めています。利用者が設置した造作物の撤去義務や、原状回復に要する費用負担を明確化し、退去時のトラブル防止を図っています。特に期限内に対応しない場合の代行措置を定めることで、迅速な次の利用者への引き渡しを可能にしています。
第11条(立入権)
運営者側の専用部分への立入権を定めています。施設管理上の必要性に基づく立入りを可能とし、事前通知を原則としつつ、緊急時の対応も考慮した実務的な内容となっています。
第12条(禁止行為)
利用者が行ってはならない具体的な行為を列挙しています。動物の持ち込みから騒音行為、宿泊利用まで、共同利用空間において問題となりやすい行為を事前に明確化することで、トラブルの未然防止を図っています。
第13条(免責条項)
運営者の責任範囲を明確化し、利用者間のトラブルや財産管理に関する免責を定めています。多数の利用者が共同で利用する空間において、運営者が負うべき責任の範囲を適切に限定し、過度な責任を回避しています。
第14条(不可抗力)
自然災害や社会情勢の変化など、運営者のコントロールを超えた事由による債務不履行に対する免責を定めています。特に感染症の世界的流行を含めることで、近年の社会情勢に対応した内容となっています。
第15条(利用者情報の取扱い)
個人情報保護に関する基本的な取扱いを定めています。守秘義務を原則としつつ、必要な場合の開示事由を明確化し、適切な情報管理体制を構築しています。
第16条(遅延損害金)
料金支払いの遅延に対する損害金の取り扱いを定めています。具体的な利率を設定することで、支払い遅延の抑制効果を期待できます。
第17条(権利義務の移転)
契約上の地位や権利義務の第三者への譲渡を禁止しています。シェアオフィスの利用者を適切に管理し、想定していない第三者の利用を防ぐことで、施設の安全性と秩序を維持しています。
第18条(連帯保証)
連帯保証人の責任範囲を明確化し、利用者と同等の責任を負うことを定めています。利用者の支払い能力に不安がある場合の安全装置として機能します。
第19条(合意管轄)
契約に関する紛争の管轄裁判所を事前に定めています。紛争が発生した場合の迅速な解決を図るとともに、運営者側の利便性を考慮した管轄設定が可能となります。
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