【1】書式概要
この裁判員休暇規程は、社員が裁判員制度に参加する際の休暇取得について定めた社内
規程のテンプレートです。現代の企業運営において、従業員の司法参加を適切にサポー
トすることは、社会的責任を果たす上で欠かせない取り組みとなっています。
裁判員制度が導入されて以降、多くの企業が直面しているのが、社員が裁判員に選ばれ
た場合の対応方法です。この規程テンプレートは、そうした状況に備えて、会社として
必要な制度を整備したい人事担当者や経営者の方々に最適な書式となっています。
Word形式で作成されているため、会社の実情に合わせて自由に編集・カスタマイズが可
能です。条文の追加や削除、給与の取り扱い方針の変更など、組織の方針に応じて柔軟
に対応できる構成になっています。
この規程を導入することで、社員が裁判員に選ばれた際の手続きが明確になり、人事部
門の業務効率化にもつながります。また、従業員にとっても安心して司法参加できる環境
が整うため、企業イメージの向上にも寄与するでしょう。
実際の使用場面としては、裁判員候補者名簿に登録された社員への説明資料として、ま
たは新入社員研修での制度説明時に活用できます。さらに、労働基準監督署への提出書
類としても利用可能な構成となっています。
【2】逐条解説
第1条(総則)
この条文は規程全体の基本的な方針を示しています。裁判員候補者から補充裁判員ま
で、司法参加のあらゆる段階を網羅的にカバーしているのが特徴です。実際の運用で
は、社員が裁判所から通知を受け取った段階から、この規程の適用対象となります。例
えば、裁判員候補者として呼び出しを受けた時点で、すでに会社への報告義務が発生す
ることになります。
第2条(適用者の範囲)
全社員を対象とした包括的な適用範囲を定めています。正社員はもちろん、契約社員や
パート社員も含まれるため、雇用形態による差別を防ぐ効果があります。ただし、会社
によっては試用期間中の社員や特定の職種を除外したい場合もあるでしょう。そうした
場合は、この条文に但し書きを追加して調整することが可能です。
第3条(届出)
裁判員に選ばれた際の報告義務を明確にしています。この届出は、会社が適切な人員配
置を行うために重要な手続きです。実務上は、裁判所からの通知書のコピーを提出して
もらうケースが多く見られます。届出のタイミングについては「選任されたとき」とな
っているため、選任通知を受けた時点で速やかに報告することが求められます。
第4条(裁判員休暇の付与)
休暇付与の具体的な方法を定めた核心的な条文です。「必要な日数」という表現により、
裁判の長期化にも柔軟に対応できる構造になっています。時間単位での付与も認めてい
るため、例えば選任手続きで半日だけ裁判所に行く場合なども適切に対応できます。実
際の裁判では、1日で終わるものから数週間続くものまで様々なケースがあるため、この
柔軟性は重要な要素といえるでしょう。
第5条(裁判員休暇取得の手続き)
休暇取得の事前届出制を採用しています。これにより、会社側も業務調整を行いやすく
なります。ただし、裁判の日程は裁判所が決定するため、通常の有給休暇のように社員
の希望日に取得できるものではありません。そのため、実際の運用では、裁判日程が確
定次第速やかに届出を行うという解釈が一般的です。
第6条(給与の取り扱い)
この規程では無給としていますが、これは企業の判断により変更可能な部分です。一部
の企業では、社会貢献の観点から有給扱いとしているケースもあります。無給の場合で
も、裁判所から支給される日当があるため、社員の経済的負担は一定程度軽減されま
す。会社の経営方針や社会的責任への考え方に応じて、この条文は柔軟に修正できるで
しょう。
第7条(不利益取り扱いの禁止)
司法参加を理由とした不利益取扱いを明確に禁止しています。これは裁判員法の趣旨に
沿った重要な規定です。具体的には、人事評価での減点、昇進・昇格への悪影響、配置
転換での不利益などが禁止されます。実際の人事管理において、この条文は管理職への
教育材料としても活用できます。社員が安心して司法参加できる職場環境の構築に不可
欠な条文といえるでしょう。