【1】書式概要
この規程は、企業が採用活動において応募者から受け取る履歴書や職務経歴書、健康診断書などの情報を、適切かつ安全に取り扱うためのルールを定めたものです。応募者情報は非常にデリケートな個人情報であるため、管理責任者の指定、利用範囲の限定、保管方法の明示、閲覧制限、社外持ち出し禁止、廃棄方法などを明文化することで、情報漏洩や不正利用を防止します。
採用担当者や人事部門において、この規程を導入することで社内全体に統一した基準を周知でき、安心して採用活動を進められます。Word形式で編集可能なため、自社の運用実態に合わせて加筆・修正が容易にでき、専門知識がなくてもそのまま活用できる点が大きな利点です。
【2】条文タイトル(全8条)
第1条(目的) 第2条(情報の範囲) 第3条(管理責任者) 第4条(利用の範囲) 第5条(保管) 第6条(閲覧等の禁止) 第7条(社外持ち出しの禁止) 第8条(廃棄の取り扱い)
【3】逐条解説
第1条(目的) この条文は、本規程全体の存在理由を示しています。企業が採用活動を行う際には、応募者から多くの個人情報を受け取ります。その情報は、履歴書や職務経歴書だけでなく、健康診断書や推薦書といったデリケートな資料を含むため、適切に取り扱うルールを明確にしなければなりません。この目的を明文化することで、従業員全体に「応募者の情報は会社の資産であると同時に厳重に守るべきものだ」という意識を浸透させる狙いがあります。
第2条(情報の範囲) ここでは「応募者情報」の定義を定めています。一般的な履歴書や職務経歴書はもちろん、健康診断書や卒業証明書といったプライバシー性の高い情報も含まれることを明示することで、従業員が「どこまでが保護対象なのか」を誤解しないようにしています。例えば、メールで送られてきたデータやUSBで受領した資料も対象となるため、紙媒体だけに限定しない包括的な解釈が可能です。
第3条(管理責任者) 応募者情報を誰が最終的に管理するのかを定めています。通常は人事部長が責任者となり、不在時には次の役職者が代行します。責任者を明確にすることで「誰の判断で情報を閲覧・廃棄するのか」がはっきりし、組織としての統制が取りやすくなります。特に健康診断書などは個人の健康状態を示す高度なプライバシー情報であるため、慎重に取り扱うよう特別な注意が促されています。
第4条(利用の範囲) 応募者情報は採用選考にのみ利用し、他の目的では使用してはならないと定めています。例えば、営業活動や社内教育のために応募者のデータを流用することは許されません。利用範囲を限定することにより、応募者が安心して個人情報を提出できる環境が整えられ、企業の信用力を高めることにもつながります。
第5条(保管) 応募者情報は所定のキャビネットで厳重に保管することが求められています。これは紙の書類だけでなく、電子データにも当てはめるべき考え方で、実務では「パスワード管理されたフォルダ」や「権限を制限したクラウド環境」も同様の意味を持ちます。保管場所を明確に規定することで、情報が散逸するリスクを抑えられます。
第6条(閲覧等の禁止) 採用に直接関わらない従業員による閲覧やコピー、撮影を禁止しています。必要がある場合でも、目的や対象範囲を明確にした上で管理責任者の許可を受けることが義務付けられています。例えば、監査対応で一部の応募者情報を確認する場合などが該当します。さらに、コピーや撮影をした際には適切な管理を行う必要があり、不注意による漏洩を防ぐ仕組みが整えられています。
第7条(社外持ち出しの禁止) 応募者情報を社外に持ち出すことを原則禁止しています。やむを得ない場合には、事前に管理責任者の許可を得る必要があり、外部に持ち出す際は特に注意を払わなければなりません。例えば、面接が外部会場で行われる場合に書類を持参するケースがありますが、その際には盗難・紛失リスクを最小化するための工夫が不可欠です。
第8条(廃棄の取り扱い) 応募者情報は返却せず、会社が廃棄することを定めています。その際には、廃棄の記録を明確に残すことが義務付けられており、後から「いつ・どのように廃棄したか」を説明できる体制が必要です。例えば、シュレッダー処理を行った場合に処理日を記録したり、電子データを削除した場合には削除証跡を残すことが有効です。これにより、応募者や監督官庁から問い合わせがあった場合でも、透明性をもって説明できます。
【4】活用アドバイス
この規程は雛形としてそのまま使うこともできますが、自社の採用フローや規模に応じて条文を追加・修正することを推奨します。特に、クラウド採用管理システムを利用している企業は「電子データでの保存・削除方法」を追記すると実務に即した内容になります。また、従業員教育の一環として研修資料に組み込むと、規程の理解が深まり遵守率が高まります。
【5】この文書を利用するメリット
・応募者からの信頼性が高まり、安心して情報を預けてもらえる ・情報漏洩やトラブルのリスクを軽減できる ・法令やガイドラインに即した管理体制を整備できる ・内部統制や監査対応にも有効で、企業価値の向上につながる
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