【1】書式概要
この示談書雛形は、学校などで発生したいじめ問題を当事者間で円満に解決するための合意文書です。お子様がいじめの被害に遭われた際、加害者側の保護者との間で具体的な解決策や今後の対応について取り決めを行う場面で使用します。
近年、学校でのいじめ問題は複雑化しており、単純な謝罪だけでは解決に至らないケースが増えています。被害を受けたお子様の心のケアから、加害者側の再発防止措置、さらには治療費やカウンセリング費用の負担まで、様々な要素を包括的に取り決める必要があります。
この雛形では、いじめの事実確認から始まり、謝罪の方法、被害児童への具体的な支援策、加害児童への教育的措置、損害賠償の内容まで、実際の解決に必要な項目を網羅的に盛り込んでいます。保護者同士が感情的になりがちな状況でも、冷静に話し合いを進められるよう、客観的で具体的な条項構成となっています。
Word形式で提供されているため、個別の事情に応じて内容を編集・カスタマイズすることが可能です。金額や期間、具体的な措置内容などを実情に合わせて調整できるため、どのようなケースにも対応できる柔軟性を持っています。教育現場の関係者や保護者の方々にとって、問題解決の第一歩となる実用的な文書として活用いただけます。
【2】条文タイトル
第1条(事実確認)
第2条(謝罪)
第3条(被害児童の状況)
第4条(再発防止と教育的措置)
第5条(被害児童に対する今後の対応)
第6条(学校との連携)
第7条(損害賠償)
第8条(今後の経過観察)
第9条(秘密保持)
第10条(誹謗中傷の禁止)
第11条(解除条件)
第12条(紛争の解決)
【3】逐条解説
第1条(事実確認)
この条項は示談の前提となる事実関係を明確にする重要な部分です。いじめの具体的な内容、期間、場所、頻度を詳細に記録することで、後々の紛争を防ぐ効果があります。身体的ないじめから精神的な嫌がらせ、最近増加しているネット上でのいじめまで幅広くカバーしています。例えば「毎日昼休みに教室で暴言を吐かれた」といった具体的な状況を記載することで、双方の認識を統一できます。
第2条(謝罪)
単なる口約束ではなく、きちんとした謝罪の機会を設定することを定めています。加害者側の保護者だけでなく、加害児童本人からの直接謝罪も盛り込んでいる点がポイントです。謝罪の場に両方の保護者が同席することで、責任の所在を明確にし、今後の関係改善の基盤を作ります。
第3条(被害児童の状況)
いじめによって生じた具体的な被害を詳細に記録する条項です。精神的な影響だけでなく、不登校による学習の遅れや医療機関での治療実績まで含めることで、損害の全体像を把握できます。診断書やカウンセリング記録などの客観的な証拠に基づいて記載することが重要になります。
第4条(再発防止と教育的措置)
加害児童に対する具体的な改善策を定める核心部分です。専門家によるカウンセリングや教育プログラムへの参加など、実効性のある措置を盛り込んでいます。週1回のカウンセリングや月1回の報告義務など、具体的な数値を設定することで実行性を担保しています。感情のコントロールが苦手な児童には怒りの管理プログラムなど、個別の特性に応じた対応も可能です。
第5条(被害児童に対する今後の対応)
被害を受けた児童の回復に向けた支援策を定めています。関係修復のための計画作成や学習支援など、前向きな解決を目指す内容となっています。ただし、被害児童の心理状態を最優先に考慮し、無理な接触は避けるよう配慮されています。
第6条(学校との連携)
学校現場での問題解決には教育機関との協力が不可欠です。この条項により、担任教師や学校カウンセラーとの定期的な情報共有体制を構築できます。家庭と学校が連携することで、より効果的な問題解決が期待できます。
第7条(損害賠償)
経済的な補償について具体的に定める条項です。慰謝料だけでなく、治療費やカウンセリング費用、学習支援にかかる実費まで細かく分類して記載しています。30日以内の支払期限を設けることで、迅速な解決を図っています。
第8条(今後の経過観察)
示談成立後も継続的にフォローアップを行う仕組みを定めています。6か月間の定期面談により、被害児童の回復状況と加害児童の改善状況を双方で確認できます。必要に応じて観察期間を延長できる柔軟性も備えています。
第9条(秘密保持)
プライバシー保護の観点から、示談内容の第三者への開示を制限しています。ただし、学校関係者や医療従事者など、問題解決に必要な関係者との情報共有は認めており、実用性を損なわない配慮がされています。
第10条(誹謗中傷の禁止)
SNS時代に対応した重要な条項です。ネット上での中傷合戦を防ぎ、建設的な解決を促進します。感情的になりがちな保護者同士のトラブルを未然に防ぐ効果があります。
第11条(解除条件)
約束が守られなかった場合の対処法を定めています。示談の実効性を担保するための重要な条項で、加害者側に確実な履行を促す効果があります。
第12条(紛争の解決)
万が一、示談後に新たな問題が生じた場合の解決手順を定めています。まずは当事者間での協議を優先し、それでも解決しない場合の管轄裁判所まで明記することで、最終的な解決手段も確保しています。