【1】書式概要
この合意書は、株式譲渡制限がある会社において、株式の譲渡を希望する株主と、会社から指定された買取人、そして会社の三者間で取り交わすための書面です。株主が第三者へ株式を譲渡しようとした際、会社が承認しない代わりに指定買取人を立てる場面で使用されます。
譲渡価格、支払期日、名義書換、秘密保持などの基本的な条件が整理されており、当事者間の誤解や紛争を防ぐ役割を果たします。Word形式で編集可能な雛形になっているため、各社の事情に応じて金額や期日を差し替えるだけで活用でき、専門的な法律や会計の知識がない方でも利用しやすい構成になっています。
【2】条文タイトル一覧
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第1条(目的)
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第2条(株式譲渡)
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第3条(譲渡代金の支払い)
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第4条(株式譲渡の承認)
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第5条(表明及び保証)
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第6条(秘密保持)
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第7条(費用の負担)
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第8条(解除)
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第9条(合意管轄)
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第10条(協議事項)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文では、本合意書を作成する理由を明確にしています。株式譲渡制限会社では、自由に株式を売却できないため、会社が指定する買取人に譲渡することになります。その際の権利関係を明文化し、トラブルを未然に防ぐ狙いがあります。
第2条(株式譲渡)
譲渡人と指定買取人の間で、株式の種類や株数、価格を明確に定める条項です。たとえば「普通株式100株、取得価額300万円」といった形で具体的に記載します。これにより、後日の認識違いを避けることができます。
第3条(譲渡代金の支払い)
代金支払の方法や期日を定める条文です。振込先口座を明示することで、確実な取引が担保されます。例えば「2025年9月末までに振込」と記載することで、期限の明確化が図られます。
第4条(株式譲渡の承認)
会社が株式の譲渡を承認したことを確認する内容です。会社法140条に基づき、承認手続きを経た上で合意書に盛り込むことで、法的安定性が確保されます。
第5条(表明及び保証)
各当事者が「自分には譲渡する権利がある」「代金支払い能力がある」といったことを保証する条項です。例えば、譲渡人が株式に担保権を付けていないことを確認しておくことで、後の紛争を防止できます。
第6条(秘密保持)
株式譲渡に関する情報を第三者に漏らさない義務を定めています。特に非公開会社の場合、情報管理は企業価値に直結するため重要です。
第7条(費用の負担)
契約書作成や名義書換などに伴う費用を誰が負担するかを決めています。例えば「登記簿謄本取得は当事者各自負担、名義書換は会社が負担」と明記されているので実務がスムーズになります。
第8条(解除)
代金未払いがあった場合の救済手段として、契約解除や損害賠償のルールを定めています。期限内に支払いがないと契約が自動的に白紙化される仕組みです。
第9条(合意管轄)
紛争が生じた場合に、どの裁判所に訴えるかを事前に決めておく条文です。あらかじめ定めておくことで、裁判の場所を巡る無駄な争いを避けられます。
第10条(協議事項)
契約書に書いていないことや解釈の違いが出た場合に、関係者同士で誠実に話し合うことを求めています。柔軟に対応できる余地を残している点が特徴です。
【4】活用アドバイス
実際に利用する際は、まず自社の定款を確認し、株式譲渡制限の規定に沿っているかをチェックしてください。次に、株数や金額、支払期日といった重要な数字を空欄に正しく記入し、関係者の署名押印を必ず行いましょう。また、株主名簿の書換手続や登記簿との整合性も確認しておくと、後々のトラブル防止に役立ちます。
【5】この文書を利用するメリット
この合意書を使うことで、株式譲渡の条件が明確になり、当事者間の誤解を防げます。さらに、会社法上の手続きに沿った形で整備されているため、安心して利用できます。Word形式で自由に修正可能なため、専門家に依頼するコストを抑えつつ、自社の事情に合わせた書類を短時間で整えることができます。
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