【1】書式概要
手作り雑貨やハンドメイド作品を店舗に委託販売する際に必要な法的書類をお探しの方に最適な契約書雛型です。この契約書は2020年の民法改正に対応しており、作家(委託者)と販売店(受託者)の間の権利義務関係を明確にします。
作品の展示方法、販売手数料の取り決め、代金の精算方法、商標使用の条件など、委託販売に必要な重要事項を網羅しています。個人クリエイターからハンドメイド作家、小規模事業者まで幅広くご利用いただけます。契約トラブルを未然に防ぎ、安心して創作活動に専念できる環境づくりをサポートします。
必要な箇所を記入するだけで簡単に使用できるため、法律の専門知識がなくても安心です。委託販売を始める前にこの契約書で取引条件を明確にし、円滑なビジネス関係を構築しましょう。
〔条文タイトル〕
第1条(目的)
第2条(乙の受託業務)
第3条(委託販売の原則)
第4条(販売手数料)
第5条(販売手数料)
第6条(広告・宣伝)
第7条(報告義務)
第8条(秘密保持)
第9条(契約解除)
第10条(有効期間)
第11条(契約終了後の措置)
第12条(管轄)
【2】逐条解説
第1条(目的)
本条は契約の基本的な枠組みを定めています。ここでは甲(商品の作家・制作者)が乙(販売店舗)に対して販売を委託する代理関係を明確にしています。法的には「代理」の関係を設定することで、乙が甲の名義で顧客と契約を締結できる権限を付与する構造となっています。これにより、最終的な売買契約は甲と顧客の間で成立することになります。
第2条(乙の受託業務)
この条項では乙が行う業務の範囲と代理権の内容を具体的に定めています。特に重要なのは、乙に顧客との販売契約締結権限と代金受領権限を与えている点です。また広告・宣伝活動も乙の業務範囲に含まれていることを明記しており、委託販売における店舗側の役割が明確になっています。これにより両者の責任範囲が明確になり、後のトラブル防止に役立ちます。
第3条(委託販売の原則)
本条では委託販売における重要な実務的ルールを定めています。商品の運送料負担の取り決め、顧客との契約締結の原則と例外、そして商品の汚損・破損時の責任、さらに知的財産権の帰属についても規定しています。特に第3項は乙の過失による商品の損傷に対する賠償責任を定めており、委託者保護の観点から重要です。第4項では制作者の著作権等を明確に保護する条項となっています。
第4条(販売手数料)
この条項では販売代金の精算方法と報告義務について規定しています。2ヶ月ごとの締め日を設け、販売実績と代金受領について報告する義務を乙に課しています。また、締め日の翌月10日までに販売手数料を差し引いた金額を甲に送金することを定めており、代金精算の透明性を確保しています。送金手数料を乙負担と明記している点も実務上重要です。
第5条(販売手数料)
本条では具体的な販売手数料の計算方法と、その性質について規定しています。手数料は販売代金(税抜)の一定割合と定められ、受託業務に関わる一切の経費を含むものとしています。追加経費の請求を禁止することで、甲にとって予測可能な支出計画が立てられるようになっています。実務上は手数料率(●●パーセント)を適正に設定することが重要です。
第6条(広告・宣伝)
この条項では商品の展示義務と商標使用に関するルールを定めています。乙には適切な展示義務が課され、一方で甲の商標を広告・宣伝目的で使用する権利が与えられています。ただし、その使用には一定の制限が課されており、甲のブランド価値を保護する規定となっています。特に第3項では広告・宣伝における禁止行為を明確に列挙しており、消費者保護と甲の信用保持の両面から重要な条項です。
第7条(報告義務)
本条は乙の報告義務と、クレーム発生時の対応について規定しています。甲はいつでも委託販売に関する報告を求めることができ、透明性の高い取引関係を確保できます。また、商品に関するクレーム発生時の対応フローを明確にすることで、消費者対応の責任分担を明確にしています。特に乙の過失による場合の責任を明確にしている点は、実務上のトラブル防止に役立ちます。
第8条(秘密保持)
この条項では契約に関連して知り得た営業上・技術上の秘密情報の保護を定めています。契約期間中だけでなく契約終了後も秘密保持義務が継続することを明記している点が重要です。クリエイターの制作技術やビジネスモデルなど、競争力の源泉となる情報を保護する条項として必須の規定といえます。
第9条(契約解除)
本条では契約を解除できる具体的な事由を列挙しています。一般的な契約違反のほか、経済的信用の喪失(手形不渡り等)や法的整理手続開始などの事由が含まれています。これにより、相手方に重大な問題が生じた場合に速やかに契約関係から離脱できる保護規定となっています。特に個人クリエイターが大きな損害を被るリスクを軽減する効果があります。
第10条(有効期間)
この条項では契約の有効期間と自動更新の仕組みを規定しています。一定期間(●ヵ月間)の契約期間を設定し、期間満了の1ヶ月前までに終了の意思表示がなければ自動更新される仕組みとなっています。これにより、安定した継続的取引関係を構築しつつも、必要に応じて契約を終了させる柔軟性も確保しています。
第11条(契約終了後の措置)
本条では契約終了時の具体的な対応を定めています。乙は販売活動を直ちに終了し、委託された商品や関連書類を返還または破棄する義務があります。この条項により、契約終了後の権利関係を明確にし、紛争を防止する効果があります。特に作品の返還は作家にとって重要な問題であり、明確に規定することが大切です。
第12条(管轄)
この条項では紛争が生じた場合の裁判管轄を定めています。特定の地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所と定めることで、紛争解決の場所を予測可能にしています。実務上は甲または乙のいずれかに有利な裁判所が指定されることが多いですが、交渉の結果として決定されるべき事項です。