〔改正民法対応版〕買戻特約付土地売買契約書

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〔改正民法対応版〕買戻特約付土地売買契約書

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【1】書式概要

 

 

この契約書は、地方自治体が公有水面を埋め立てて造成した土地を民間企業に売却する際に使用する専門的な契約書のひな形です。自治体による埋立地の企業誘致において、将来的に土地の用途が守られない場合や約束通りの事業が行われない場合に備えて、自治体側が土地を買い戻せる権利を設定しておく仕組みが盛り込まれています。

 

 

港湾地域や臨海部の工業団地開発では、企業に土地を売却した後も地域経済の発展や雇用創出といった当初の目的が確実に実現されるよう、一定期間は自治体が監督できる体制を整えておく必要があります。この契約書では、企業が約束した工場建設や事業開始を怠った場合、あるいは承認なく第三者へ土地を転売しようとした場合などに、自治体が売買代金を返還して土地を取り戻せる条項が設けられています。

 

 

実際の使用場面としては、市町村が港湾整備事業の一環として埋立地を造成し、製造業や物流業を営む企業に分譲するケースが典型的です。市議会の議決を経て正式に契約が成立する仕組みになっており、公共財産の適正な処分手続きに則った内容となっています。契約締結時には保証金を預かり、議決後は契約保証金に切り替えるという段階的な資金管理の流れも明記されています。

 

 

また、埋立工事の完成時期や面積の確定、代金の精算方法といった実務上重要な事項も詳しく定められており、工事の進捗に応じた柔軟な対応が可能です。土地の引渡し前でも条件付きで使用を認める条項や、引渡し後の不具合への対応範囲なども具体的に記載されているため、双方にとって予測可能性の高い取引を実現できます。

 

 

この契約書はWord形式で提供されるため、自治体名や企業名、面積、金額、期間などの具体的な数値を自由に入れ替えて使用できます。空欄部分には下線(__)が引かれており、必要事項を記入するだけで完成する設計になっています。専門知識がなくても、契約の全体像が理解しやすい構成と表現を心がけて作成されており、自治体の財政担当者や企業の総務・法務担当者が実務で即座に活用できる実用性の高いひな形です。

 

 

 

 

【2】条文タイトル

 

 

第1条(売買の目的物)
第2条(工事の完成予定時期)
第3条(契約の効力発生時期)
第4条(契約締結時の保証金)
第5条(契約保証金の納付)
第6条(売買代金及びその算定方法)
第7条(売買代金の納付方法)
第8条(売買代金の精算)
第9条(工事完成の認定)
第10条(所有権の移転時期)
第11条(引渡し前の土地使用)
第12条(土地利用の制限)
第13条(契約の解除)
第14条(買戻権の行使)
第15条(所有権保存登記等)

 

 

 

 

【3】逐条解説

 

 

第1条(売買の目的物)

この条文では、どの土地を売買するのかを明確にしています。埋立地というのは海や湖を埋め立てて新しく作られた陸地のことで、その中の特定の区画を図面で示して対象を確定します。面積は工事前の予定値を記載しますが、実際に埋め立てが終わった後に測量し直して正確な数字を出すことになります。たとえば、港の近くに新しい工業用地を作る際、当初は10,000平方メートルと見込んでいても、実測したら9,950平方メートルだったということがあるため、後で精算する前提で契約を進めます。

 

 

第2条(工事の完成予定時期)

埋立工事がいつ頃終わる予定なのかを書いておく条文です。大規模な公共工事では天候不良や資材調達の遅れなどで予定が変わることもあるため、やむを得ない理由があれば変更できる仕組みにしています。たとえば2025年3月完成予定だったものが台風被害で2025年6月に延びるような場合、自治体から企業へ正式に通知することで対応します。

 

 

第3条(契約の効力発生時期)

自治体が土地を売る際には市議会や町議会の承認が必要です。この条文では、議会が正式に「売却してよい」と議決した時点で初めて契約が有効になると定めています。つまり、契約書に署名しただけではまだ確定しておらず、議会の議決待ちという状態です。議決が得られたら自治体から企業へ書面で知らせることになります。

 

 

第4条(契約締結時の保証金)

契約書を交わす際に、企業側が誠意を示すために先にお金を預ける仕組みです。売買代金全額ではなく、その一部をパーセンテージで決めて納付します。もし議会で承認が得られなかった場合は全額返金されますが、企業側の都合でやっぱり契約をやめたいと言い出した場合は没収されてしまいます。これにより、軽い気持ちでの契約を防いでいます。

 

 

第5条(契約保証金の納付)

議会の承認が下りた後、さらに追加で保証金を納める必要がある場合の規定です。ただし、前の条文で既に支払った保証金があればそれを充当できるので、実質的には差額だけを追加で払えば良いことになります。売買代金を払い進めていくうちに残額が保証金額を下回ったら、保証金を代金支払いに回すこともでき、余った分は返してもらえます。この保証金には利息が付かないため、預金のようには増えません。

 

 

第6条(売買代金及びその算定方法)

土地の値段をいくらにするかを決める条文です。総額だけでなく、1平方メートルあたりの単価も明記しておくことで、後で面積が確定した際に計算しやすくします。たとえば1平方メートル50,000円の土地を10,000平方メートル買うなら、5億円という計算になります。

 

 

第7条(売買代金の納付方法)

実際にお金をどうやって払うかの手続きを定めています。自治体が発行する納入通知書に従って指定の期限までに支払う形です。工事の進み具合によっては期限を変更できる柔軟性も持たせてあり、たとえば工事が半年遅れたら支払期限も半年延ばすといった対応が可能です。

 

 

第8条(売買代金の精算)

埋立工事が終わった後、実際に土地を測り直して正確な面積を確定させます。当初の予定面積と違いがあれば、1平方メートルあたりの単価を使って正しい総額を計算し直し、既に払った金額との差額を精算します。面積が増えていれば追加で払い、減っていれば返金してもらえます。この精算は面積確定後の決められた日数以内に行います。

 

 

第9条(工事完成の認定)

埋立工事が物理的に終わっただけでなく、実際に土地として使える状態になったと自治体が判断した時点を工事完成日とします。自治体から企業へ正式に「完成しました」という通知が届いた日が基準日となり、これ以降の各種手続きのスタート地点になります。

 

 

第10条(所有権の移転時期)

土地の所有権がいつ自治体から企業に移るかを明確にする条文です。売買代金を全額払い終わった瞬間に所有権が移転し、その後速やかに実際の土地引渡しが行われます。引渡し後に土地に何か問題が見つかっても、自治体側に故意や重大な落ち度がない限り責任を負わないという免責条項も含まれています。

 

 

第11条(引渡し前の土地使用)

正式な引渡しの前でも、工事に支障がなければ土地を使わせてもらえる可能性があります。たとえば建物の基礎工事の準備をしたいといった場合、自治体の許可を得れば無料で使用できます。ただし、その際に自治体や他人に迷惑をかけたら全て企業側の責任になります。

 

 

第12条(土地利用の制限)

企業は申請書に書いた通りの目的で土地を使わなければならず、引渡しから決められた年数以内に工場などを稼働させる義務があります。経済状況が大きく変わって計画変更が必要な場合は、事前に自治体の承認を得る必要があります。また、一定期間は自治体の許可なく他の企業に転売したり担保に入れたりできない制限もかかっています。これにより、土地の投機的な転売を防いでいます。

 

 

第13条(契約の解除)

企業側が代金を払わなかったり、前の条文で定めた制限を破ったりした場合、自治体は契約を解除できます。解除されると保証金は没収され、既に払った代金があっても土地を別の買い手に売却するまで返してもらえません。返金時にも利息は付きません。企業側から契約をやめたいと言い出した場合も同じ扱いになり、損害が出ても自治体は責任を負いません。

 

 

第14条(買戻権の行使)

企業が約束を破った場合、自治体は売買代金を返して土地を買い戻す権利を持っています。この権利は引渡しから決められた年数の間だけ有効です。買い戻す際には企業側で土地を元の状態に戻してから返す必要がありますが、それが難しい場合は話し合いで決めます。買戻しで損害が出ても自治体に責任はありません。

 

 

第15条(所有権保存登記等)

土地の登記手続きは企業側が行いますが、その前に自治体が必要な手続きを済ませる必要があります。登記には買戻特約の登記も含まれ、費用は全て企業側が負担します。登記することで第三者に対しても土地の所有関係や買戻権の存在が明らかになります。

 

 

 

 

【4】活用アドバイス

 

 

この契約書を活用する際は、まず空欄部分(__で示された箇所)を正確に埋めることから始めましょう。特に金額、面積、期間といった数値は慎重にチェックする必要があります。市議会議決の時期を見越して契約締結のスケジュールを組み立て、保証金の納付期限も議会日程と整合させることが大切です。

 

 

別添の図面や付属書類は契約書本体と一体のものとして扱われるため、図面の作成にも十分な注意を払いましょう。土地の位置や境界が曖昧だと後々トラブルの原因になります。また、売却申請書に記載する事業計画は第12条の利用制限に直結するため、実現可能で具体的な内容を記載することが求められます。

 

 

契約保証金の計算では、第4条の保証金と第5条の契約保証金の関係を正しく理解しておく必要があります。二重払いにならないよう充当の仕組みを活用し、資金繰りを効率化しましょう。面積確定後の精算についても、予め予備費を確保しておくと安心です。

 

 

買戻特約が設定される期間中は、用途変更や譲渡に制限がかかることを社内で共有しておくことも重要です。将来的な事業展開を考える際、この制限期間を念頭に置いた計画を立てる必要があります。

 

 

 

 

【5】この文書を利用するメリット

 

 

この契約書を使用する最大のメリットは、自治体と企業双方の権利義務が明確に整理されている点です。公有水面埋立という特殊な案件に特化した条文構成になっているため、一般的な土地売買契約とは異なる複雑な手続きにも対応できます。

 

 

市議会議決という行政手続きを経る必要がある取引において、契約の効力発生時期や保証金の取扱いが段階的に定められているため、手続きの進行に合わせた柔軟な運用が可能です。これにより、長期にわたる交渉や議決待ちの期間中も、双方が安心して取引を進められます。

 

 

買戻特約が組み込まれていることで、自治体側は企業誘致後も一定のコントロールを維持でき、企業側も自治体の意向を尊重する姿勢を示すことができます。これは地域社会との良好な関係構築にも寄与します。

 

 

面積確定や代金精算の仕組みが詳細に規定されているため、埋立工事特有の不確定要素にも事前に対処できます。工事完成後に「思っていた面積と違う」といったトラブルを避けられるのは大きな利点です。

 

 

Word形式で提供されるため、自治体の条例や個別の事情に合わせたカスタマイズも容易です。基本構造はそのままに、細部を調整することで様々なケースに応用できます。

 

 

 

 

 

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