【1】書式概要
この書式は、暴行を受けた被害者が加害者に対して治療費や慰謝料の支払いを求める際に使用する請求通知書のテンプレートです。日常生活において突然の暴力行為に遭遇してしまった場合、被害者は適切な賠償を受ける権利があります。しかし、多くの方がどのように請求すれば良いのか分からず、泣き寝入りしてしまうケースが少なくありません。
この通知書は、暴行による怪我の治療費や精神的苦痛に対する慰謝料を加害者に請求する際の第一歩として活用できます。具体的には、駅や商業施設での口論から発展した暴行事件、近隣トラブルでの暴力行為、職場でのパワハラが暴力に発展した場合など、様々な場面で使用可能です。改正民法に対応した内容となっており、現在の制度に即した請求が行えます。
書面による正式な請求を行うことで、相手方に事態の深刻さを認識させ、早期の解決につながることが期待できます。また、後の民事訴訟や刑事手続きにおいても、この通知書が重要な証拠として活用される可能性があります。専門家に依頼する前の初期対応として、または弁護士費用を抑えたい方の自力救済手段として、多くの被害者の方にご活用いただけるでしょう。
【2】解説
【宛先・差出人情報】
通知書の冒頭部分では、加害者と被害者双方の住所・氏名を明記します。これにより文書の当事者を特定し、後の手続きにおける証拠価値を高めます。例えば、相手の住所が不明確な場合でも、勤務先や最後に確認できた住所を記載することで、善意の通知努力を示すことができます。
【事実関係の記載】
暴行が発生した日時、場所、具体的な暴行内容を詳細に記述する部分です。「いつ」「どこで」「何をされたか」を明確にすることで、相手方が事実を否認することを困難にします。たとえば「○○駅改札前で肩がぶつかったことから口論となり、相手が突然私の頬を平手打ちした」といった具体的な描写が効果的です。
【被害・損害の明示】
暴行により負った怪我の程度、通院期間、治療費の実額を記載します。診断書や領収書に基づいた正確な記載が重要で、例えば「顔面打撲により3日間の腫れが続き、近所の○○クリニックで2週間にわたり治療を受けた」など、第三者が確認できる事実を中心に構成します。
【請求金額の算定】
治療費の実費と慰謝料を合算した請求総額を明示します。慰謝料については、怪我の程度や精神的苦痛の大きさを考慮して算定しますが、一般的には軽微な暴行で数万円から十数万円程度が相場とされています。過大な請求は相手の反発を招く可能性があるため、妥当な範囲での設定が賢明です。
【支払条件・期限設定】
支払期限を1週間と設定し、振込先を具体的に指定します。短すぎる期限は相手の準備時間を奪い、長すぎる期限は緊迫感を損ないます。1週間という設定は、相手が検討・準備する時間として適切で、かつ被害者の早期解決への意思を示すバランスの取れた期間といえるでしょう。
【法的措置の予告】
期限内に支払いがない場合の対応を明示することで、相手方にプレッシャーを与えます。「刑事・民事双方の手続きに移行する」との文言により、警察への被害届提出と民事訴訟の両方を視野に入れていることを伝え、早期解決への動機付けを図ります。ただし、実際にこれらの手続きを取る覚悟がある場合にのみ記載すべきです。