【1】書式概要
この書式は、商品を購入して代金も支払ったにもかかわらず、約束の期日を過ぎても商品が届かない場合に使用する通知書です。インターネット通販やBtoB取引で商品の配送が遅れている時、または店舗で商品を注文したのに受け取りができない状況で威力を発揮します。
2020年4月に施行された改正民法では、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと変更され、売主の責任範囲が明確化されました。この通知書は、そうした最新の民法に対応した内容となっており、購入者の権利を適切に主張できる構成になっています。
実際の使用場面としては、家電製品や家具の配送が大幅に遅れている場合、建材や工業用部品の納期が守られない場合、オーダーメイド商品の完成・引渡しが予定より遅れている場合などが考えられます。単に電話で催促するだけでは相手に本気度が伝わりにくいものですが、きちんとした書面で通知することで、取引先に対してより強い印象を与えることができます。
この通知書の特徴は、単なる催促にとどまらず、一定期間内に引渡しがなされない場合は契約を解除する旨も明記している点です。これにより、相手方に対してより強いプレッシャーを与えることができ、迅速な対応を促すことが期待できます。
【2】解説
契約成立の確認部分
文書の冒頭では、いつ、誰と、何を、いくらで購入したかを明確に記載しています。これは後々のトラブルを避けるために重要な要素です。例えば「令和6年3月15日に御社との間で、業務用プリンター1台を50万円で購入する契約を締結した」といった具体的な内容を記載することで、双方の認識の違いによる混乱を防げます。
代金支払いの事実確認
代金支払済みである旨を明記することで、購入者側が契約上の義務を既に履行していることを明確にしています。これにより、引渡義務が売主側にあることを強調できます。実際の取引では「代金は既に指定口座に振り込み済み」「クレジットカードで決済完了」といった支払方法も併記するとより効果的です。
引渡期日の特定と遅延の指摘
約束の引渡期日を明確に示し、その期日を過ぎても商品が届いていない事実を指摘しています。この部分が通知書の核心部分といえるでしょう。例えば「令和6年4月30日が引渡期日でしたが、既に5月15日を過ぎても商品を受け取っておりません」といった具体的な記載により、遅延の事実を客観的に示すことができます。
改正民法への言及
2020年4月施行の改正民法における「契約不適合」という概念に触れることで、現在の民法に基づいた正当な権利行使であることを示しています。これにより、単なるクレームではなく、民法に基づいた正当な請求であることを相手方に認識させることができます。
引渡請求の明示
具体的に何を求めているかを明確に記載しています。「上記商品の引渡しを請求する」という直接的な表現により、曖昧さを排除し、相手方に求める行動を明確にしています。
履行期限の設定
通知書到達後1週間という具体的な期限を設けることで、相手方に対して緊急性を伝えています。この期間は商品の性質や取引の実情に応じて調整可能ですが、あまり短すぎると相手方の対応が困難になり、長すぎると緊急性が伝わりにくくなります。
配送先の明確化
「発注時の指定場所まで配送」という表現により、配送先についての争いを避けています。当初の契約で定めた場所への配送を求めることで、追加の配送費用負担などの問題も回避できます。
契約解除の予告
期限内に履行されない場合の契約解除を予告することで、相手方に対してより強いプレッシャーを与えています。「改めて解除の通知をすることなく」という文言により、期限到来と同時に自動的に契約が解除される旨を明確にしています。これは相手方にとって大きなリスクとなるため、迅速な対応を促す効果が期待できます。