【1】書式概要
この「増改築申入書」は、賃借中の土地上に建てた建物を増改築したい時に、土地の所有者(賃貸人)に承認を求めるための正式な文書です。借地契約では通常、建物の増改築に制限が設けられており、事前に土地所有者の承諾を得る必要があります。
この書式は改正民法に対応しており、特に防火対策や家族構成の変化などの正当な理由がある場合に、丁寧に増改築の許可を求める内容になっています。
例えば、子どもの成長による居住スペース不足や、防災上の理由による改築など、具体的な事情を記載することで、賃貸人の理解を得やすくなるよう工夫されています。増改築計画の詳細は別途設計図を送付する旨も記載され、必要に応じて直接協議の機会を設けることも提案する、配慮の行き届いた書式となっています。
不動産関係の手続きにおいて、円滑なコミュニケーションを図るための実用的な文書です。
【2】解説
書類の冒頭部分
この文書は「増改築申入書」というタイトルで始まり、正式な申入れ文書であることを明確にしています。賃貸借契約において、土地所有者と借主の間の公式なコミュニケーション手段として機能します。日付の記入欄に「●●●●年●月●日」と記載されているのは、実際の使用時に具体的な年月日を記入するためのものです。
契約関係の確認
最初の段落では、既存の契約関係について触れています。「私と貴殿との間で●●●●年●月●日に締結いたしました」という部分では、いつ契約を結んだのかを明記します。また「●●県●●市●●町●丁目●●番所在宅地●●●平方メートル」という部分では、対象となる土地の所在地と面積を特定しています。「普通建物所有の目的で賃借する契約」という記述から、これが一般的な借地契約であることがわかります。
増改築が禁止されている条項の確認
「契約の第●条により、建物の増改築が禁止されております」という記述は非常に重要です。多くの借地契約では、借主が勝手に建物を増改築することを制限する条項が含まれています。例えば「第5条(建物の増改築制限)」などの形で契約書に記載されていることが一般的です。この部分は、自分の契約書を確認して、該当する条項番号を入れる必要があります。
増改築の必要性の説明
二段落目では増改築が必要となった理由を二つ挙げています。一つ目は「災害防止の観点から防火建築への改築が必要」という安全上の理由、二つ目は「建築後生まれた子供達も大きくなり、一部増築(新築)せざるを得ない」という家族構成の変化です。こうした具体的かつ合理的な理由を示すことで、土地所有者の理解を得やすくなります。例えば、木造住宅を準耐火構造に改修したい場合や、子どもが成長して個室が必要になった場合などが考えられます。
丁寧な依頼と今後の進め方
最後の段落では「御賢察の上、当方の増改築を御承認くださるよう」と丁寧に承認を求めています。また「別便をもちまして、設計図をお送りいたしました」と具体的な計画内容を別途提供していることを伝え、「貴殿の御要請があれば、直ちに関係書類持参の上、御協議に上がります」と柔軟な対応姿勢を示しています。これは単に承認を求めるだけでなく、相手の懸念に対応する準備があることを示す配慮です。例えば、増改築後の建物価値や土地の状態について心配がある場合に、詳細な説明ができることを示唆しています。
この文書は、契約上の制限事項について理解しつつも、正当な理由に基づいて増改築の許可を求める、バランスの取れた申入れ文書となっています。