【1】書式概要
本雛形は日常的な金銭貸借において発生する諸問題をシンプルに整理し、法的効力を持たせた実務的なツールとなっています。改正民法にも対応しており、個人間の資金の貸し借りから中小企業の運転資金調達、友人・知人間の一時的な金銭融通まで、様々なシーンでご活用いただけます。
特に、口約束では後々トラブルになりがちな金銭貸借を書面化することで、貸主・借主双方の権利と義務を明確化できる点が大きなメリットです。連帯保証人を設定することで、貸主の債権回収リスクを軽減しつつも、複雑な法律用語を避け、誰にでも理解しやすい表現で作成されています。
また、期限の利益や遅延損害金といった専門的な条項も、明確かつ簡潔に記載することで、契約の履行に関する責任の所在を明らかにしています。銀行振込による支払方法の指定は、現代の金融システムに即したものとなっており、実務的な使用を想定した内容となっています。
〔条文タイトル〕
第1条(借用受領の確認)
第2条(支払条件の指定)
第3条(期限の利益の喪失)
第4条(連帯保証の確認)
第5条(遅延損害金の設定)
【2】逐条解説
第1条(借用受領の確認)
本条は金銭消費貸借契約の核心となる貸借の合意を表明する条項です。借主が金銭を受け取ったことを明確に確認することで、将来の紛争を防止する重要な役割を果たします。特に、改正民法下においては契約の成立要件を明確化する観点から極めて重要な位置づけがなされています。
第2条(支払条件の指定)
支払時期と支払方法を詳細に規定することで、契約履行の具体的な手順を明らかにしています。銀行口座を具体的に指定することで、振込先の錯誤を防ぎ、円滑な取引を促進します。元金と利息の返済時期を区別する点は、借主の経済状況に応じた柔軟な返済計画を可能にしており、実務上非常に有益な規定となっています。
第3条(期限の利益の喪失)
本条は借主の債務履行を担保する強力な条項として機能します。利息の遅延という比較的軽微な債務不履行でも、全額の即時支払義務が生じるという重大な効果を明記することで、借主に対する心理的効果を持たせています。催告なしで期限の利益が失われる点は、貸主の債権保全を実効的に行う仕組みとして注目されるべき規定です。
第4条(連帯保証の確認)
連帯保証人の責任範囲を明確に規定し、借主と同等の返済義務を負わせることで、貸主の債権回収リスクを実質的に軽減します。本条の効力は、主債務者の資力が不十分な場合に特に重要となり、金銭消費貸借契約の信用補完として機能します。連帯保証という重大な責任を負う旨を明記することで、保証人の意識的な同意を確保する意義も有しています。
第5条(遅延損害金の設定)
債務不履行時の経済的責任を予め明確化することで、契約履行のインセンティブを与えています。日歩や年率の具体的な記載は計算の透明性を確保し、将来の紛争を予防する効果があります。遅延損害金は債務不履行に対する経済的制裁としての性格と、債権者の実際の損害を補填する機能の両方を併せ持つ重要な条項となっています。