【1】書式概要
このリビングウィル(終末期医療意思表示書)は、同性パートナーとの関係において、将来の医療判断を明確にするための重要な書類です。従来の家族制度では十分にカバーされていない同性カップルの医療意思決定の場面で、あなたの意思を確実に伝えることができます。
病気や事故で意識を失った際、延命治療や疼痛管理について事前に決めておくことで、大切なパートナーが困難な選択を迫られることを防げます。また、医療機関に対してパートナーが代理人として意思決定を行う権限があることを明示できるため、緊急時の混乱を避けることが可能です。
特に入院時の面会や治療方針の相談において、パートナーが「家族ではない」という理由で排除されるケースが実際に起こっています。この文書があることで、医療従事者に対してパートナーの立場を明確に示すことができ、スムーズな医療連携が期待できます。
Word形式で提供されているため、パソコンで簡単に編集・印刷が可能です。必要な箇所に記入するだけで、あなたとパートナーの状況に合わせてカスタマイズできます。終活を考え始めた同性カップルや、パートナーシップ制度を利用されている方にとって、安心できる将来設計の一部として活用していただけます。
【2】解説
作成者情報について
本人の基本情報を記載する部分です。氏名、生年月日、住所を正確に記入することで、医療機関が本人を特定できるようになります。特に救急搬送時など、身元確認が困難な状況でも、この情報があることで適切な医療提供につながります。住所については現住所を記載し、引越しの際は更新することが大切です。
意思決定代理人(パートナー)の指定
同性パートナーを医療意思決定の代理人として明記する重要な項目です。「事実婚に準ずる関係」という表現により、婚姻関係にない同性カップルでもパートナーシップの実態を示すことができます。例えば、同居期間が長い、共同で生計を立てている、お互いを人生のパートナーと認識しているといった関係性を医療従事者に理解してもらえます。
終末期医療に関する意思表明
延命治療への具体的な意思を示す核心部分です。「希望しない」を選択した場合、人工呼吸器、人工栄養、人工透析、心肺蘇生術の各項目について明確に拒否の意思を表明できます。一方で「希望する」や「条件付き」の選択肢もあり、個人の価値観に応じて柔軟に対応できる構成になっています。条件付きの場合は、具体的な状況を記載することで、より詳細な意思表示が可能です。
疼痛管理の方針
痛みの緩和に対する考え方を示す項目です。積極的な疼痛管理を希望する場合、医療用麻薬の使用にも同意することになります。意識レベルが下がっても痛みの除去を優先するかどうかは、個人の死生観に関わる重要な判断となります。多くの方が「痛みのない最期」を望まれますが、中には意識をできるだけ保ちたいと考える方もいらっしゃいます。
臓器提供の意思確認
死後の臓器提供について事前に意思を明確にしておく項目です。「希望する」「希望しない」に加えて「パートナーの判断に委ねる」という選択肢があることで、同性パートナーに最終判断を託すことも可能です。臓器提供は時間的制約があるため、事前の意思表明が特に重要になります。パートナーが判断に迷った際も、この文書があることで本人の考えを推測する手がかりになります。
その他の希望事項
上記の項目でカバーしきれない個人的な希望を自由に記載できる欄です。例えば、特定の宗教的配慮を求める場合や、最期を迎える場所の希望、パートナー以外の大切な人への連絡希望などを記載することができます。ペットの世話についての心配事や、パートナーへのメッセージなど、個人的な想いを残しておくことも可能です。
署名・印鑑について
本人とパートナー両方の署名・押印により、この文書の信頼性を高めています。日付の記載も重要で、作成時期を明確にすることで、複数の文書がある場合の優先順位を判断する材料になります。定期的な見直しと更新を行うことで、常に最新の意思を反映させることができます。
|