【1】書式概要
この私傷病休職規程は、従業員が病気やケガで働けなくなった際の休職から復職までの手続きを明確に定めた企業向けの規程雛型です。現代の職場では、メンタルヘルスの問題や突発的な疾病により、従業員が長期間働けなくなるケースが増加しており、そうした状況に適切に対応するための制度整備が欠かせません。
本規程は働き方改革関連法に対応した内容となっており、休職事由の判定基準から休職期間の設定、復職時の手続き、さらには再休職の取り扱いまで、実務で必要となる要素を網羅的にカバーしています。特に、勤続年数に応じた休職期間の設定や、産業医による復職判定の仕組みなど、実際の運用を想定した実用的な内容となっています。
中小企業から大企業まで、規模を問わず活用できる汎用性の高い内容で、人事労務担当者が社内制度を整備する際の参考資料として最適です。また、既存の就業規則を見直す際や、新たに休職制度を導入する場面でも重宝します。Word形式で提供されているため、自社の実情に合わせて条文の修正や追加が容易に行えます。労働トラブルの予防や適切な労務管理の実現に向けて、ぜひご活用ください。
【2】逐条解説
第1条(目的)
この条文は規程全体の適用範囲と目的を明確にしています。正社員のみを対象とし、パートタイマーや契約社員は含まれません。私傷病とは業務外の病気やケガを指し、労災とは区別されます。
第2条(休職事由)
休職命令を発する具体的な基準を定めています。1カ月連続欠勤または6カ月内に通算30日以上の欠勤という客観的基準に加え、労務提供能力の欠如という主観的判断も含まれます。例えば、うつ病で出勤はできるものの集中力が著しく低下し、業務に支障をきたす場合などが該当します。診断書の提出義務や産業医による診断の受診命令も規定されており、適切な判断材料の収集を可能にしています。
第3条(休職期間)
勤続年数に応じた休職期間の上限を設定しています。勤続1年未満なら3カ月、1年以上5年未満なら6カ月、5年以上なら1年となります。これにより、長期勤務者により手厚い保護を提供する仕組みです。会社の裁量による期間延長も可能で、特別な事情がある場合の柔軟な対応を想定しています。
第4条(休職期間中の処遇等)
休職期間中は無給とし、勤続年数にも算入しないことを明記しています。ただし、年次有給休暇の算定では勤続期間に含める配慮がなされています。定期的な治療経過の報告義務や、治療専念義務も定められており、適切な療養環境の確保を図っています。
第5条(復職)
復職を希望する従業員の手続きを規定しています。復職願と主治医の診断書の提出が必要で、会社は医師からの意見聴取も求めることができます。例えば、主治医は復職可能と判断していても、産業医が職場環境を考慮して時期尚早と判断するケースもあり、多角的な検討を可能にしています。
第6条(復職判定期間)
復職前の試行期間を設ける制度です。いきなりフルタイム勤務に戻すのではなく、短時間勤務や軽作業から始めて段階的に職場復帰を進めることができます。この期間中も休職期間は継続するため、万が一復職が困難と判断された場合の保護も考慮されています。
第7条(退職)
休職期間満了時に復職できない場合の取り扱いを定めています。自然退職とすることで、解雇ではない形での雇用関係終了を規定しています。これにより、双方にとって穏便な関係終了が可能になります。
第8条(再休職)
復職後6カ月以内に同じ病気で再び休職が必要になった場合の特別規定です。前回の休職期間の残期間を上限とすることで、制度の濫用を防ぎつつ、必要な保護は継続する仕組みとなっています。例えば、うつ病で復職したものの、職場のストレスで症状が再発するケースなどを想定しています。
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