【1】書式概要
この書式は、いわゆる「頂き女子」の被害に遭われた方が、加害者との間で示談を成立させるための示談書です。
返金請求書を送った後、相手が話し合いに応じてきた場合や、弁護士を通じて交渉がまとまった場合に、その合意内容を書面に残すために使用します。口約束だけで終わらせてしまうと、後から「そんな約束はしていない」「金額が違う」などと言い逃れされる恐れがありますので、必ず書面で合意内容を確定させることが大切です。
本書式には、加害者が詐欺行為を認める条項、示談金の金額と支払方法、分割払いの場合の取り決め、刑事告訴に関する条項、秘密保持や接触禁止の約束、そして今後は互いに何も請求しないという清算条項まで、示談に必要な項目がすべて盛り込まれています。
特に分割払いを認める場合は注意が必要です。相手が途中で支払いをやめてしまうケースも少なくないため、「2回以上支払いを怠ったら残額を一括で払う」という期限の利益喪失条項を入れてあります。また、刑事告訴の取下げについても、相手が義務を果たすことを条件としているため、支払いが滞れば告訴できる余地を残しています。
Word形式ですので、示談金額や支払方法、当事者の情報など、ご自身の状況に合わせて自由に編集してお使いいただけます。示談交渉がまとまりそうな段階で、ぜひご活用ください。
【2】条文タイトル
第1条(事実の確認) 第2条(示談金) 第3条(支払方法) 第4条(期限の利益喪失) 第5条(謝罪) 第6条(刑事告訴の取下げ等) 第7条(秘密保持) 第8条(接触禁止) 第9条(清算条項) 第10条(合意管轄)
【3】逐条解説
第1条(事実の確認)
示談書の冒頭で最も重要な条項です。加害者に自らの行為が詐欺であったことを認めさせ、被害者からいくら受け取ったのか、その行為によって被害者に損害を与えたことを明確に確認させます。ここで事実関係をはっきりさせておくことで、後から「騙したつもりはなかった」「そんなにもらっていない」などと言い逃れされることを防ぎます。たとえば「令和5年4月から令和6年2月まで交際を装い、合計180万円を騙し取った」といった具体的な内容を記載します。
第2条(示談金)
解決金としていくら支払うかを定める条項です。示談金の総額を明記するとともに、その内訳として「騙し取った金銭の返還分」と「慰謝料」に分けて記載します。たとえば被害額が150万円で慰謝料50万円を加えて示談金200万円とする、といった形です。内訳を明示しておくことで、何に対する支払いなのかが明確になり、後のトラブルを防げます。
第3条(支払方法) 示談金をいつまでに、どのように支払うかを定める条項です。一括払いと分割払いのどちらかを選択できるようになっています。相手に資力がない場合は分割払いを認めざるを得ないこともありますが、その場合は毎月いくらずつ、いつまで支払うのかを明確に記載します。振込先口座の情報も漏れなく書いておくことで、「どこに払えばいいかわからなかった」という言い訳を封じます。
第4条(期限の利益喪失)
分割払いを認めた場合のための安全装置となる条項です。分割払いの場合、相手が途中で支払いをやめてしまうリスクがあります。この条項があれば、2回以上支払いを怠った時点で残りの金額を一括で請求できるようになります。たとえば月5万円の36回払いで合意したのに3か月目から払わなくなった場合、残り33回分の165万円を直ちに全額請求できるということです。
第5条(謝罪)
加害者に謝罪させ、二度と同じことをしないと誓約させる条項です。金銭的な解決だけでなく、被害者の心情としては相手にきちんと謝ってほしいという思いがあるのは当然です。また、再犯防止の誓約を入れることで、万が一相手が同様の行為を繰り返した場合に、この示談書が不利な証拠として使える可能性もあります。
第6条(刑事告訴の取下げ等)
被害者が刑事告訴をしない、または取り下げる意思を示す条項です。ただし無条件ではなく、「相手が示談書の義務をきちんと果たすこと」が条件となっています。つまり、分割払いの途中で支払いが止まったり、接触禁止に違反したりした場合は、改めて刑事告訴できる余地を残しています。相手にとっては「ちゃんと払わないと前科がつくかもしれない」というプレッシャーになります。
第7条(秘密保持)
示談の内容を口外しないことを約束する条項です。被害者としては恥ずかしい経験を他人に知られたくないでしょうし、加害者としても自分の行為が広まるのは避けたいはずです。双方にとってメリットのある条項ですが、弁護士への相談や裁判手続きなど正当な理由がある場合は例外として認めています。
第8条(接触禁止)
加害者が被害者に今後一切連絡してこないことを約束させる条項です。電話、メール、LINE、SNSなど、あらゆる手段での接触を禁止しています。示談が成立した後も相手から連絡が来るようでは被害者は安心して生活できません。この条項に違反した場合は、第6条の刑事告訴の条件が崩れることにもなります。
第9条(清算条項)
この示談書で定めた以外には、お互いに何も請求しないことを確認する条項です。示談が成立した後になって「やっぱりもっと払え」「あのときの貸し借りが残っている」などと蒸し返されることを防ぎます。この条項があることで、示談書に署名した時点で紛争が完全に終結したことになります。
第10条(合意管轄)
万が一、示談書の内容について争いが生じた場合に、どこの裁判所で裁判をするかを定める条項です。被害者の住所地を管轄する裁判所としておくことで、被害者が遠方の裁判所まで出向く負担を避けられます。加害者が遠方に住んでいる場合でも、被害者の地元で裁判ができるようにする実務的な意味があります。
【4】FAQ
Q1. 示談書はいつ作成すればいいですか?
返金請求書を送った後、相手が話し合いに応じてきて、支払う金額や方法について合意できた段階で作成します。口頭やLINEでの合意だけで終わらせず、必ず書面にして双方が署名押印することが重要です。
Q2. 相手が示談書への署名を拒否したらどうすればいいですか?
署名を拒否するということは、示談に応じる意思がないということです。その場合は、民事訴訟を提起するか、刑事告訴を進めるかを検討することになります。弁護士に相談して今後の方針を決めることをお勧めします。
Q3. 示談金の金額はどうやって決めればいいですか?
基本的には騙し取られた金額の全額返還を求めるのが原則です。それに加えて精神的苦痛に対する慰謝料を上乗せすることもできます。ただし、相手に資力がない場合は減額せざるを得ないこともあります。交渉の中で落としどころを探ることになります。
Q4. 分割払いを認めても大丈夫ですか?
相手に一括で払う資力がない場合、分割払いを認めないと示談自体が成立しないこともあります。その場合は、期限の利益喪失条項を必ず入れておきましょう。また、分割回数はなるべく少なくし、支払期間を長引かせないようにすることをお勧めします。
Q5. 刑事告訴を取り下げる条項を入れなくてもいいですか?
この条項がないと、相手が示談に応じるメリットが薄れるため、交渉がまとまりにくくなります。ただし、悪質性が極めて高い場合など、刑事処罰を求めたい場合は、あえてこの条項を外して示談金だけの合意とすることも可能です。
Q6. 示談書は2通作成する必要がありますか?
はい。同じ内容の示談書を2通作成し、双方が署名押印したうえで、それぞれ1通ずつ保管します。1通しか作成しないと、相手が紛失したり破棄したりした場合に証拠がなくなってしまいます。
Q7. 公正証書にした方がいいですか?
分割払いの場合は、示談書を公正証書にしておくと、相手が支払いを怠った場合に裁判をせずに強制執行(給与差押えなど)ができるようになります。公証役場で作成でき、費用は示談金額に応じて数万円程度です。高額な示談金の場合は検討する価値があります。
Q8. 示談が成立したら被害届は取り下げるべきですか?
示談書に刑事告訴の取下げ条項を入れた場合は、相手が義務を履行している限り、告訴を取り下げるのが筋です。ただし、警察がすでに捜査を進めている場合は、被害者の意思だけで捜査を止められないこともあります。警察や弁護士に相談してください。
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