【1】書式概要
この機密保持誓約書は、企業がインターンシップ生を受け入れる際に必要不可欠な重要書類です。現代の就職活動において、インターンシップは学生にとって貴重な実務体験の機会となっており、企業側にとっても優秀な人材を早期に発見できる絶好のチャンスです。
しかし、インターンシップ期間中に学生が企業の内部情報に触れることは避けられません。技術仕様や顧客データ、事業戦略といった機密性の高い情報が、意図せず外部に漏れてしまうリスクが常に存在します。特に昨今のSNS普及により、何気ない投稿が企業の重要情報を暴露してしまう事例も増加しています。
この書式は、そうしたリスクを未然に防ぐために作成されました。企業の人事担当者や総務部門の方々が、インターンシップ開始前に学生との間で取り交わす約束事を明文化したものです。単なる口約束ではなく、きちんとした書面として残すことで、双方の責任を明確にし、安心してインターンシップを実施できる環境を整えます。
Word形式で提供されているため、自社の状況に応じて内容を自由に編集・カスタマイズできます。企業名の変更はもちろん、業界特有の機密情報の定義を追加したり、保持期間を調整したりと、柔軟な運用が可能です。採用活動を行う全ての企業にとって、時間とコストを大幅に削減できる実用的なテンプレートとなっています。
【2】逐条解説
第1条(機密情報の定義)
この条文は、何が「秘密」に当たるのかを具体的に定めています。曖昧な表現では後々トラブルの原因となるため、技術情報から営業情報まで幅広くカバーしています。例えば、インターン生が開発部門でプログラムコードを見たり、営業部門で顧客との商談に同席したりする場合、それらの情報すべてが対象となります。「その他貴社が機密として指定する情報」という包括的な文言により、予想外の情報漏洩も防げる仕組みです。
第2条(機密保持義務)
機密情報をどう扱うべきかの具体的なルールを示しています。友人との何気ない会話で会社の話をしてしまうことや、レポート作成時に実名でデータを引用することなど、学生が陥りがちな行為を事前に防止します。「貴社の指示に従う」という文言により、企業側が必要に応じて追加の管理方法を指示できる柔軟性も確保されています。
第3条(資料等の返還)
インターンシップ終了時の手続きを明確化しています。学生が持ち帰った資料やUSBメモリ、さらには手書きのメモまで、機密情報に関するものはすべて返還対象です。デジタル時代では、スマートフォンで撮影した写真や、クラウドストレージに保存したファイルも含まれることを、事前に説明しておくことが重要です。
第4条(SNS・インターネット利用)
現代のインターンシップで最も注意すべき点の一つです。Instagram、Twitter、TikTokなどでの投稿は、一度拡散されると完全な削除が困難になります。たとえオフィスの風景を撮影しただけでも、背景に映り込んだホワイトボードの内容から重要情報が漏洩する可能性があります。事前承認制とすることで、このようなリスクを最小限に抑えています。
第5条(義務の継続)
インターンシップが終了しても、知り得た情報の機密性は継続します。3年間という期間設定は、多くの企業情報のライフサイクルを考慮した現実的な長さです。学生が就職活動で他社を受ける際に、前のインターンシップ先の情報を話してしまうようなケースを防ぐ効果があります。
第6条(違反時の責任)
万が一、約束が破られた場合の取り扱いを定めています。損害賠償という言葉は重く感じられますが、これにより学生側の責任感を高める効果があります。実際の運用では、まず話し合いによる解決を図ることが一般的ですが、悪質なケースに備えた条項として必要不可欠です。
第7条(管轄裁判所)
紛争が生じた場合の解決手続きを事前に定めています。企業所在地の裁判所を指定することで、企業側の負担を軽減できます。ただし、これは最後の手段であり、通常は当事者間の話し合いや調停による解決が望ましいでしょう。
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