【1】書式概要
この駐車場賃貸借契約書は、企業や個人事業主が駐車場スペースを賃借する際に使用できる実用的な契約書です。改正民法に完全対応しており、賃貸人と賃借人の権利義務関係を明確にします。特に法人間での駐車場の貸し借りにおいて、トラブルを未然に防ぐために必要な条項が網羅されています。
契約期間や賃料、保証金の取り扱いから、中途解約の条件、損害賠償責任まで詳細に規定されているため、駐車場経営者や車両を所有する企業にとって非常に役立つ内容となっています。契約書に必要な押印欄も完備しており、すぐに実務で活用できます。
駐車場不足に悩む都市部の企業や、複数の車両を管理する法人、あるいは駐車場経営を始めたばかりのオーナーなど、様々な場面で活用できる汎用性の高い契約書です。記載事項を埋めるだけで、正式な契約書として使用できるため、専門知識がなくても安心です。
【2】条文タイトル
第1条(賃貸借の合意)
第2条(契約期間)
第3条(賃料)
第4条(保証金)
第5条(賃借人の義務)
第6条(損害賠償)
第7条(賃貸人の免責)
第8条(解除)
第9条(中途解約)
第10条(契約終了時の措置)
第11条(合意管轄)
【3】逐条解説
第1条(賃貸借の合意)
この条項では、契約の基本となる「何を」「どのような目的で」貸し借りするのかを明確にしています。ここでは駐車場の特定された区画を、特定の車両のための保管場所として使用する目的で賃貸することを定めています。
実務上のポイントとしては、車種や車両番号を明記することで、契約対象の車両を明確にしている点です。例えば「トヨタ プリウス、品川500 あ 1234」のように具体的に記載することで、後々のトラブル防止につながります。
第2条(契約期間)
契約期間について規定しています。初期契約期間は6ヶ月間で、期間満了の1ヶ月前までに解約の意思表示がなければ、同一条件で自動更新される仕組みになっています。
この自動更新条項は実務上非常に便利で、毎回契約更新の手続きをする手間を省けます。特に複数の駐車場を管理している場合、更新忘れによる契約切れのリスクを減らせるメリットがあります。自動車保険の更新と時期を合わせると管理しやすくなるでしょう。
第3条(賃料)
月額賃料の金額と支払方法について定めています。賃料は前払い方式で、振込手数料は賃借人負担となっています。
都心部では月額2〜5万円程度、郊外では1〜3万円程度が相場となりますが、立地条件や区画の広さによって大きく変わります。振込手数料の負担を明確にしておくことで、少額ではありますが長期契約では積み重なるため、トラブル防止になります。
第4条(保証金)
賃借人が預ける保証金について規定しています。一般的に賃料の1〜3ヶ月分程度が相場です。返還時期や無利息である点も明記されています。
保証金は賃料滞納や原状回復費用に充当できるため、賃貸人側にとって重要な担保となります。例えば賃借人が急に連絡が取れなくなった場合でも、この保証金から未払い賃料を回収できるメリットがあります。
第5条(賃借人の義務)
賃借人が守るべき義務について3つの事項を定めています。目的外使用の禁止、権利譲渡の禁止、駐車場規則の遵守です。
例えば、契約した車両以外の駐車や物品の保管、第三者への又貸しなどが禁止されます。商品の一時保管場所として使用したり、知人に貸したりするケースがトラブルの原因となるため、この規定が重要です。
第6条(損害賠償)
賃借人側の責任で駐車場施設や他の車両に損害を与えた場合の賠償責任を定めています。
具体的には、駐車や出庫の際に施設の壁や柱にぶつけた場合や、他の駐車車両に接触事故を起こした場合などが該当します。こうした事故が起きた際に賠償責任の所在を明確にしておくことで、スムーズな解決につながります。
第7条(賃貸人の免責)
駐車場内で賃借人が被った損害について、賃貸人の免責事項を定めています。施設自体の瑕疵による損害以外は責任を負わないとしています。
例えば、他の利用者による車両への傷や盗難、自然災害による被害などについては賃貸人は責任を負いません。ただし、天井からの雨漏りで車が損傷した場合のように、施設の欠陥が原因の場合は賃貸人の責任となります。
第8条(解除)
賃貸人が契約を解除できる条件を定めています。賃料の2ヶ月以上の滞納、駐車場規則違反、その他契約違反の場合に即時解除が可能です。
実務上、最も多いのは賃料滞納による解除ですが、例えば危険物の持ち込みや長期間の放置なども規則違反として解除事由となります。この条項により、問題のある賃借人に対して適切に対応できます。
第9条(中途解約)
契約期間中でも予告により解約できる条件を規定しています。双方3ヶ月前の予告が必要ですが、賃借人は予告の代わりに賃料3ヶ月分を支払うことで即時解約も可能です。
例えば、会社の移転や車両の売却などで急に駐車場が不要になった場合、3ヶ月分の賃料を支払えば即日解約できるという選択肢があります。これは賃借人にとって柔軟性をもたらす重要な条項です。
第10条(契約終了時の措置)
契約終了時の原状回復義務と、明け渡し遅延の場合の損害賠償について定めています。
契約が終了したら速やかに車両や備品を撤去し、区画を原状回復して返還する必要があります。例えば、オイル漏れがあった場合はその清掃も必要です。遅延損害金の設定により、賃借人に速やかな明け渡しを促す効果があります。
第11条(合意管轄)
契約に関する紛争が生じた場合の裁判管轄を定めています。一般的に賃貸人の所在地を管轄する裁判所が指定されることが多いです。
この条項により、万が一訴訟になった場合でも、どこの裁判所で争うかをめぐる無用な争いを避けることができます。特に当事者の所在地が離れている場合に重要となります。