【1】書式概要
この文書は、日本の法律に基づいた改正民法対応版の定期建物賃貸借契約の完全パッケージです。
このパッケージには、
①定期建物賃貸借標準契約書(連帯保証人あり)、
②定期建物賃貸借契約に関する事前説明書、
③定期建物賃貸借契約終了に関する通知書
の3点が含まれており、借地借家法第38条に準拠した契約の更新のない賃貸借契約を締結するために必要な全ての書類が揃っています。
この雛型は特に事務所や店舗向けの商業用不動産の賃貸に適しており、賃貸人と賃借人双方の権利義務を明確に定めています。賃料や敷金、共益費の取り扱いから、契約解除条件、原状回復義務、反社会的勢力の排除条項まで、現代の賃貸契約に必要な条項を網羅しています。また、連帯保証人に関する規定も含まれており、2020年の民法改正に対応した個人保証の極度額設定にも対応しています。
本雛型は実務経験に基づいて作成されており、契約書の重要箇所には「●●●●」のように編集可能な箇所が明示されているため、個別の契約条件に応じて簡単にカスタマイズできます。法的要件を満たした適切な定期借家契約の締結を支援し、将来的なトラブルを未然に防ぐための信頼性の高い法的文書として、不動産オーナーや管理会社、法務担当者の方々に最適な内容となっています。
〔定期建物賃貸借標準契約書:条文タイトル〕
第1条(定期建物賃貸借)
第2条(使用目的)
第3条(契約期間)
第4条(賃料)
第5条(共益費)
第6条(賃料の改定)
第7条(共益費の改定)
第8条(敷金)
第9条(賃料及び共益費以外の費用の負担)
第10条(債務延滞損害金)
第11条(反社会的勢力の排除)
第12条(登記事項の変更等、反社会的勢力の排除)
第13条(賃借権の譲渡等の禁止等)
第14条(善管注意義務)
第15条(管理規則の遵守)
第16条(損害賠償責任)
第17条(諸造作、設備工事等)
第18条(修繕)
第19条(立入り、点検等)
第20条(免責)
第21条(契約期間内の解約禁止)
第22条(契約の解除)
第23条(本建物の滅失等による本契約の終了)
第24条(明渡し)
第25条(連帯保証人)
第26条(守秘義務)
第27条(合意管轄)
第28条(信義則)
【2】逐条解説
定期建物賃貸借契約書 逐条解説
第1条(定期建物賃貸借)
この条文は契約の基本的性質を定めており、この契約が借地借家法第38条に規定される「定期建物賃貸借契約」であることを明確にしています。通常の賃貸借契約とは異なり、契約の更新がない特殊な契約形態であることを双方が確認する重要な条項です。
第2条(使用目的)
賃借物件の使用目的を明記しています。使用目的は契約要項に記載され、賃借人はその目的以外に物件を使用できないことを意味します。これにより、目的外使用による契約違反を防止します。
第3条(契約期間)
契約期間とその満了による終了、更新のないことを規定しています。特に重要なのは第3項で、賃貸人は契約満了の1年前から6ヶ月前までの間に契約終了の通知を書面で行う義務があることを明記しています。これは借地借家法第38条第4項の要件を満たすための条項です。
第4条(賃料)
賃料の金額、支払方法、日割計算の方法、および消費税の取り扱いについて定めています。特に消費税率変更時の対応も明記されており、法改正に柔軟に対応できる内容となっています。
第5条(共益費)
共益費の金額、支払方法、充当する費用の範囲について規定しています。共益費が建物の共用部分の維持管理費等に充てられることを明確にし、消費税の取り扱いも規定しています。
第6条(賃料の改定)
契約期間中は賃料を改定しないことと、借地借家法第32条(賃料増減請求権)の適用がないことを明記しています。これにより、契約期間中の賃料は固定されます。
第7条(共益費の改定)
共益費については、経済状況の変動により不相当となった場合に改定できることを規定しています。ただし、賃貸人と賃借人の協議によることを条件としており、一方的な改定はできません。
第8条(敷金)
敷金の額、無利息であること、相殺禁止、債務への充当、明渡し時の返還条件などを詳細に規定しています。特に敷金の第三者への譲渡禁止など、敷金に関する権利義務関係を明確にしています。
第9条(賃料及び共益費以外の費用の負担)
賃借人が負担すべき費用(電気料、設備保守点検費用、時間外空調費用、清掃費用、害虫駆除費用等)を明確にしています。これにより、賃料・共益費に含まれない費用の負担区分を明確にしています。
第10条(債務延滞損害金)
賃借人が賃料等の支払いを遅延した場合の延滞損害金(年利14.6%)について規定しています。また、延滞損害金の支払いが契約解除権の行使を妨げないことも明記しています。
第11条(反社会的勢力の排除)
賃貸人・賃借人が反社会的勢力でないこと、反社会的勢力に名義を利用させないことを確約する条項です。近年の契約では必須となっている反社会的勢力排除条項です。
第12条(登記事項の変更等、反社会的勢力の排除)
賃借人の住所、商号等の変更時の通知義務と、合併や会社分割時の届出義務を規定しています。また、反社会的勢力との合併等も禁止しており、第11条と連動した条項となっています。
第13条(賃借権の譲渡等の禁止等)
賃借権の譲渡禁止、物件の転貸禁止、無断同居禁止、反社会的勢力への使用禁止などを規定しています。賃借人が賃借権を第三者に移転することを防ぐための重要な条項です。
第14条(善管注意義務)
賃借人に対し、物件及び建物を善良な管理者の注意をもって使用する義務を課しています。民法上の一般原則を確認的に規定しています。
第15条(管理規則の遵守)
賃貸人が定める管理規則の遵守義務を規定しています。管理規則は契約書とは別に定められるもので、建物の具体的な利用ルールを定めるものです。
第16条(損害賠償責任)
賃借人またはその関係者の故意・過失により物件や建物に生じた損害の賠償責任、第三者に与えた損害の賠償責任を規定しています。責任の所在を明確にする条項です。
第17条(諸造作、設備工事等)
賃借人が物件の原状を変更する場合の事前承諾義務、工事施工者の指定、費用負担、公租公課の負担を規定しています。無断改造を防止するための条項です。
第18条(修繕)
修繕の必要が生じた場合の通知義務と費用負担について規定しています。原則として賃貸人負担ですが、賃借人の責任による修繕は賃借人負担となることを明確にしています。
第19条(立入り、点検等)
賃貸人や指定者が物件に立ち入り点検できる権利を規定しています。建物の維持管理のために必要な条項で、緊急時の無通知立入りも認めています。
第20条(免責)
賃貸人が賠償責任を負わない場合を規定しています。特に地震・火災等の災害や停電・漏水等による賃借人の損害について、賃貸人の故意・重過失がない限り責任を負わないとしています。賠償責任が生じる場合の上限も設定しています。
第21条(契約期間内の解約禁止)
契約期間中は双方とも解約できないことを規定しています。定期建物賃貸借契約の特性として、期間の確定性を担保するための条項です。
第22条(契約の解除)
賃貸人が契約を解除できる事由と、解除時の違約金について規定しています。賃料不払い、反社会的勢力関与、契約違反などの場合に無催告解除が可能とされています。
第23条(本建物の滅失等による本契約の終了)
天災等による建物の滅失・破損で契約目的を達成できなくなった場合の契約終了を規定しています。不可抗力による契約終了の条件を明確にしています。
第24条(明渡し)
契約終了時の物件明渡し条件、原状回復義務、明渡し遅延時の賠償金、立退料等請求の放棄などを規定しています。契約終了後の重要な権利義務関係を定めています。
第25条(連帯保証人)
連帯保証人の責任範囲、変更手続き、個人保証の限度額などを規定しています。2020年民法改正に対応し、個人保証の極度額を設定しています。
第26条(守秘義務)
契約内容や履行過程で知り得た相手方の秘密を第三者に漏洩しないことを規定しています。契約終了後も守秘義務が継続することも明記されています。
第27条(合意管轄)
契約に関する訴訟の管轄裁判所を定めています。紛争発生時の裁判所を予め指定することで、管轄争いを防止します。
第28条(信義則)
契約の誠実履行義務と、規定のない事項や疑義が生じた事項の協議解決を規定しています。民法の一般原則である信義誠実の原則を確認的に規定しています。