〔改正民法対応版〕問屋契約書

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〔改正民法対応版〕問屋契約書

¥2,980
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【1】書式概要

 

この問屋契約書は、メーカーや製造業者が自社の商品を問屋に販売してもらう際に必要となる契約書のテンプレートです。改正民法に完全対応しており、Word形式で自由に編集できるため、自社の取引条件に合わせてカスタマイズが可能です。

 

問屋制度は日本の商取引で広く活用されている販売方式で、問屋が自分の名前で商品を販売し、その対価として報酬を受け取る仕組みです。この契約書があれば、メーカーと問屋の間で「誰がどんな商品をどこで売るのか」「報酬はいくらか」「トラブルが起きたらどうするか」といった大切な約束事を明確にできます。

 

たとえば新商品を開発したけれど自社では販路が限られている場合、全国に販売網を持つ問屋と契約することで一気に市場を広げられます。また、海外製品を日本で販売したい輸入業者にとっても、国内の問屋と組むことで効率的な販売が実現できるでしょう。

 

この契約書には商品の品質保証、代金の支払い方法、秘密情報の取り扱い、契約解除の条件など、実務で必要になる項目が網羅されています。空欄部分に自社の情報や取引条件を記入するだけで、すぐに使える実用的な内容になっています。さらに万が一のトラブルに備えた解除条項や、契約終了時の在庫買取りに関する規定も盛り込まれているため、安心して取引を始められます。

 

 

 

 

【2】条文タイトル一覧

 

  • 第1条(契約の目的)
  • 第2条(取扱商品)
  • 第3条(販売地域)
  • 第4条(契約期間)
  • 第5条(商品の供給)
  • 第6条(所有権の移転及び危険負担)
  • 第7条(商品の品質保証)
  • 第8条(販売価格)
  • 第9条(問屋報酬)
  • 第10条(売上代金の精算及び支払)
  • 第11条(販売促進活動)
  • 第12条(秘密保持)
  • 第13条(契約の解除)
  • 第14条(契約終了時の措置)
  • 第15条(協議事項)
  • 第16条(管轄裁判所)

 

 

 

【3】逐条解説

 

第1条(契約の目的)

この条文では問屋契約の基本的な枠組みを定めています。メーカー側が商品の販売を依頼し、問屋側がそれを引き受けるという関係性を明確にするものです。問屋は自分の名義で販売活動を行うため、取引先から見ると問屋が販売主体となります。これは代理店契約とは異なる点で、問屋が独立した事業者として商品を扱うことを意味しています。

 

第2条(取扱商品)

取り扱う商品を具体的に特定する条文です。商品名や型番、仕様などを明記することで、後々の混乱を避けられます。たとえば「スマートフォンケース全般」なのか「特定モデルのケースのみ」なのかで販売戦略も変わってきますから、この段階で明確にしておくことが大切です。また、商品の仕様変更があった場合の通知義務も定めており、問屋側が常に最新情報を把握できる仕組みになっています。

 

第3条(販売地域)

問屋が販売できる地域を定める条文です。「関東地方限定」や「全国」など、販売エリアを明確にすることで、複数の問屋との契約時に地域が重複しないよう調整できます。地域限定にすることで、各エリアの問屋が競合せずに販売に集中できるメリットがあります。ただし、両者の合意があれば販売地域を柔軟に変更できる規定も盛り込まれています。

 

第4条(契約期間)

契約の有効期間と更新条件を定めています。最初から長期契約にするのではなく、一定期間で区切って自動更新する形式にすることで、双方が関係を見直す機会を持てます。更新を望まない場合は指定された期限までに通知すればよいため、契約関係を円滑に終了させることも可能です。

 

第5条(商品の供給)

商品の発注から納入までの流れを規定しています。問屋が具体的な数量や納期を指定して発注し、メーカーがそれに応じて納入するという基本的な取引プロセスを明確化しています。ただし、過大な発注に対してはメーカー側が拒否できる上限額を設定することで、メーカーの生産能力を超える注文から守る仕組みも用意されています。

 

第6条(所有権の移転及び危険負担)

商品の所有権がいつ移転するか、そして商品に何かあった場合の責任は誰が負うのかを定めています。引渡し時点で所有権が問屋に移るため、その後の保管リスクは問屋が負担します。たとえば倉庫での火災や盗難は問屋の責任となるため、問屋側は適切な保険に加入するなどのリスク管理が必要になります。

 

第7条(商品の品質保証)

メーカーは約束した品質の商品を提供する責任があります。もし不良品が混じっていたり数が足りなかったりした場合、問屋は速やかにメーカーに連絡し、メーカーは代わりの商品を用意します。改正民法に対応した「契約不適合」という表現を使用しており、品質や数量が契約内容と合わない場合にメーカーが責任を負う仕組みになっています。

 

第8条(販売価格)

商品をいくらで売るかを決める条文です。基本的にはメーカーが価格を決定しますが、メーカーが価格を指定しない場合は問屋が市場の相場を見て適切な価格を設定できます。価格変更の際は事前通知が必要と定めることで、問屋側が急な価格変動に対応できるよう配慮されています。

 

第9条(問屋報酬)

問屋が受け取る手数料について定めています。販売価格に対して何パーセントという形で報酬率を決めるのが一般的です。たとえば10%と設定した場合、10万円で売れた商品なら1万円が問屋の取り分になります。報酬の計算期間を月単位と明確にすることで、経理処理もスムーズに行えます。

 

第10条(売上代金の精算及び支払)

毎月の販売実績を報告し、代金を精算する手続きを定めています。問屋は月末に販売データをまとめて報告書を作成し、売上から自分の報酬を差し引いた金額をメーカーに振り込みます。振込手数料は問屋負担と明記することで、メーカーが受け取る金額が目減りしないよう配慮されています。

 

第11条(販売促進活動)

問屋には積極的に商品を売る努力義務があります。ただ商品を置いておくだけでなく、営業活動を通じて販路を広げていく責任があるということです。メーカー側も販促ツールを提供するなど協力することで、双方が力を合わせて売上を伸ばしていく関係性を構築できます。

 

第12条(秘密保持)

取引を通じて知り得た相手方の企業秘密を守る義務を定めています。商品の製造技術や顧客リスト、価格戦略など、ビジネス上の重要情報が漏れないよう保護する条文です。秘密保持義務は契約終了後も一定期間続くため、取引関係が終わった後も情報管理には注意が必要です。ただし、既に世間に知られている情報などは秘密情報から除外されます。

 

第13条(契約の解除)

契約を途中で終了させる条件を定めています。相手方が約束を守らない場合や、経営状態が悪化して支払いが滞りそうな場合などには、すぐに契約を解除できます。また、特別な理由がなくても一定期間前に通知すれば契約を終了できる規定もあり、柔軟な対応が可能です。

 

第14条(契約終了時の措置)

契約が終わった時の在庫処理について定めています。問屋の手元に残った商品について、問屋はメーカーに買い取りを求めることができます。これにより、問屋は在庫リスクを最小限に抑えられますし、メーカーも自社商品が適切に回収されることで市場での価格混乱を防げます。

 

第15条(協議事項)

契約書に書かれていない問題が起きた時や、条文の解釈で意見が分かれた時には、お互いに話し合って解決しましょうという条文です。すべてのケースを契約書で想定するのは不可能ですから、この条文があることで柔軟に対応できます。

 

第16条(管轄裁判所)

万が一裁判になった場合、どこの裁判所で争うかを事前に決めておく条文です。これがないと、訴える側が自由に裁判所を選べてしまい、遠方の裁判所に呼び出される可能性もあります。事前に決めておくことで、双方にとって予測可能性が高まります。

 

 

 

 

【4】FAQ

 

Q1: この契約書は改正民法に対応していますか?

はい、完全に対応しています。特に第7条で使用している「契約不適合」という用語は、2020年4月施行の改正民法に基づく最新の表現です。従来の「瑕疵担保責任」から変更されており、現行法に則った内容になっています。

 

Q2: Word形式で編集できますか?

はい、Microsoft Word形式(.docx)で提供されていますので、パソコンにWordがインストールされていれば自由に編集できます。空欄部分に必要事項を記入したり、条文の追加・削除も可能です。

 

Q3: どのような業種で使えますか?

製造業、卸売業、商社、輸入業者、小売業者など幅広い業種で活用できます。特に自社製品を持つメーカーが販路を拡大したい場合や、商社が特定商品の販売権を獲得する場合などに適しています。

 

Q4: 問屋契約と代理店契約の違いは何ですか?

問屋契約では問屋が自分の名前で販売し、商品の所有権も問屋に移転します。一方、代理店契約では代理店はメーカーの名前で販売し、商品の所有権は移転しません。リスク負担の面で大きな違いがあります。

 

Q5: 報酬率は何パーセントが相場ですか?

業界や商品によって異なりますが、一般的には販売価格の5%から20%程度が多いです。利益率の高い商品なら報酬率も高めに、薄利多売の商品なら低めに設定することが一般的です。

 

Q6: 契約期間はどのくらいが適切ですか?

初めての取引であれば1年程度から始めるのが無難です。お互いの相性や販売実績を見ながら、自動更新で継続するか判断できます。長期的な関係を前提とするなら3年程度で設定することもあります。

 

Q7: 在庫を持つのは誰ですか?

第6条により、商品の引渡し後は問屋が所有権を持ちますので、在庫リスクは問屋が負担します。ただし第14条により、契約終了時にはメーカーが買い取る仕組みになっています。

 

Q8: 秘密保持義務の期間はどのくらいが適当ですか?

一般的には2年から5年程度が多いです。商品の技術情報の機密性や業界の状況に応じて決めましょう。技術革新が早い業界なら短めに、逆に長期間価値が保たれる情報なら長めに設定します。

 

Q9: 販売地域を複数の問屋で重複させることはできますか?

契約書上は可能ですが、複数の問屋が同じ地域で競合すると価格競争が起きる可能性があります。地域を分けて独占販売権を与える方が、各問屋のモチベーション維持につながることが多いです。

 

Q10: 印鑑は実印が必要ですか?

実印でなくても契約は有効ですが、重要な契約であるため実印を使用して印鑑証明書を添付することをお勧めします。トラブル発生時の証拠能力が高まります。

 

 

 

 

【5】活用アドバイス

 

この契約書を効果的に活用するには、まず自社の状況に合わせた空欄の記入が重要です。特に商品名、販売地域、契約期間、報酬率、月間取引上限額などは具体的な数字を入れましょう。曖昧な表現のままだと後々トラブルの原因になります。

 

契約締結前には必ず相手方と対面で内容を確認し合うことをお勧めします。メールのやり取りだけで進めるより、顔を合わせて疑問点を解消した方が信頼関係も築けます。特に報酬率や支払条件については十分に話し合い、双方が納得できる条件を見つけましょう。

 

契約書は2通作成し、双方が署名または記名押印した上で各自1通ずつ保管します。原本をコピーしたものではなく、それぞれに署名押印がある正式な契約書を作成することで、法的な証拠能力が確保されます。

 

契約締結後は、第10条の報告書提出を確実に実行することが大切です。毎月の販売実績を正確に記録し、期限内に報告することで信頼関係が深まります。エクセルなどで販売管理表を作成しておくと、報告書作成がスムーズになるでしょう。

 

また、契約書は一度作ったら終わりではありません。市場環境の変化や取引実態に応じて、定期的に見直すことをお勧めします。特に販売価格や報酬率は市況に左右されますので、年に一度は双方で協議する機会を設けるとよいでしょう。

 

 

 

 

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