【1】書式概要
この契約書は、企業や個人事業主がチラシを使った集客活動を専門業者に依頼する際に必要となる重要な書類です。近年、人手不足や専門性の高さから、チラシのデザイン制作から印刷、配布、効果検証まで一貫して外部に委託するケースが急増しています。
特に飲食店、美容院、エステサロン、整体院、歯科医院といった地域密着型のサービス業では、新規顧客獲得のためにチラシ集客が欠かせません。また、学習塾や小売店、不動産業界でも季節ごとのキャンペーンや新サービスの告知でチラシを活用する場面が多く見られます。
この書式では、デザイン制作からポスティングや新聞折込による配布、さらには集客効果の分析まで、チラシ集客に関わる全工程を網羅的にカバーしています。委託者と受託者の責任範囲を明確に定め、再委託の条件や知的財産権の帰属、個人情報の取扱いなど、実務で起こりがちなトラブルを未然に防ぐ内容となっています。
改正民法に対応した最新の条文構成で、Word形式のため用途に応じて自由に編集・カスタマイズが可能です。専門用語を使いすぎず、中小企業の経営者でも理解しやすい表現で作成されているため、すぐに実務でご活用いただけます。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(委託業務の内容) 第3条(業務の詳細) 第4条(業務の進め方) 第5条(再委託) 第6条(委託料及び支払方法) 第7条(成果物の帰属) 第8条(秘密保持) 第9条(個人情報の取扱い) 第10条(契約期間) 第11条(解除) 第12条(損害賠償) 第13条(反社会的勢力の排除) 第14条(権利義務の譲渡禁止) 第15条(契約の変更) 第16条(協議事項) 第17条(管轄裁判所)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文は契約書全体の目的を明確にするもので、チラシ集客代行サービスに関する業務の枠組みを定めています。単なる印刷発注とは異なり、集客という成果を目指した包括的なサービス提供であることを示しています。例えば、美容院が新規オープンする際に「とにかく多くの人に知ってもらいたい」という漠然とした要望を、具体的なチラシ集客戦略として形にしていく業務の出発点となります。
第2条(委託業務の内容)
チラシ集客代行サービスの核となる5つの業務を列挙しています。デザイン制作、印刷、配布、効果検証、相談業務という一連の流れを明示することで、単発の作業ではなく継続的な集客支援であることを明確にしています。例えば、歯科医院が定期健診の案内チラシを作る場合、デザインを作って配るだけでなく、どの地域にどれくらい配布したか、実際に何人が来院したかまで追跡する包括的なサービスを想定しています。
第3条(業務の詳細)
各業務の具体的な内容を詳細に規定しています。特に注目すべきは、デザインについて「優秀さよりも目立つことを優先する」という実務的な観点を盛り込んでいる点です。これは、アート性よりも集客効果を重視するという明確な方針を示しています。整体院のチラシを作る場合、おしゃれなデザインよりも「肩こり解消」「初回半額」といった分かりやすいメッセージを前面に出すことを意味します。
第4条(業務の進め方)
業務の実施手順を定めており、事前の計画書作成と承認、定期的な進捗報告を義務付けています。これにより、委託者が業務の進行状況を把握し、必要に応じて軌道修正できる仕組みを構築しています。例えば、飲食店の新メニュー告知チラシの場合、配布開始前に対象エリアや配布枚数、配布時期を書面で確認し、配布後も来店数の変化を定期的に報告する流れになります。
第5条(再委託)
業務の一部を第三者に委託する場合の規定です。チラシ集客では、デザイナー、印刷会社、配布業者など複数の専門業者が関わることが一般的なため、この規定が重要になります。ただし、再委託には事前承諾が必要で、再委託先の行為についても受託者が責任を負うことを明確にしています。例えば、学習塾のチラシ配布を地域のポスティング業者に再委託する場合、その業者が配布ルールを守らなかった場合の責任は受託者が負うことになります。
第6条(委託料及び支払方法)
料金体系と支払条件を定めています。委託料は別途見積書で決定し、請求書受領後30日以内の支払いという標準的な条件を設定しています。チラシ集客は初期費用(デザイン・印刷)と継続費用(配布・効果検証)が発生するため、明確な料金体系の合意が不可欠です。
第7条(成果物の帰属)
作成されたチラシデザインや集客データなどの知的財産権が委託者に帰属することを明確にしています。これにより、委託者は同じデザインを他の印刷会社で使用したり、集客データを自社の今後のマーケティング戦略に活用したりできます。例えば、不動産会社が効果的なチラシデザインを作成した場合、そのデザインを基に他の物件の広告も展開できるということです。
第8条(秘密保持)
業務を通じて知り得た相手方の秘密情報の保護を規定しています。チラシ集客では、新サービスの内容や価格戦略、顧客データなど機密性の高い情報を扱うことが多いため、この規定が重要です。秘密保持義務は契約終了後も3年間継続するとしており、長期間の情報保護を確保しています。
第9条(個人情報の取扱い)
個人情報保護法に対応した規定で、業務遂行で取得した個人情報の適切な管理を義務付けています。チラシ集客では配布先の住所情報や効果検証のための顧客データを扱うことがあるため、この規定が必要です。例えば、エステサロンのチラシ配布で特定の年齢層の女性が多い地域を狙う場合、その地域データの取扱いには十分な注意が必要になります。
第10条(契約期間)
1年間の契約期間と自動更新条項を設けています。チラシ集客は季節性があり、継続的な取り組みが効果的なため、長期間の契約関係を前提としています。例えば、学習塾では春の新学期、夏休み、冬休みと年間を通じて集客ニーズがあるため、継続的な契約関係が双方にとってメリットがあります。
第11条(解除)
契約違反があった場合の解除条件を定めています。まず相当期間の催告を経て、それでも違反が是正されない場合の解除と、破産手続開始などの重大事由による即時解除の2パターンを規定しています。チラシ集客では配布時期が重要なため、迅速な対応が求められる場面で活用されます。
第12条(損害賠償)
契約違反による損害賠償責任を定めています。チラシ集客では、配布時期の遅れや配布エリアの間違いなどが直接的な売上損失につながる可能性があるため、この規定が重要です。例えば、セールの告知チラシが期間中に配布されなかった場合の機会損失などが対象になります。
第13条(反社会的勢力の排除)
昨今の企業コンプライアンス要求に対応した規定で、契約当事者が反社会的勢力でないことの確約と、違反時の即時解除を定めています。チラシ配布業界では様々な業者が関わるため、この確認が重要になります。
第14条(権利義務の譲渡禁止)
契約上の地位や権利義務を第三者に譲渡することを禁止しています。チラシ集客では委託者と受託者の信頼関係が重要なため、勝手に契約を他社に譲渡されることを防ぐ規定です。例えば、長年付き合いのある代行業者が突然別会社に業務を移管することを防げます。
第15条(契約の変更)
契約内容の変更は書面による合意が必要であることを定めています。チラシ集客では市場環境の変化に応じて戦略を調整することが多いため、変更手続きの明確化が重要です。例えば、当初予定していた配布エリアを競合店の出店に応じて変更する場合などに活用されます。
第16条(協議事項)
契約書に定めのない事項や解釈に疑義が生じた場合の解決方法を定めています。チラシ集客は地域性や業種特性が強いため、個別の事情に応じた柔軟な対応が必要になることが多く、この協議条項が重要な役割を果たします。
第17条(管轄裁判所)
紛争が生じた場合の管轄裁判所を定めています。チラシ集客は地域密着型のサービスのため、地元の裁判所を管轄とすることで、より迅速で実情に即した解決が期待できます。
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