【1】書式概要
この契約書は、タレントやモデル、俳優といった芸能関係者と、芸能事務所や制作会社との間で結ばれる単発の業務委託契約書です。テレビ番組への出演、CM撮影、イベント出演、雑誌撮影などの一回限りの仕事を依頼する際に使用されます。
芸能界では日々多くの単発案件が発生しており、その都度適切な契約を結ぶことが重要です。口約束だけでは後々トラブルの原因となりかねません。この契約書テンプレートを使用することで、業務内容や報酬、支払い条件、キャンセル時の取り決めなどを明確にし、双方が安心して取引を進めることができます。
特に芸能事務所、制作会社、広告代理店、イベント会社などにとって、この書式は日常業務で頻繁に活用される実用的なツールとなります。改正民法にも対応しており、現在の制度に沿った内容となっています。Word形式で提供されるため、案件に応じて自由に編集・カスタマイズが可能です。業務内容や金額、日時などの詳細項目は、実際の案件に合わせて簡単に変更できます。
【2】条文タイトル
第1条(目的) 第2条(委託料) 第3条(支払方法) 第4条(キャンセル料) 第5条(権利の帰属) 第6条(損害賠償) 第7条(秘密保持) 第8条(反社会的勢力の排除) 第9条(契約期間)
【3】逐条解説
第1条(目的)
この条文では具体的な業務内容と実施条件を明記します。撮影なのか出演なのか、日時や場所まで詳細に記載することで、後々の認識違いを防ぎます。例えば「バラエティ番組の収録及び出演」「2024年3月15日 10時~18時」「○○テレビ第3スタジオ」といった具合に、誰が見ても分かるように書くのがポイントです。
第2条(委託料)
報酬額を明確に定める条文です。芸能界では案件によって金額が大きく変動するため、この部分は特に重要です。「出演料50万円」「モデル料30万円」など、具体的な数字を入れることで金銭トラブルを回避できます。税込みか税抜きかも明記しておくと良いでしょう。
第3条(支払方法)
いつ、どのように報酬を支払うかを規定します。芸能業界では業務完了後の支払いが一般的ですが、支払い期限を明確にしておくことが大切です。「業務完了後30日以内」「翌月末日まで」など、具体的な期日を設定します。振込手数料の負担者も明記しておくと親切です。
第4条(キャンセル料)
急な体調不良や都合により業務が中止になった場合の取り決めです。タレント側の都合でキャンセルした場合は全額負担、依頼者側の都合の場合は報酬を支払うという双方向の規定になっています。芸能界では天候や機材トラブルなどでも撮影が中止になることがあるため、この条文は実務上とても重要です。
第5条(権利の帰属)
撮影や収録で生まれた著作権が誰に帰属するかを定めます。通常は依頼者(制作会社など)に権利が移転するため、タレント側は後から「使用を停止して欲しい」と言えなくなります。二次利用や海外展開なども含めた包括的な権利移転を意味するため、タレント側は十分理解しておく必要があります。
第6条(損害賠償)
契約違反があった場合の責任について定めています。例えば、タレントが無断で他社の類似案件を受けてしまった場合や、秘密保持義務に違反した場合などが該当します。実際の損害額を立証する必要があるため、具体的な被害が発生した場合のみ適用されます。
第7条(秘密保持)
撮影現場で知り得た情報を外部に漏らしてはいけないという規定です。新商品の情報、番組の内容、他の出演者のプライベートな話など、業務上知り得た情報全般が対象となります。SNSでの発信が当たり前の現代では、特に注意が必要な条文と言えるでしょう。
第8条(反社会的勢力の排除)
近年の契約書では必須となっている条文です。芸能界は特に反社会的勢力との関わりが問題視されやすい業界のため、双方が該当しないことを確約し、万が一該当した場合は即座に契約解除できるよう定めています。コンプライアンス重視の現代では欠かせない条文です。
第9条(契約期間)
単発案件のため、契約締結から業務完了までという短期間の設定になっています。継続的な契約とは異なり、一度の業務が終われば契約関係も終了するというシンプルな構造です。ただし、著作権譲渡などの効力は業務完了後も継続します。
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