【1】書式概要
この雇用契約書は、アミューズメント施設やゲームセンターでアルバイトスタッフを雇用する際に必要となる契約書の雛型です。改正労働基準法にしっかり対応しているため、現在の労働法制に則った適切な雇用関係を築くことができます。
近年、労働者の権利保護が強化され、雇用契約書の作成は事業主にとって必須の手続きとなっています。特にアミューズメント業界では、深夜営業や休日営業が多く、労働時間の管理や割増賃金の計算が複雑になりがちです。この契約書テンプレートを使用することで、そうした業界特有の労働条件を明確に定めることができ、労使双方のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
実際の使用場面としては、新規スタッフの採用時、既存スタッフの契約更新時、労働条件の変更時などが挙げられます。ゲームセンターやアミューズメントパーク、カラオケボックスなどの娯楽施設を運営する事業者様にとって、この契約書は安心して事業を運営するための重要なツールとなります。専門的な内容を含みながらも、実務で使いやすい形式に整えられているため、人事担当者の方でも安心してご利用いただけます。
【2】逐条解説
第1条(雇用)
この条文は雇用関係の成立を明確にする基本的な規定です。会社がアルバイトとして雇用することと、働く側がそれを受け入れることを双方で確認しています。単純に見えますが、この条文があることで後々の労働条件について争いが生じた際の基礎となります。
第2条(就業場所)
勤務場所を特定する条文で、アミューズメント施設の具体的な住所を明記します。複数店舗を運営している場合は、転勤の可能性についても記載することが実務上重要です。例えば、チェーン展開しているゲームセンターなら「必要に応じて他店舗での勤務を命じることがある」といった文言を追加することも考えられます。
第3条(業務内容)
アルバイトが行う具体的な業務を列挙している条文です。接客から清掃、売上管理まで幅広く定めており、業務の範囲を明確にしています。「その他、甲が指示する業務」という包括的な文言により、日常的に発生する細かな業務にも対応できる柔軟性を持たせています。
第4条(契約期間)
有期契約の期間を定める条文で、いつからいつまでの雇用なのかを明確にしています。アルバイトの場合、通常は有期契約となるため、期間満了時の更新手続きについても触れています。学生アルバイトなら学年末まで、主婦パートなら1年契約など、雇用形態に応じて調整できます。
第5条(勤務時間)
労働時間の上限と具体的なシフトパターンを定めています。労働基準法で定められた1日8時間、週40時間の原則を守りつつ、アミューズメント施設特有の営業時間に対応したシフト制を採用しています。残業についても法定の割増賃金支払いを明記し、適切な労働時間管理を行うことを示しています。
第6条(休憩時間)
労働時間に応じた休憩時間の付与について規定しています。6時間超8時間以内なら60分、6時間以下なら45分という具体的な基準を設けることで、現場での運用がしやすくなっています。アミューズメント施設では長時間勤務になることもあるため、適切な休憩確保は重要です。
第7条(賃金)
基本給と各種手当の支給条件を明確に定めています。深夜勤務手当25%増、休日勤務手当35%増は労働基準法の最低基準に準拠しており、アミューズメント施設の営業時間特性を考慮した内容となっています。締切日と支払日も明記し、給与計算の透明性を確保しています。
第8条(休日・休暇)
週2日の休日確保と有給休暇の付与について定めています。繁忙期の変動可能性についても触れており、ゲームセンターの集客状況に応じた柔軟な勤務体制を可能にしています。特別休暇についても就業規則に委ねることで、個別の事情に対応できる仕組みを作っています。
第9条(社会保険)
加入要件を満たした場合の社会保険加入義務を明記しています。週20時間以上の勤務や月額賃金が一定額以上の場合など、法定の加入条件を満たせば自動的に加入となることを示しており、アルバイトの社会保障を適切に確保する姿勢を表しています。
第10条(服務規律)
職場での基本的なルールを定めています。特にアミューズメント施設では多くの客が利用するため、施設内での喫煙・飲酒禁止は顧客サービスの観点からも重要です。誠実な職務遂行や会社の信用保持なども含め、プロフェッショナルな態度を求めています。
第11条(機密保持)
業務上知り得た機密情報の保護について規定しています。顧客情報や営業戦略、技術情報などの漏洩防止は、競合他社との差別化を図るアミューズメント業界では特に重要です。退職後も継続する義務として定めることで、長期的な情報保護を実現しています。
第12条(個人情報保護)
顧客の個人情報を適切に管理する義務を定めています。会員制システムを導入しているゲームセンターでは、顧客の氏名や連絡先、利用履歴などの個人情報を扱うため、この条文により適切な取り扱いを確保しています。
第13条(知的財産権)
職務上作成した著作物や発明の権利帰属を明確にしています。アミューズメント施設では、イベント企画やサービス改善のアイデアなどが生まれることがあり、これらの権利が会社に帰属することを明記しています。
第14条(退職)
退職時の手続きについて規定しています。14日前までの書面による申し出を求めることで、引き継ぎ業務や代替要員の確保に十分な時間を確保しています。アルバイトの場合、急な退職が業務に与える影響を最小限に抑える配慮が必要です。
第15条(解雇)
解雇事由を明確に列挙しています。能力不足、規律違反、心身の故障、事業縮小などの具体的な事由を示すことで、恣意的な解雇を防ぎ、適正な人事管理を行うことを明示しています。特にアミューズメント施設では接客が重要なため、業務遂行能力の評価基準も重要です。
第16条(損害賠償)
故意または重大な過失による損害について賠償責任を定めています。ゲーム機器の故意による破損や現金管理での不正など、アミューズメント施設特有のリスクに対応した条文です。ただし、軽微な過失は対象外とすることで、働く側の心理的負担を軽減しています。
第17条(反社会的勢力の排除)
反社会的勢力との関係を排除する条文で、現代の企業経営では必須の規定となっています。特に娯楽施設は反社会的勢力の標的になりやすいため、採用段階から排除の姿勢を明確にすることが重要です。違反時の即座の契約解除も明記し、毅然とした対応を示しています。
第18条(規則の遵守)
契約書以外の会社規則の遵守義務を定めています。就業規則や各種マニュアルなど、日常業務で必要な詳細なルールについて、別途作成された規則に従うことを求めています。
第19条(その他)
契約書に定めのない事項については、労働基準法等の関係法令や会社規則に従うことを明記しています。包括的な条文として、想定外の事態にも適切に対応できる仕組みを作っています。
第20条(合意管轄)
契約に関する紛争が生じた場合の管轄裁判所を定めています。会社の本店所在地の裁判所を専属的合意管轄とすることで、紛争解決の際の手続きを明確にし、会社側の負担軽減も図っています。