【1】書式概要
この「保証人変更に関する覚書」は、ローンや事業資金の借入れにおいて、既存の保証人を新しい保証人に変更する際に必要となる合意書です。銀行や消費者金融からの融資を受けている場合、通常は連帯保証人を立てることが求められます。しかし人生の変化に伴い、元々の保証人が責任を負えなくなったり、別の人物に変更したいという場面が生じます。こうした状況で、債務者と債権者、そして新旧の保証人が合意したことを明確に記録するのが本書式の役割です。
例えば、父親が連帯保証人として会社の融資を保証していたものの、父親が高齢になり万一の際の負担が懸念されるため、息子に変更したいというケースが該当します。また、事業パートナーから友人へ、あるいは親戚から経営管理会社へと保証人を変更する場合にも活用できます。このような変更を行う際に、曖昧な約束や口約束では後にトラブルが生じやすいため、書面で正式に合意内容を記録することが重要です。
本書式はWord形式で提供されており、お客様の具体的な契約内容に合わせてカスタマイズしながら編集できます。テンプレートの空白部分に実際の日付や名前を記入するだけで、すぐに活用可能な状態にできるため、わざわざ一から作成する手間が削減されます。専門知識がない方でも、既存の構成と記入例に従うだけで、適切な書面を準備できるよう設計されています。
【2】解説
第一条 契約の当事者
条文タイトル:取引に関わる四者の明確化
この条項では、書類に署名する四者を明記しています。債務者は借入金の返済義務を負う人、債権者は貸付側の金融機関や事業者です。旧連帯保証人は現在責任を負っている方で、本書式に署名することで免責を求めます。新連帯保証人は新たに責任を引き継ぐ方です。例えば会社経営者が銀行から3000万円の融資を受けていて、それまで父親が保証人だったなら、父親が旧連帯保証人、新たに息子が保証人になる場合、息子が新連帯保証人となります。各者の住所と氏名を正確に記載することで、後の紛争を防ぎます。
第二条 保証人の変更内容
条文タイトル:変更の効果と旧保証人の免責
ここが最も重要な条項です。元となった金銭消費貸借契約(金を借りるための基本契約)の日付を明記した上で、旧保証人の責任がいつから解除されるのかを定めます。同時に、新保証人がその日から全ての債務に関して連帯して責任を負うことを宣言します。「連帯して責任を負う」とは、債権者が新保証人に直接請求でき、新保証人は本来の債務者と連帯して返済義務を負うことを意味します。例えば債務者が返済不能に陥った場合、金融機関は新保証人に全額請求できるということです。この変更日の設定は、旧保証人と新保証人の間で責任が重複しないよう慎重に決める必要があります。
第三条 その他
条文タイトル:効力発生の条件
本書式に署名しただけでは足りず、債権者(通常は金融機関)がこの変更に同意することで初めて有効になると定めています。金融機関は新保証人の信用力や返済能力を審査してから承認するため、その過程を経ることが効力発生の要件となります。これにより、信用力の低い者が無断で保証人になるというトラブルを防止できます。
署名欄
条文タイトル:当事者の確認と合意の証明
旧保証人と新保証人の双方が住所、氏名を記載した上で署名(印鑑での捺印)することで、変更内容に同意したことを表明します。署名日も重要で、この日以降が新保証人の責任開始日となります。
【3】活用アドバイス
本書式を効率的に活用するには、まず元になった金銭消費貸借契約の内容を手元に用意しておくことをお勧めします。契約日や借入金額を正確に記載することで、後に紛争が生じた場合でも根拠が明確になります。次に、新保証人になる人物と事前に十分な話し合いを済ませておくべきです。保証人としての責任がどの程度のものかを理解した上で同意してもらうことが、後々のトラブル防止につながります。
本書式に記入した後は、必ず対象となる金融機関に提出し、承認を得るまでの間、変更は効力を生じないという点を認識しておくと良いでしょう。金融機関での承認手続きに時間がかかることがあるため、早めに提出することをお勧めします。また、新保証人が実印を用いて捺印する際には、実印登録済みであることを確認し、場合によっては印鑑証明書を併せて提出することで、より確実な変更手続きになります。
【4】この文書を利用するメリット
本書式を利用すれば、保証人変更という複雑な手続きをシンプルに進められます。専門知識がない方でも、既に構成が整った枠組みに記入していくだけで、形式要件を満たした書面が完成するため、弁護士や行政書士への依頼費用を削減できます。
また、書面を残すことで、後日「そんな約束をした覚えがない」というトラブルを防止できます。銀行がこの書面に基づいて新保証人に対して請求する際にも、何月何日にどの人物が新保証人になったかが明記されているため、話が複雑化しません。さらにWord形式での編集が可能なため、複数の保証人変更が必要な場合でも、テンプレートを流用して短時間で複数の書面を準備できます。
新保証人にとっても、「いつから、どの範囲の債務について、どの程度の責任を負うのか」が明確に記載された書面があれば、責任の範囲を後で議論される可能性を減らせます。つまり、全ての当事者にとって後々の紛争を防ぎ、透明性のある取引を実現するメリットがあるのです。
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