【1】書式概要
この書式集は、近年問題となっている「静かな退職」現象に対応するための実践的なツ
ール集です。静かな退職とは、従業員が表面的には職場に留まりながらも、最低限の業
務しか行わず、積極性や創造性を失ってしまう状態を指します。
現代の職場では、従業員が不満を抱えていても直接的に退職意向を示さず、代わりに業
務への取り組み姿勢が消極的になるケースが増えています。管理職の方々にとって、この
ような兆候を早期に発見し、適切な対応を取ることは非常に重要な課題となっていま
す。
本書式集には、従業員エンゲージメント調査票から始まり、1on1ミーティング記録シー
ト、職務記述書テンプレート、メンタリング計画書、静かな退職兆候チェックリスト、
そして改善アクションプランまで、体系的な対策ツールが含まれています。
特に活用いただきたい場面として、定期的な人事面談の際、新入社員や中途採用者のフ
ォローアップ時、チーム内でのコミュニケーション課題が発生した際、業績評価の補完
資料として、また管理職研修での実践演習材料としてもご利用いただけます。
すべての書式はWord形式で提供されており、貴社の状況に応じて項目の追加・削除・修
正が自由に行えます。印刷してそのまま使用することも可能ですし、電子データとして
管理することもできる汎用性の高い設計となっています。
人事担当者、管理職、経営者の方々が日常業務の中で実際に使える実用的な内容となっ
ており、従業員満足度の向上と組織の活性化に直結する効果が期待できます。
【2】書式タイトル
第1書式〔従業員エンゲージメント調査票〕
第2書式〔1on1ミーティング記録シート〕
第3書式〔職務記述書(Job Description)テンプレート〕
第4書式〔メンタリング計画書〕
第5書式〔静かな退職兆候チェックリスト〕
第6書式〔改善アクションプラン〕
【3】解説
第1書式解説〔従業員エンゲージメント調査票〕
この調査票は、従業員の職場に対する満足度や関与度を数値化して把握するためのツー
ルです。5段階評価制を採用することで、感情的な判断を排除し、客観的なデータとして
活用できます。現在の業務内容から人事評価の公正性まで、幅広い視点から職場環境を
評価できる設計となっています。
例えば、ある営業部員が「業務量の適切さ」で2点をつけた場合、具体的なコメント欄で
その理由を詳しく記載してもらうことで、単純に忙しいのか、それとも業務の配分に偏
りがあるのかを判断できます。自由記述欄では、数値では表現しきれない従業員の本音
を聞き出すことができ、改善策立案の重要な材料となります。
第2書式解説〔1on1ミーティング記録シート〕
定期的な上司と部下との面談を体系的に記録するためのフォーマットです。ただ話をす
るだけでなく、具体的なアクションプランまで落とし込むことで、面談の効果を最大化
します。業務状況の把握からキャリア相談、ワークライフバランスの調整まで、包括的
な内容をカバーしています。
実際の使用例として、月1回のペースで実施し、前回のアクションプランの進捗確認から
始めることで、継続性のある支援が可能になります。「困っていることや課題」の項目で
は、部下が抱える問題を早期発見でき、静かな退職の兆候を未然に防ぐ効果が期待でき
ます。
第3書式解説〔職務記述書テンプレート〕
従業員の役割と責任を明確化するための基本的な文書です。曖昧な職務内容が原因で起
こる不満や混乱を防ぎ、従業員が自分の仕事に誇りを持てる環境を作り出します。必須
業務、重要業務、その他業務の割合を具体的に示すことで、優先順位の明確化も図れま
す。
例えば、マーケティング担当者の場合、「キャンペーン企画立案(必須業務60%)」「市場
調査・分析(重要業務25%)」「社内会議参加(その他業務15%)」といった具合に、時間
配分まで明記することで、業務過多の防止にもつながります。成果指標も数値化するこ
とで、評価の透明性が向上します。
第4書式解説〔メンタリング計画書〕
新入社員や転職者の早期戦力化と定着率向上を目的とした計画書です。メンターとメン
ティーの関係を構造化し、計画的な成長支援を行います。単発的な指導ではなく、継続
的なフォローアップシステムとして機能する設計となっています。
具体的な活用場面として、入社3ヶ月の新人エンジニアに対し、技術スキル向上を主軸と
しながら、コミュニケーション能力やチームワークの向上も並行して支援するケースが
考えられます。月次振り返りを通じて、成長の実感を与えることで、モチベーション維
持にも効果を発揮します。
第5書式解説〔静かな退職兆候チェックリスト〕
従業員の行動変化を客観的に観察し、早期警告システムとして機能するツールです。15
項目のチェックポイントを通じて、静かな退職の兆候を数値化して把握できます。管理
職が主観的な印象ではなく、具体的な行動観察に基づいて判断できる点が特徴です。
実際の使用例として、以前は積極的に発言していた中堅社員が、最近会議で発言しなく
なり、残業も避けるようになった場合、複数の項目にチェックが入ることで、客観的な
判断材料となります。8項目以上該当する場合は要注意レベルとして、早急な対応策の検
討が必要です。
第6書式解説〔改善アクションプラン〕
発見された問題に対する具体的な解決策を立案し、実行に移すためのロードマップで
す。問題の特定から対策の優先順位付け、実施スケジュール、効果測定まで、PDCAサイ
クルを完結させる構成となっています。
例えば、チーム内コミュニケーション不足が問題として特定された場合、短期対策とし
て週1回のチームミーティング導入、中期対策として1on1面談の定期化、長期対策として
チームビルディング研修の実施といった段階的なアプローチが可能です。定期レビュー
を組み込むことで、継続的改善を実現できます。