【1】書式概要
この夫婦財産契約書は、結婚前または結婚後に夫婦がそれぞれの財産を明確に区分し、将来的なトラブルを未然に防ぐための重要な書式です。
近年、夫婦の働き方や価値観の多様化に伴い、財産管理についても個別性を重視するカップルが増えています。特に再婚の場合や、それぞれが事業を営んでいる場合、相続財産を持っている場合などにおいて、この契約書の重要性は格段に高まっています。
2020年4月に施行された改正民法にも完全対応しており、最新の制度に基づいて作成されているため安心してご利用いただけます。不動産や預金、株式などの具体的な財産から、将来取得する財産の取り扱いまで、幅広くカバーしています。
この書式は特に、婚前に財産を持っている方、個人事業主や経営者の方、専門職の方、再婚を予定されている方にとって非常に有効です。また、共働き夫婦が経済的自立を保ちながら結婚生活を送りたい場合にも適しています。
書式自体はシンプルで分かりやすく構成されており、一般の方でも記入しやすいよう配慮されています。ただし、重要な契約である性質上、作成時には専門家への相談も併せてお勧めいたします。
【2】条文タイトル
第1条(甲の固有財産)
第2条(乙の固有財産)
第3条(共有財産)
第4条(婚姻中に得た財産の帰属)
第5条(協議事項)
第6条(合意管轄)
【3】逐条解説
第1条(甲の固有財産)について
この条項では、夫婦の一方(甲)が単独で所有する財産を具体的に列挙しています。不動産については所在地や地積まで詳細に記載し、預金についても銀行名や口座番号、金額を明記することで、後日の紛争を防止しています。例えば、結婚前から所有していた実家の土地建物や、独身時代に貯めた定期預金などがこれに該当します。
第2条(乙の固有財産)について
甲と同様に、もう一方の配偶者(乙)の固有財産を明確化する条項です。株式投資をしている方の場合、会社名と株数を具体的に記載することで、市場価格の変動があっても財産の特定に問題が生じないよう工夫されています。
第3条(共有財産)について
第1条・第2条で個別に定めた財産以外は、すべて夫婦の共有財産として取り扱うという包括的な規定です。これにより、契約書に記載漏れがあった場合でも、原則として共有財産として扱われることになり、契約の安定性が保たれます。
第4条(婚姻中に得た財産の帰属)について
結婚後に新たに取得する財産の帰属を定めた重要な条項です。改正民法第760条への言及により、婚姻費用の分担については現行制度に従うことを明確にしています。例えば、結婚後に購入した自動車や、昇進に伴う退職金の増額分などの取り扱いが、この条項によって決まります。
第5条(協議事項)について
契約書に定めのない事項が発生した場合の解決方法を示した条項です。まずは当事者間での話し合いによる解決を原則とすることで、円満な解決を図る姿勢を示しています。
第6条(合意管轄)について
万が一紛争が生じた場合の管轄裁判所を事前に定めておく条項です。これにより、どちらの居住地で争いになるかという二次的な問題を回避し、迅速な解決を図ることができます。