【1】書式概要
この契約書は企業や個人が第三者に対してバックグラウンド調査を依頼する際に使用する専門的な書式です。近年の企業活動において、新規採用時の身元確認や取引先の信用調査、投資判断のための企業調査など、様々な場面で第三者の経歴や信用状況を調査する必要性が高まっています。
本書式は改正民法に対応しており、調査を依頼する側の権利を重視した内容となっています。探偵業者や興信所、調査会社との契約において、依頼者の利益を最大限に保護しつつ、適切な調査実施を確保できるよう設計されています。
人事部門における採用調査、法務部門でのコンプライアンスチェック、投資部門での投資先調査、不動産取引における相手方調査など、多岐にわたる調査業務に対応可能です。個人情報保護や反社会的勢力排除といった現代的な課題にも対応し、調査結果の取扱いから契約終了後の責任まで詳細に規定しています。
Word形式で提供されるため、具体的な調査内容や条件に応じて柔軟に編集・カスタマイズが可能です。調査期間、委託料、報告書の提出期限など、個別の事情に合わせて調整できる構造となっています。
【2】条文タイトル
- 第1条(調査業務の内容)
- 第2条(委託料)
- 第3条(守秘義務)
- 第4条(個人情報の取扱い)
- 第5条(調査の実施)
- 第6条(報告書の提出)
- 第7条(責任の限界)
- 第8条(契約の解除)
- 第9条(反社会的勢力の排除)
- 第10条(準拠法・管轄)
- 第11条(その他)
【3】逐条解説
第1条(調査業務の内容)
この条文は調査の具体的な内容を明確に定めています。調査対象者の特定、調査項目の範囲、調査期間、調査方法について詳細に規定することで、後々のトラブルを防ぐ効果があります。例えば、中途採用の候補者について学歴詐称の有無を調査する場合、大学への問合せ範囲や卒業証明書の確認方法まで具体的に定めておくことが重要です。
第2条(委託料)
調査費用の支払い条件を定めた条文です。固定料金制にするか成功報酬制にするかは調査の性質によって判断が分かれます。企業の信用調査では固定料金が一般的ですが、所在不明者の調査では成功報酬制が選択されることもあります。実費の取扱いについても事前承認制とすることで、予算管理が可能になります。
第3条(守秘義務)
調査業務で最も重要な条文の一つです。調査で得られた情報は極めて機密性が高く、漏洩すれば重大な問題となります。契約終了後も継続する守秘義務により、調査会社の従業員が転職した後も情報保護が継続されます。違反時の損害賠償額を予め定めておくことも実務上有効です。
第4条(個人情報の取扱い)
個人情報保護法の遵守を明確に定めた条文です。調査対象者の個人情報は適正に取得・利用・保管される必要があり、目的外使用は厳格に禁止されています。調査完了後の情報廃棄についても具体的な期限と方法を定めることで、情報漏洩リスクを最小化できます。
第5条(調査の実施)
調査手法の適法性を確保するための条文です。探偵業法や各種業界規制に違反する調査は法的問題を引き起こすため、適法な手段による調査実施が前提となります。例えば、ストーカー行為に該当するような過度な尾行や、不法侵入による調査は明確に禁止されています。
第6条(報告書の提出)
調査結果の報告方法と時期を定めた条文です。報告書の品質は調査の成否を左右するため、記載内容の詳細さや客観性が重要です。著作権を委託者に帰属させることで、報告書の二次利用や他社への提供を防ぐことができます。
第7条(責任の限界)
調査会社の損害賠償責任を制限する条文です。調査結果の利用による損害については免責とすることで、調査会社は調査の実施に集中できます。ただし、故意や重過失による損害は免責されないため、適切な調査実施のインセンティブが保たれています。
第8条(契約の解除)
契約終了の条件を定めた条文です。委託者側に広範な解除権を認めることで、調査の進行状況に応じた柔軟な対応が可能になります。例えば、採用予定者が自主的に辞退した場合など、調査継続の必要性がなくなった時点で契約解除できます。
第9条(反社会的勢力の排除)
現代のコンプライアンス要求に対応した条文です。調査会社自体が反社会的勢力と関係がある場合、調査結果の信頼性や情報管理に重大な懸念が生じます。金融機関や上場企業では特に重要視される条項です。
第10条(準拠法・管轄)
紛争解決の方法を定めた条文です。管轄裁判所を明確に定めることで、万一の紛争時の対応が迅速化されます。委託者の所在地を管轄とすることで、委託者側の負担軽減が図られています。
第11条(その他)
契約の変更手続きや可分性を定めた条文です。調査内容の変更は頻繁に発生するため、書面による変更合意を必須とすることで、後々の認識齟齬を防ぐことができます。
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