【1】書式概要
この文書は、会社から退職時に「競業禁止の誓約書にサインしているので、同業他社への転職は認めない」と言われた際に使用する通知書の雛型です。多くの労働者が退職時に直面するこの問題に対して、適切な対応を取るための実用的なテンプレートとなっています。
入社時に署名を求められる競業禁止の誓約書は、実際のところ多くのケースで無効とされる可能性があります。特に一般社員として勤務していた方や、会社の重要な機密情報に触れる機会がなかった方の場合、その誓約書自体に効力がない場合が多いのです。しかし、会社側からの圧力や威圧的な態度に困惑し、どのように対応すべきか分からずに悩まれる方が後を絶ちません。
この通知書は、そうした状況において自分の立場を明確にし、会社に対して適切な意思表示を行うためのものです。退職後の転職活動を円滑に進めるためにも、このような書面での意思表示は非常に重要になります。実際に転職先の企業から「前職での競業禁止契約について説明してほしい」と求められた際にも、この通知書があることで自分の立場を証明できます。
Word形式で提供されているため、ご自身の状況に合わせて内容を編集・修正することが可能です。会社名、氏名、日付、具体的な業務内容など、個別の事情に応じてカスタマイズしてご利用いただけます。労働者の職業選択の自由を守るための実践的なツールとして、多くの方にご活用いただいています。
【2】逐条解説
宛先・差出人欄について
通知書の冒頭部分では、退職する会社を宛先とし、自身の住所・氏名を明記します。この部分は通知の正当性を示す重要な要素となります。実際の使用時には、会社の正式名称と代表者名を正確に記載することが重要です。
退職意思表示の経緯説明
文書の前段では、退職願の提出と上司からの競業禁止に関する告知について述べています。ここでは事実関係を時系列で整理し、どのような経緯で問題が発生したかを明確にしています。例えば営業部の田中部長から「うちの顧客情報を知っているから、同業他社には3年間転職できない」と言われたような具体的な状況を想定しています。
誓約書の存在とその背景
中段部分では、入社時に署名した誓約書の存在を認めつつも、その署名に至った経緯について説明しています。多くの場合、「この誓約書にサインしないと採用できません」といった半ば強制的な状況での署名であることを指摘しています。新卒採用の面接で突然こうした誓約書を出されて、断れない雰囲気の中でサインしてしまったケースなどが典型例です。
業務内容と機密性の否定
文書の核心部分では、自身が担当していた業務の性質について説明し、会社の機密情報や営業秘密に接する立場になかったことを主張しています。例えば一般事務や製造ラインでの作業など、特殊なノウハウや顧客情報に触れない業務に従事していた場合を想定しています。これは競業禁止の合理性を否定する重要な論拠となります。
無効確認の主張
文書の結論部分では、以上の理由から誓約書自体が無効であり、競業避止義務は存在しないことを明確に通知しています。この部分は通知の最も重要な部分であり、会社に対する明確な意思表示となります。
留保条項
最後に、この通知書が誓約書の存在自体を認めるものではないという留保を付けています。これは後々の法的紛争において、誓約書の存在を認めたとして不利に解釈されることを防ぐための重要な条項です。実際の裁判では、こうした細かな表現の違いが結果を左右することもあります。