実際に、同様の手口で複数のショップから商品を騙し取っていた人物が詐欺罪で逮捕された事例もあり、決して空脅しではないことが分かります。
第四 請求内容
具体的に何をして欲しいのかを明確に示す部分です。相手に二つの選択肢を提示します。
第一選択肢 商品の返還
商品をそのまま返してくれれば、それで解決するという道を示します。ただし、「未使用・未開封」という条件をつけることで、使い古した後に返すようなことは認めないという姿勢を明確にしています。返送料も相手負担とし、商品が破損していたら受け取らないことも宣言します。
第二選択肢 販売代金及び損害賠償金の支払い
商品を返さないなら、代金プラス損害賠償を払えという選択肢です。振込先口座を明記し、振込後に証拠となる明細書を送るよう求めます。遅延損害金も加算されることを示し、時間が経つほど金額が増えることを伝えています。
この二択を示すことで、相手に「逃げ道はない」という印象を与えます。
第五 期限までに対応がない場合の措置
7日間という明確な期限を設け、それまでに対応がなければ容赦なく次の段階に進むことを宣言します。
一 民事上の措置
支払督促(裁判所から相手に支払いを命じる手続き)、訴訟提起、仮差押え(相手の財産を凍結する手続き)などの具体的な手段を列挙します。訴訟になれば弁護士費用なども上乗せされ、請求額が膨れ上がることを強調します。
さらに、判決が出れば給与や預貯金を差し押さえることができると伝えます。会社員の場合、勤務先に差押えの通知が届くため、職場に問題が知られてしまうという社会的ダメージも示唆しています。
二 刑事上の措置
警察に刑事告訴し、被害届を出すことを明言します。捜査が始まれば取調べを受け、場合によっては逮捕される可能性があること、有罪になれば前科がつくことを説明します。前科がつけば就職や社会生活に大きな支障が出ることは誰でも理解できるため、強力な抑止力になります。
三 その他の措置
信用情報機関への報告や、決済会社への通報についても触れます。信用情報に傷がつけば、今後クレジットカードを作れなくなったり、住宅ローンが組めなくなったりする可能性があります。また、カード会社からブラックリスト入りすれば、他の加盟店でもカードが使えなくなるかもしれません。
こうした様々な角度からの圧力を示すことで、「無視し続けることの恐ろしさ」を相手に理解させます。
第六 貴殿に与える影響
ここまでの内容を総括し、相手が無視した場合に受ける具体的な不利益をまとめて示します。経済的損失(多額の支払い義務、財産の差押え)、社会的損失(前科、信用情報の悪化、職場での信用失墜、家族への影響)、精神的負担(警察や裁判所への対応)など、あらゆる面で深刻な影響が出ることを伝えます。
これにより、「今のうちに誠実に対応した方が絶対に良い」という結論に相手を導きます。
第七 結語
最後に、あなたは本来争いたいわけではなく、誠実な対応さえしてくれれば円満に解決できるという姿勢を示します。ただし、期限内に対応がなければ一切容赦しないという最終警告で締めくくります。
この「アメとムチ」の使い分けが、相手に「今なら間に合う」という心理を生み、行動を促す効果があります。
【3】活用アドバイス
この文書を最大限に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず、内容証明郵便として送る前に、必ず取引に関する証拠をすべて揃えてください。注文確認メール、発送通知メール、配送業者の追跡記録、チャージバック通知書など、すべてコピーを取って保管しておきます。これらは添付書類として一緒に送ることもできますし、後々訴訟になった際の重要な証拠にもなります。
文書中の○で囲まれた部分(日付、住所、氏名、金額など)は、正確に記入してください。特に相手の住所は配送先住所と一致しているか確認が必要です。金額の計算も間違いのないよう、電卓で何度も確認しましょう。
内容証明郵便は必ず「配達証明」も一緒に申し込んでください。これにより、いつ相手に届いたかが証明され、「受け取っていない」という言い逃れを防げます。
文書は3通作成します(相手用、郵便局保管用、自分の控え用)。郵便局の窓口で「内容証明郵便として送りたい」と伝えれば、職員が文字数や書式をチェックしてくれます。不備があれば訂正してから送付できます。
期限の7日間は適宜調整可能ですが、あまり長すぎると緊張感が薄れ、短すぎると相手が対応する時間がなくなります。1週間から10日程度が適切でしょう。
送付後は、相手から何らかの連絡があるかもしれません。電話がかかってくる可能性もありますが、文書に書いたとおり、必ず書面(メールまたは郵送)で対応を求めてください。口頭でのやり取りは後で「言った言わない」のトラブルになりやすいためです。
もし期限内に対応がなかった場合、実際に次の段階(支払督促や訴訟)に進む覚悟があるか、事前に検討しておきましょう。空脅しだとバレると効果が薄れるため、本気で回収する意思がある案件に使うことが重要です。
また、同じような被害が複数件ある場合は、まとめて対応することも検討してください。複数の案件をまとめて弁護士に相談すれば、費用対効果が良くなることもあります。
【4】この文書を利用するメリット
この文書を利用する最大のメリットは、専門家に依頼することなく、自分で強力な催告書を作成できる点です。弁護士や行政書士に書類作成を依頼すると、通常3万円から5万円程度の費用がかかります。しかしこの雛型を使えば、その費用を大幅に節約できます。
次に、内容証明郵便という形式で送ることで、相手に対して「本気で回収する気だ」という強いメッセージを送れます。普通のメールや手紙とは違い、郵便局が公的に内容を証明してくれる形式のため、相手は無視できない重みを感じます。実際、内容証明を受け取った途端に態度を変えて支払いに応じるケースも少なくありません。
また、後々訴訟になった場合、「適切な手続きを踏んで催告した」という証拠になります。裁判では「事前に相手に支払いを求めたか」「相手に対応する機会を与えたか」といった点が重視されるため、この通知書を送っておくことで有利に進められます。
さらに、この文書は民事責任だけでなく刑事責任にも言及しているため、相手に対する心理的圧力が非常に強くなります。「訴えられる」だけでなく「逮捕されるかもしれない」という恐怖は、支払いを促す大きな動機付けになります。
時間の節約という面でも有効です。何度もメールや電話で催促するのは時間と労力の無駄です。この文書を一度送ることで、相手に最後通告を突きつけ、短期間で決着をつけることができます。
また、Word形式で提供されるため、一度購入すれば何度でも使い回せます。残念ながらチャージバック被害は繰り返し発生する可能性があるため、雛型を持っておけば今後の被害にも迅速に対応できます。
心理的な面でも、泣き寝入りせずに正当な権利を主張できるという満足感が得られます。悪質な購入者に対して毅然とした態度で臨むことは、ビジネスを守る上で非常に重要です。