📝 これで安心！契約書・示談書・社内規程作成でよくある法律用語の間違いFAQ

法的文書を作成する際、法律用語の使い方を間違えてしまうと、思わぬトラブルの原因になることも...😰 今回は初心者が陥りがちな法律用語の間違いを、Q&A形式でわかりやすく解説します！

法律の世界では、普段使っている言葉でも特別な意味を持つことが多く、「そんなつもりじゃなかった」では済まされない場合があります。でも大丈夫！この記事を読めば、よくある間違いを事前に防げるはずです。💪

🤝 契約書でよくある法律用語の間違い

Q1: 「責任を負う」と「責任を取る」って同じ意味？

A: 実は微妙に違います！「責任を負う」は法的な義務を背負うという意味で、「責任を取る」は道義的な責任を果たすという意味合いが強いです。契約書では「責任を負う」を使いましょう。⚖️

契約書では具体的な法的効果を明確にする必要があります。例えば「甲は乙に対し損害賠償責任を負う」と書けば、実際に金銭的な補償義務が発生することが明確になります。一方、「責任を取る」だと、具体的に何をすべきかが曖昧になってしまいます。

良い例： 「甲は本契約違反により乙に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う」 悪い例： 「甲は本契約違反があった場合、責任を取る」

Q2: 「損害賠償」と「賠償金」の使い分けは？

A: 「損害賠償」は損害を補償する行為そのものを指し、「賠償金」はその際に支払われる金銭を指します。「損害賠償責任を負う」「賠償金を支払う」が正しい使い方です。💰

この違いを理解することで、契約書がより正確になります。「損害賠償」は概念的な話で、「賠償金」は具体的な金銭の話です。契約書では、まず損害賠償責任の有無を定め、その後で具体的な賠償金の算定方法や支払い方法を規定するのが一般的です。

実務での使い分け例：

• 「損害賠償責任の発生」→責任が生じるかどうかの話
• 「賠償金の算定」→具体的な金額の計算方法
• 「賠償金の支払い」→実際の支払い手続き

Q3: 「解除」と「解約」って何が違うの？

A: 大きな違いがあります！

• 「解除」：契約違反などがあった場合に、契約を遡って無効にする
• 「解約」：将来に向かって契約を終了させる 使い分けを間違えると、効力が全然違ってしまいます！😅

この違いは契約書作成において極めて重要です。「解除」の場合、契約が最初からなかったことになるため、お互いが受け取ったものを返還する必要があります（原状回復義務）。一方、「解約」の場合は、これまでの取引は有効で、今後の部分だけが終了します。

解除の場合の例：

• 売買契約を解除→商品を返却、代金も返金
• 賃貸契約を解除→敷金返還、既払い家賃の精算

解約の場合の例：

• 定期購読の解約→これまでの分は有効、来月分から停止
• 継続契約の解約→次回更新時に終了

Q4: 「善意」「悪意」の法律用語での意味って？

A: 日常用語とは全く違います！

• 法律用語の「善意」：知らないこと
• 法律用語の「悪意」：知っていること 「善意の第三者」は「事情を知らない第三者」という意味です。優しさとは関係ありません！🤔

この誤解は本当に多いです。法律の世界では、道徳的な良し悪しではなく、単純に「知っているか知らないか」を表します。例えば、不動産取引で「善意の第三者」とは、その不動産に何らかの問題があることを知らずに購入した人のことを指します。

実際の契約書での使用例：

• 「善意の第三者に対抗できない」→事情を知らない第三者には権利を主張できない
• 「悪意の占有者」→事情を知っている占有者（決して悪人という意味ではない）

Q5: 「瑕疵」と「欠陥」の違いは？

A: 法律用語として「瑕疵」は契約で定められた品質・性能を満たさない状態を指し、「欠陥」は一般的に不具合や故障を指します。契約書では「瑕疵」を使うのが正式です。🔍

「瑕疵」は法的な概念で、売買契約などで「瑕疵担保責任」として使われます。2020年の民法改正で「契約不適合責任」に変わりましたが、まだ「瑕疵」という用語も使われています。

例：

• 「隠れた瑕疵について売主が責任を負う」
• 「瑕疵の修補を請求できる」

Q6: 「催告」と「通知」の違いは？

A: 「催告」は相手に何かの行為を促す法的な意味を持ち、「通知」は単に事実を知らせることです。契約違反の場合は「催告」を使います。📢

催告には法的な効果があります。例えば、契約解除をする前に「催告」をして、相手に履行の機会を与える必要がある場合があります。単なる「通知」では、この法的効果は期待できません。

催告の例：

• 「○月○日までに代金を支払うよう催告する」
• 「本書面到達後7日以内に履行するよう催告する」

📋 示談書でよくある間違い

Q7: 「示談」と「和解」の違いは？

A:

• 「示談」：裁判外での当事者間の話し合いによる解決
• 「和解」：裁判所が関与する手続きでの解決 示談書を作る時は「示談」を使いましょう。📝

この違いを理解することで、正しい文書が作成できます。「示談」は私的な合意で、「和解」は裁判所の関与がある公的な手続きです。示談書には「裁判上の和解」と同じ効力を持たせる条項を入れることもできます。

示談書の特徴：

• 当事者間の合意で成立
• 迅速で柔軟な解決が可能
• 費用が比較的安い
• 秘密性を保てる

Q8: 「免責」と「免除」って同じ？

A: 似ているようで違います！

• 「免責」：法的責任を免れること
• 「免除」：義務や負担を免れること 「損害賠償責任を免責する」が正しい表現です。🛡️

示談書では、将来の責任について「免責」条項を設けることが多いです。「免除」は債務の免除など、既に発生している義務を免れる場合に使います。

使い分けの例：

• 「甲は乙に対する損害賠償責任を免責される」
• 「甲の乙に対する債務を免除する」

Q9: 「清算」と「精算」の使い分けは？

A:

• 「清算」：会社の解散や債務の整理など、きれいに片付けること
• 「精算」：細かく計算すること 「損害について清算する」が適切です。🧮

示談書では、お互いの債権債務を「清算」することが目的です。「精算」は単に計算することなので、示談の文脈では「清算」が適切です。

示談書での使用例：

• 「甲乙間の一切の債権債務を清算する」
• 「本件に関する損害を清算する」

Q10: 「宥恕」って何？どう使うの？

A: 「宥恕（ゆうじょ）」は許すという意味の法律用語です。示談書で「宥恕する」と書くと、相手の責任を許すという意味になります。📿

この用語は示談書でよく使われますが、日常語ではほとんど使わないので、意味を理解して使うことが重要です。

使用例：

• 「甲は乙の本件に関する一切の責任を宥恕する」
• 「相互に責任を宥恕する」

🏢 社内規程でよくある間違い

Q11: 「懲戒」と「懲罰」の違いは？

A:

• 「懲戒」：職場での秩序維持のための処分
• 「懲罰」：刑罰的な意味合いが強い 社内規程では「懲戒処分」を使いましょう。⚡

労働法の文脈では「懲戒」が正しい用語です。「懲戒処分」は労働者の職場秩序違反に対する制裁措置で、法的根拠と手続きが必要です。

懲戒処分の種類：

• 戒告・譴責：注意・警告
• 減給：給料の減額
• 出勤停止：一定期間の出勤禁止
• 降格：職位の引き下げ
• 懲戒解雇：即座の解雇

Q12: 「就業規則」と「社内規程」って何が違うの？

A:

• 「就業規則」：労働基準法で定められた、労働条件などを記載した規則
• 「社内規程」：会社内部のルールを定めた規則全般 就業規則は社内規程の一種です。📚

就業規則は労働基準法で作成が義務付けられており（常時10人以上の労働者を使用する場合）、記載事項も法定されています。社内規程はより広い概念で、セキュリティ規程や経理規程なども含まれます。

就業規則の必要記載事項：

• 始業・終業時刻、休憩時間
• 賃金の決定・支払い方法
• 退職に関する事項
• 懲戒の種類・程度

Q13: 「準用」と「適用」の使い分けは？

A:

• 「適用」：そのまま当てはめること
• 「準用」：趣旨を活かして当てはめること 「この規定を準用する」は「この規定に準じて適用する」という意味です。🔄

社内規程では、似たような状況に既存の規定を活用したい場合に「準用」を使います。完全に同じ扱いではなく、状況に応じて調整して適用するという意味です。

使用例：

• 「契約社員には正社員の規定を準用する」
• 「この処分規定はパートタイム労働者にも準用する」

Q14: 「遵守」と「順守」どっちが正しい？

A: どちらも正しい日本語ですが、法律文書では「遵守」を使うのが一般的です。「遵」は「従う」、「順」は「順序」の意味合いが強いためです。📖

社内規程での使用例：

• 「従業員は本規程を遵守しなければならない」
• 「法令遵守体制の構築」

Q15: 「禁止」と「禁ずる」の使い分けは？

A: 「禁止」は名詞・形容詞として、「禁ずる」は動詞として使います。規程では「〜を禁止する」または「〜を禁ずる」のどちらでも使えますが、統一性が重要です。🚫

使用例：

• 「私用での設備使用を禁止する」
• 「業務上知り得た秘密の漏洩を禁ずる」

💰 金銭関係でよくある間違い

Q16: 「支払う」と「支払わなければならない」の違いは？

A:

• 「支払う」：確定的な義務
• 「支払わなければならない」：条件付きの義務 法的文書では義務の性質を明確にすることが重要です。💳

例：

• 「甲は乙に対し金100万円を支払う」（確定的）
• 「甲は条件が成就した場合、乙に対し金100万円を支払わなければならない」（条件付き）

Q17: 「遅延損害金」と「延滞金」の違いは？

A:

• 「遅延損害金」：民事上の損害賠償
• 「延滞金」：主に税金などの公的な分野で使用 契約書では「遅延損害金」を使いましょう。📈

契約書での記載例：

• 「支払いが遅延した場合、年14.6%の遅延損害金を支払う」

Q18: 「相殺」と「差し引き」の違いは？

A: 「相殺」は法的な債権債務の消滅手続きで、「差し引き」は単純な計算です。法的効果が全く異なります。⚖️

相殺の例：

• 「甲の乙に対する債権と乙の甲に対する債権を相殺する」

📅 時間・期間関係でよくある間違い

Q19: 「期間」と「期限」の違いは？

A:

• 「期間」：継続する時間の長さ
• 「期限」：特定の時点 契約書では使い分けが重要です。⏰

使用例：

• 「契約期間は1年間とする」
• 「支払期限は○月○日とする」

Q20: 「直ちに」と「速やかに」の違いは？

A:

• 「直ちに」：即座に、遅滞なく
• 「速やかに」：合理的な期間内に 「直ちに」の方が緊急性が高いです。⚡

使い分けの例：

• 「火災発生時は直ちに避難する」
• 「契約締結後速やかに履行を開始する」

🔒 権利・義務関係でよくある間違い

Q21: 「権利」と「権限」の違いは？

A:

• 「権利」：法的に保護された利益
• 「権限」：職務上の権力や資格 社内規程では「権限」を使うことが多いです。👑

使用例：

• 「部長は予算執行の権限を有する」
• 「労働者は有給休暇を取得する権利がある」

Q22: 「義務」と「責務」の違いは？

A:

• 「義務」：法的な拘束力のある責任
• 「責務」：道徳的・倫理的な責任 契約書では「義務」を使いましょう。📋

使用例：

• 「甲は商品を納期までに納入する義務を負う」
• 「役員は会社に対する善管注意責務を負う」

📋 雛型活用時の注意点

雛型を使う際の法律用語チェックポイント

雛型は非常に便利なツールですが、法律用語の使い方を間違えると、せっかくの雛型が台無しになってしまいます。以下の点に注意して活用しましょう。

✅ 雛型活用の基本ルール

１．用語の意味を理解してから使用 雛型に書かれている法律用語の意味を必ず確認してから使用しましょう。「なんとなく」で使うと、思わぬトラブルの原因になります。

2. 自社の状況に合わせた用語選択 雛型の用語がそのまま自社に当てはまるとは限りません。例えば：

• 「売買」→「請負」や「委任」に変更が必要な場合
• 「商品」→「サービス」や「成果物」に変更が必要な場合
• 「買主」→「発注者」や「委託者」に変更が必要な場合

3. 用語の統一性確認 雛型を複数組み合わせて使用する場合、同じ概念を指す用語が統一されているか確認しましょう。

🔍 雛型でよく見つかる法律用語の間違い

間違い例1：時代遅れの用語 古い雛型には現在使われていない用語が含まれている場合があります。

• 「瑕疵担保責任」→「契約不適合責任」（2020年民法改正により）
• 「意思表示」→より具体的な表現への変更

間違い例2：業界特有の用語の混在 異なる業界の雛型を参考にする際は、業界特有の用語に注意が必要です。

• 建設業界の「請負」と IT業界の「請負」では意味が異なる場合がある
• 製造業の「検収」と サービス業の「検収」では手続きが異なる

間違い例3：権利義務関係の不整合 雛型をカスタマイズする際に、権利と義務のバランスが崩れることがあります。

• 「甲の権利」を削除したのに「乙の義務」が残っている
• 「損害賠償責任」の範囲と「免責事由」が矛盾している

💡 雛型活用を成功させるコツ

1. 複数の雛型を比較検討 一つの雛型だけでなく、複数の雛型を比較して最適な用語選択を行いましょう。

2. 最新の雛型を使用 法改正に対応した最新の雛型を使用することで、時代遅れの用語使用を避けられます。

3. 雛型提供元の信頼性確認

• 弁護士事務所作成の雛型
• 業界団体公式の雛型
• 官公庁提供の雛型 これらは信頼性が高く、適切な法律用語が使用されています。

4. 雛型使用後の専門家チェック 重要な契約書については、雛型を使用した後でも専門家によるチェックを受けることをお勧めします。

✅ 文書作成時のチェックポイント

1. 用語の統一性確認

同じ文書内で同じ意味の用語を使い分けていませんか？例えば「甲」と「発注者」を混在させると混乱の元になります。

2. 法律用語辞典の活用

不明な用語は必ず法律用語辞典で確認しましょう。「有斐閣 法律用語辞典」や「法律用語辞典 第4版」などが定番です。

3. 雛型の積極的活用

同業他社や業界団体の雛形を参考にすることで、適切な用語使用を学べます。雛型を使用する際は、単純にコピーするのではなく、各用語の意味を理解した上で自社の状況に合わせてカスタマイズすることが重要です。

4. 段階的なチェック

• 第1段階：自分でのチェック
• 第2段階：同僚・上司によるチェック
• 第3段階：専門家によるチェック

🚨 特に注意すべき用語

日常語と法律用語で意味が大きく異なる用語

• 善意・悪意：知らない・知っている
• 心裡留保：内心の意思と異なる意思表示
• 錯誤：勘違い（法的には意思表示の無効原因）

似ているが効果が異なる用語

• 解除・解約・取消：それぞれ法的効果が異なる
• 履行・実行・執行：使う場面が異なる
• 中止・中断・停止：状態の違いを表す

📖 継続的な学習方法

1. 判例研究

実際の裁判例を読むことで、用語の使い方とその効果を学べます。

2. 専門書の活用

「契約書作成の基本」「法律文書の書き方」などの実務書を読みましょう。

3. セミナー・研修参加

弁護士会や商工会議所主催の実務セミナーに参加することで、最新の動向を学べます。

🎯 まとめ

法律用語の正しい使い方をマスターすることで、より正確で効力のある文書が作成できます。最初は大変かもしれませんが、一つずつ確実に覚えていけば、必ず上達します。

重要なポイント：

• 日常語と法律用語の違いを意識する
• 似たような用語でも法的効果が異なることを理解する
• 不明な用語は必ず調べる
• 継続的な学習を心がける

困った時は無理をせず、専門家に相談することも大切です。完璧な文書を目指しながらも、実務的な観点から「相手に伝わる」「トラブルを防ぐ」ことを第一に考えましょう。

皆さんの法的文書作成スキルが向上し、ビジネスや日常生活でのトラブル防止に役立つことを願っています！ 🌟

この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的な案件については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。