退職代行はすっかり世の中に浸透しましたが、最近は「○○代行」のバリエーションがどんどん増えています。弁護士による「給与アップ代行」なんてものも登場しているんですよ。

そして今回取り上げるのが「休職代行」です。

まだ退職代行ほどメジャーではありませんが、今後利用が増えていく可能性があるサービスなので、企業担当者の方はぜひ押さえておきましょう！

📋 休職代行ってどんなサービス？

休職代行とは、休職したい従業員に代わって会社に休職の希望を伝え、その後の手続きをサポートするサービスです。

主なサービス内容はこちら👇

• 🩺 診断書取得の支援
• 📞 会社とのやりとりの代行・交渉
• 💰 傷病手当金申請のサポート

運営主体も退職代行と同様に多様で、民間企業（保健師や社労士が手掛けるもの）、弁護士、労働組合などがあります。

💡 ポイント

「会社や上司に『休ませてください』と言いにくい…」という方が、精神的負担を軽減するために利用するケースが多いようです。

⚡ 退職代行との決定的な違い

ここが超重要なポイントです！

退職 → 自分だけで決められる ✅

退職の意思表示は、従業員本人だけで完結します。

民法627条1項により、期間の定めのない雇用契約では、退職の意思表示から2週間で雇用関係が終了します。つまり、退職代行経由でも「辞めます」と伝えれば、それで効力が生じるんです。

休職 → 会社の判断が必要 ⚠️

一方、休職は全く違います。

そもそも休職制度は労働基準法に定められた権利ではなく、会社が独自に設ける制度です。会社のルールに基づいて、要件を満たした場合にはじめて認められるもの。

つまり…

「私は病気です。休職させてください」と言われても、休職要件を満たさなければ会社が応じる義務はない

ということになります。

🤔 休職代行から連絡が来たら何を求められる？

休職代行からの連絡パターンを整理してみましょう。

1️⃣ 就業規則・休職制度の確認

「御社の休職制度について教えてください」という問い合わせです。

急な入院などで本人が会社に行けない場合、家族や代行から連絡が来ることはあり得ます。基本的な制度内容については説明してあげて問題ないでしょう。

ただし、就業規則そのものの開示を求められた場合は、本人からの依頼であることを証明する資料の提出を求めましょう。

2️⃣ 休職発令の要求

「休職要件を満たしているので、休職を発令してほしい」という要求です。

ここで大切なのは、最終判断は会社が行うということ。

休職発令をしないまま連続欠勤を理由に解雇すると、後で有効性を争われる可能性があります。要件を正しく確認した上で、適切に判断することが重要です。

3️⃣ 傷病手当金の手続き

傷病手当金の申請は原則として本人が行いますが、代理人による申請も可能です。

⚠️ ただし注意！

社会保険労務士資格を持たない者が報酬を得てこの業務を行うのは違法です（社会保険労務士法27条）。

個人情報や病気に関することをやり取りするため、従業員本人の同意を示す証拠を必ず求めましょう。

4️⃣ 休職期間中の連絡窓口

事務連絡（診断書の提出など）は代行経由でもOK。

ただし、月1回の定期連絡など本人の様子を確認する目的のやりとりは、従業員本人から連絡させるべきです。話し方や雰囲気からも状態を把握できますからね。

5️⃣ 復職に向けてのやりとり

「復職可能の診断書を出すので復帰を認めてほしい」という連絡も想定されます。

しかし、復職判断は主治医の診断書だけでは不十分なケースも多いです。

• 主治医面談
• 産業医面談
• 本人面談
• 試し勤務

…など、会社の手続きを経てから正式な復職となることを説明しましょう。

💡 そもそも、会社と直接やりとりできない状態で「復帰できる」とは言えないのでは？という観点も大切です。

6️⃣ 法的な責任追及

実は、法的紛争に発展するケースのほとんどは…

• 過重労働でメンタル疾患を発症した
• パワハラが原因でメンタル疾患になった

という主張が含まれています。

安全配慮義務違反の損害賠償請求などに発展する可能性があるため、弁護士や労働組合からの連絡には特に注意が必要です。

✅ 初動対応チェックリスト

休職代行から連絡があったら、以下の手順で対応しましょう！

☑️ 1. 主体を確認する

代行会社？弁護士？労働組合？主体によってできることの範囲が異なります。

☑️ 2. 本人からの依頼であることを確認

受任通知、加入通知書、申込書など、本人の承諾を示す資料の提出を求めましょう。

☑️ 3. 何を求められているかを把握

休職制度の説明？休職発令？傷病手当金？具体的な要求内容を整理します。

☑️ 4. 就業規則を確認

自社の休職要件、適用条件をしっかり確認しましょう。

☑️ 5. 休職発令を検討

要件を満たしていれば休職発令を検討。休職命令書を準備し、休職期間中の連絡方法も決めておきます。

☑️ 6. 業務上災害・安全配慮義務違反の可能性を検討

単なる休職で済む話なのか、それとも後々紛争になりそうなのか…当該従業員の就労状況を確認しておくことをおすすめします。

📝 まとめ

休職代行は、退職代行と似ているようで全く性質が異なるサービスです。

一番大きな違いは、退職は従業員だけで決められるけど、休職は会社の判断が必要ということ。

この違いを理解した上で、適切に対応することが大切です。

今後、休職代行の利用は増えていく可能性があります。「うちには関係ない」と思わず、いざという時のために準備しておきましょう！💪