こんにちは皆さん！今日は契約書チェックでよく見落としがちなポイントについてお話しします。契約書は細かい文言の一つ一つが重要なので、チェックには細心の注意が必要です。私自身、契約書関連の仕事に携わる中で「ああ、ここをもっと注意すればよかった」と思うケースを数多く見てきました。今回はそんな経験をもとに、契約書チェックでありがちなミスとその対策について詳しくシェアしていきたいと思います！
期限や日付の見落とし ⏰
契約書には様々な期限が記載されています。契約期間、納品期限、支払期限など...。これらの日付が矛盾していないか、自社のスケジュールと合っているかの確認は欠かせません。「納品後30日以内に支払い」なのか「請求書発行後30日以内」なのかで大きく変わってきますよ！
特に気をつけたいのは、異なる条項間での日付の整合性です。例えば、契約開始日が第1条では「2025年5月1日」となっているのに、別の条項では「契約締結日より効力を生じる」となっていると混乱の原因になります。また、祝日や休業日の取り扱いについても明確になっているか確認しましょう。「営業日」と「暦日」の違いは大きいですからね！
契約書チェックの際は、全ての日付と期限を一覧にして、カレンダーにマークしておくと見落としを防げます。特に複数年契約の場合は、「3年ごとの見直し」や「5年後の自動更新」など長期的な期限にも注意が必要です。💡
責任範囲の曖昧さ 🤔
「甲は合理的な努力を行うものとする」など、抽象的な表現には要注意！何が「合理的」なのか明確になっていないと、後々トラブルの原因になります。できるだけ具体的な表現に修正することを心がけましょう。
例えば、「セキュリティ対策を適切に行う」という表現は、何をもって「適切」とするのかが不明確です。代わりに「業界標準のセキュリティプロトコルを採用し、少なくとも年1回のセキュリティ監査を実施する」というように具体的に記載することで、両者の認識のズレを防ぐことができます。
また、「最善の努力を尽くす」（best efforts）と「商業的に合理的な努力を尽くす」（commercially reasonable efforts）では法的な義務の程度が異なりますので、これらの表現には特に注意を払いましょう。自社が過度な責任を負わないよう、適切な表現を選ぶことが重要です。⚠️
違約金や補償の条件 💸
契約不履行時の違約金条項は、金額だけでなく発生条件もしっかり確認を。「遅延1日につき契約金額の0.1%」という条件は、長期の遅延で大きな負担になることも。自社が許容できるリスクなのか事前に検討しておきましょう。
違約金の上限規定があるかどうかも重要です。例えば「違約金の総額は契約金額の10%を上限とする」といった条項がないと、遅延が長引いた場合に想定以上の違約金を支払うことになりかねません。
また、不可抗力条項（フォースマジュール）の範囲も確認しておくべきポイントです。自然災害だけでなく、サイバー攻撃やパンデミック、政治的混乱なども含まれるか明確にしておくことで、予期せぬ事態に備えることができます。近年の世界情勢を考えると、この条項の重要性はますます高まっていますね。🌏
自動更新条項の見落とし 🔄
多くの契約には自動更新条項があります。「解約の意思表示が契約満了日の3ヶ月前までになければ自動更新」などの条項を見落とすと、解約したいタイミングで解約できないことも！カレンダーにリマインダーを設定しておくのがおすすめです。
自動更新と一緒に確認したいのが更新時の条件変更です。「更新時に料金が改定される場合がある」といった条項があると、予期せぬコスト増につながることも。特に長期契約の場合は、将来のビジネス環境の変化も考慮に入れて、柔軟な解約条件や料金交渉の余地を確保しておくと安心です。
社内では契約管理システムを導入して、満了日の半年前、3ヶ月前、1ヶ月前など段階的にアラートが出るようにしておくと、解約判断のための十分な検討時間が確保できます。特に複数の契約を管理している部署では必須のシステムですね。📆
準拠法と管轄裁判所 ⚖️
特に海外企業との契約では重要です。日本法が適用されるのか、海外の法律が適用されるのか、どこの裁判所で争うのかによって対応が大きく変わります。できるだけ自国の法律と裁判所を指定できるよう交渉するのがベストです。
また、訴訟以外の紛争解決手段（ADR）についても確認しておくと良いでしょう。仲裁条項がある場合、どこの仲裁機関を利用するのか、仲裁手続きの言語は何かなども重要なポイントです。国際商事仲裁は一般的に訴訟よりも迅速で柔軟な解決が期待できますが、仲裁判断は最終的であり上訴できないことが多いため、その点も理解しておく必要があります。
準拠法については、契約書の解釈だけでなく、知的財産権や個人情報保護など特定の事項については別の法律が適用される場合もあるので、細部まで確認することが重要です。国際的な契約では、こういった法的な細部が後々大きな影響を及ぼすことがありますので、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。🌍
契約変更手続きの確認不足 📋
「本契約の変更は書面によってのみ有効とする」という条項は、口頭での約束が無効になる可能性を意味します。逆に、この条項がない場合は口頭での変更も有効になる可能性があるので注意が必要です。
最近ではデジタル化が進み、「書面」の定義も変わってきています。「電子メールやオンライン上での合意も書面とみなす」といった条項があるか確認し、ない場合は追加を検討するとよいでしょう。
また、契約変更の承認権限を持つ人物や部署が明確に規定されているかも重要です。「甲乙双方の責任者が署名した場合にのみ有効」といった条項がある場合、現場レベルでの合意が法的に無効となる可能性があります。組織内での承認プロセスと契約上の変更手続きが一致しているか確認しておくことで、後々のトラブルを防げます。🖋️
知的財産権の帰属と利用条件 💡
特にシステム開発や制作物に関する契約では、成果物の知的財産権の帰属先が明確になっているかが重要です。「著作権は発注者に帰属する」となっていても、著作者人格権の不行使や二次利用の条件、ソースコードの提供義務などが規定されていないと、後々制約が生じることがあります。
また、既存の知的財産権と新たに生み出される知的財産権を区別して規定されているかも確認ポイントです。例えば、システム開発においてベースとなる既存のライブラリやフレームワークの権利はベンダーに残り、カスタマイズ部分のみ発注者に帰属するといった複雑なケースもあります。
さらに、第三者の知的財産権侵害に関する保証と補償についても明確になっているか確認しましょう。「成果物が第三者の権利を侵害していないことを保証する」という条項と、万が一侵害があった場合の対応（訴訟費用の負担、代替品の提供など）が規定されているかがポイントです。💭
守秘義務の範囲と期間 🔒
守秘義務条項は多くの契約に含まれていますが、その範囲と期間をしっかり確認することが重要です。「機密情報」の定義が広すぎると、通常の業務遂行にも支障をきたす可能性があります。
また、守秘義務の期間が「無期限」となっている場合、永久に情報管理の負担が続くことになります。実務的には、情報の性質に応じて3年、5年、10年など適切な期間を設定することが一般的です。特に技術革新の早い業界では、長期の守秘義務が実質的な意味を持たなくなることもあります。
さらに、契約終了後の情報の取り扱い（返却、廃棄、削除など）についても明確に規定されているか確認しましょう。クラウドサービスやバックアップシステムの普及により、完全な情報削除が技術的に困難な場合もあるため、現実的な対応が規定されているかがポイントです。🗝️
保証範囲とサポート条件 🛠️
製品やサービスの提供に関する契約では、保証の範囲とサポート条件を詳細に確認することが重要です。「瑕疵担保責任」や「品質保証」の内容と期間、「SLA（サービスレベル合意）」の具体的な数値目標（稼働率、応答時間など）が明確に規定されているかをチェックしましょう。
また、保証の除外事項にも注意が必要です。「自然災害による障害は保証対象外」「顧客による不適切な使用の場合は保証対象外」といった条件が適切に規定されているかを確認します。
サポート終了（EOL）やバージョンアップに関する条件も重要です。「メーカーによるサポート終了後1年間はサポートを継続する」「バージョンアップは年2回まで無償提供する」など、長期利用を前提とした場合の条件が明確になっているか確認しましょう。⚙️
個人情報の取り扱い 🔐
個人情報保護法の強化に伴い、個人情報の取り扱いに関する条項はますます重要になっています。委託先での個人情報の取り扱い条件、再委託の可否、情報漏洩時の対応と責任範囲などが明確に規定されているか確認しましょう。
特に国際的な契約では、GDPR（EU一般データ保護規則）やCCPA（カリフォルニア州消費者プライバシー法）など、地域ごとに異なる規制への対応が求められることがあります。クロスボーダーでのデータ移転に関する制限や、データ主体の権利（アクセス権、削除権など）への対応義務が規定されているかも重要なポイントです。
また、匿名化・仮名化データの利用条件や、統計データとしての二次利用の可否なども、ビジネス上の利益を確保するために確認しておくべき事項です。📱
契約終了時の移行支援 🚪
長期的なサービス提供やシステム利用に関する契約では、契約終了時の移行支援（トランジション）条項が重要です。「契約終了後も3ヶ月間は現行サービスを継続する」「データ移行のための技術支援を提供する」などの条件が規定されているか確認しましょう。
特にクラウドサービスやSaaSの利用契約では、契約終了時のデータ取り出し条件（形式、費用、期間など）が明確になっているかが重要です。データが事実上「人質」となり、サービス継続を余儀なくされるリスクを避けるためには、この条項の確認が欠かせません。
また、移行期間中の料金体系や、知的財産権の一時的利用許諾なども規定されているか確認すると良いでしょう。スムーズな移行のためには、契約締結時点でこれらの条件を明確にしておくことが重要です。🚶♀️
終わりに 🌟
契約書のチェックは時間がかかる作業ですが、将来のトラブルを防ぐための重要な投資です。一見煩わしく思えるこの作業も、実際にトラブルが発生した時のコストや時間、そして精神的ストレスを考えれば、十分に価値のある取り組みと言えるでしょう。
私自身の経験からも、契約書のチェックを怠ったために発生した問題は、予防に必要だった時間の何倍もの時間とコストを要することがほとんどです。「急いては事を仕損じる」という諺は、契約書チェックにこそ当てはまると感じています。
とはいえ、すべての契約書を完璧にチェックすることは現実的には難しいものです。重要度や金額に応じてチェックの深さを変える、チェックリストを活用する、専門家に相談するなど、効率的なチェック方法を取り入れることも大切です。
皆さんもぜひ上記のポイントを参考に、慎重に契約書をチェックしてみてください！少しの時間と注意が、将来の大きなトラブルを防ぐことにつながります。
