|
【1】書式概要
YouTuberやインスタグラマー、TikTokerなどインフルエンサーに商品やサービスのPRを依頼するとき、口約束だけで進めてしまうと後からトラブルになることがあります。「PR表記をしてくれなかった」「動画を勝手に削除された」「報酬のことで揉めた」——こうした事態を未然に防ぐために用意したのが、このセット書式です。
このセットには、①案件(PR)契約書、②PR表記に関する誓約書、③著作権帰属確認書の3点が含まれています。それぞれ単独でも使えますが、3点セットでそろえることで、契約・表記義務・権利関係という3つの柱をまとめてカバーできます。
案件PR契約書は、依頼する業務の内容・報酬・公開スケジュール・禁止事項・秘密保持・契約解除など、インフルエンサーとの取引全体を取り決める中心的な書類です。PR表記誓約書は、いわゆるステルスマーケティングを防ぐための書類で、2023年の景品表示法改正によって「#PR」「#広告」などの明記が義務化されたことへの対応として、インフルエンサー本人に誓約してもらうものです。著作権帰属確認書は、制作したコンテンツの権利がどちらに帰属するか——企業側がSNSや広告素材として転用できるかどうか——を明確にするための書類です。
主に活用される場面は、企業がインフルエンサーへ初めてPRを依頼するとき、単発案件ではなく継続的に起用したいとき、コンテンツを広告素材として二次利用したいとき、などが典型的です。実際にPR投稿をめぐる行政指導や炎上事例が増えており、法的なリスク管理という観点でも整備しておくべき書類といえます。
ファイルはWord形式(.docx)で提供しておりますので、会社名・報酬額・公開媒体などをご自身の状況に合わせてそのまま書き換えてお使いいただけます。
【2】条文タイトル
【案件PR契約書】
第1条(目的)
第2条(業務内容)
第3条(PR表記義務)
第4条(報酬)
第5条(納品・公開スケジュール)
第6条(著作権その他知的財産権)
第7条(商品・資料の提供)
第8条(禁止事項)
第9条(機密保持)
第10条(個人情報の取扱い)
第11条(再委託の禁止)
第12条(契約期間)
第13条(解除)
第14条(反社会的勢力排除)
第15条(損害賠償)
第16条(準拠法・合意管轄)
第17条(協議解決)
【PR表記誓約書】
第1条(PR表記の実施)
第2条(PR表記の具体的方法)
第3条(ステルスマーケティングの禁止)
第4条(法令・ガイドライン遵守)
第5条(違反時の対応)
第6条(誓約の効力)
【著作権帰属確認書】
第1条(著作権の帰属)
第2条(著作者人格権)
第3条(第三者コンテンツの取扱い)
第4条(肖像権・プライバシー)
第5条(コンテンツの削除・修正)
第6条(確認・精算)
【3】逐条解説
【案件PR契約書】
第1条(目的)
この条文は、契約全体の目的を宣言する入口です。「甲(企業側)が乙(インフルエンサー)に対して商品・サービスのPR動画や投稿の制作・公開を委託する」という取引の骨格を示しています。一見シンプルに見えますが、後で解釈の争いが生じたときに「この契約はそもそも何を目的としたものか」を確認するための基準になる、非常に重要な条文です。たとえば、「この契約はレビュー動画のためのものか、それとも広告投稿のためのものか」という認識のズレが生じたとき、第1条を起点に解釈することになります。
第2条(業務内容)
インフルエンサーに依頼する仕事の具体的な内容を定めています。コンテンツの制作、YouTube・Instagram・X・TikTokなど指定プラットフォームへの投稿、公開後の維持・管理(削除しないこと)、そしてその他の追加業務がここに含まれます。特に重要なのが「業務の詳細は別紙または書面で合意する」という仕組みです。実務では案件ごとに公開日時・媒体・動画の尺・ハッシュタグ・アーカイブ期間が変わります。それらを毎回本契約に書き直すのではなく、「業務仕様書」という別紙で管理することで、基本契約はそのまま使い回せる設計になっています。
第3条(PR表記義務)
2023年10月に景品表示法が改正され、「ステルスマーケティング(ステマ)」が正式に規制対象となりました。広告であることを隠して投稿するいわゆる「サクラ投稿」は法令違反となり、企業側にも行政処分が下されるリスクがあります。この条文は、そのリスクを防ぐために設けられています。YouTube動画なら「冒頭30秒以内に口頭と画面テキストで#PR表示」、静止画やストーリーズなら「画面内にPRタグを表示」、テキスト投稿なら「本文冒頭または末尾に#PR記載」と媒体別に表記方法を具体的に定めているのが特徴です。違反した場合は修正・削除と損害賠償義務も明記されています。
第4条(報酬)
報酬の金額・支払い方法・タイミングを定める条文です。金額の詳細は別紙「報酬明細」に記載する設計になっており、消費税の扱いも明記できます。特筆すべきはインボイス制度への対応で、インフルエンサーが適格請求書(インボイス)を発行できる事業者かどうかによって、企業側の消費税の控除に影響が出ます。この条文では「インボイス発行があれば振込で支払う」「発行できない場合は別途協議」と対応を分けており、2023年10月以降のインボイス制度に対応した設計になっています。たとえば個人のインフルエンサーが免税事業者であれば、報酬の消費税分を控除できないため、その取扱いを先に決めておくことがトラブル防止になります。
第5条(納品・公開スケジュール)
コンテンツの初稿提出から公開までの流れを整理しています。乙(インフルエンサー)が初稿を提出→甲(企業側)が確認・承認→合意した日時に公開、という3ステップを規定しています。確認期間内に修正指示がなければ承認とみなす「みなし承認」の仕組みも盛り込まれており、作業が止まるのを防ぎます。また、インフルエンサー側の都合で公開が遅れた場合の遅延損害金も設定できます。商品のキャンペーン時期に合わせて動画を公開したい場合など、タイミングが命取りになるケースでは特に重要な条文です。
第6条(著作権その他知的財産権)
制作されたコンテンツの著作権がどちらに帰属するかは、PR案件で最もよく揉める問題のひとつです。この条文では「帰属については別紙の著作権帰属確認書に従う」とシンプルに定め、詳細は別紙に委ねる構造になっています。あわせて、著作者人格権(著名なクリエイターが「自分の作品を改変するな」と主張できる権利)の不行使も明記しています。これにより、企業側がPRコンテンツを広告素材にトリミング・編集して使う際に、インフルエンサーから「改変に同意しない」と言われるリスクを防ぎます。
第7条(商品・資料の提供)
企業がPRのためにインフルエンサーへサンプル品や資料を提供する場面を想定した条文です。商品の所有権は企業側に留まること、業務終了後は返却または廃棄すること、転売・譲渡を禁じることを明確に定めています。実際に「提供したサンプルがフリマアプリで売られていた」という事例もあり、こうしたトラブルを予防するために必要な規定です。高額な機器や未発表商品を提供する場合は、特に重要な条文となります。
第8条(禁止事項)
インフルエンサーが絶対にしてはいけない行為を列挙しています。主なものは、誇大広告・虚偽表示(景品表示法・薬機法違反になり得る)、企業の承認なき商品の改変・混同、競合他社商品の優位比較、第三者の著作権・肖像権侵害、有害プログラムの埋め込み、差別的・侮蔑的表現、その他法令違反の行為です。美容・健康系の商品PRでは特に薬機法の問題が起きやすく、「飲むだけで痩せる」「肌が3日で変わる」といった誇大表現が含まれると企業側も行政指導を受けるリスクがあります。この条文でそうした表現を事前に禁じることで、両者のリスクを管理します。
第9条(機密保持)
PR業務の過程で知った企業の内部情報——報酬額、マーケティング戦略、未発表の新商品情報など——を外部に漏らしてはならない、という義務を定めています。インフルエンサーは複数企業の案件を掛け持ちすることも多く、競合に情報が流れるリスクがあります。契約終了後2年間はこの義務が続く設計になっており、長期にわたる情報保護を担保しています。
第10条(個人情報の取扱い)
PR業務の過程で甲乙の間でやりとりされる個人情報(インフルエンサーの住所・口座情報や、企業側の担当者情報など)を適正に管理する義務を定めています。個人情報保護法に基づく取扱いを明示することで、万一の情報漏洩リスクに対して双方が責任感を持って臨む姿勢を示すことができます。
第11条(再委託の禁止)
企業が特定のインフルエンサーを選んで依頼したにもかかわらず、そのインフルエンサーが勝手に別の人に制作を任せてしまうことを防ぐ条文です。「YouTuberのAさんを選んだのに、実際に制作したのは別の人だった」という事態は、ブランドイメージや信頼の観点から許容できないケースがほとんどです。企業の書面による事前承諾がある場合のみ再委託を認める構成になっています。
第12条(契約期間)
本契約がいつからいつまで有効かを定めています。基本的には「締結日から納品・公開完了日まで」ですが、別途アーカイブ維持義務(動画を一定期間削除しない義務)を合意した場合はその終了日まで延長される設計です。また、報酬支払義務・秘密保持義務・著作権条項については契約終了後も引き続き有効とする「存続条項」を明記しており、契約が終わっても権利・義務の一部が残ることを担保しています。
第13条(解除)
一定の事由が生じた場合に契約を解除できる条文です。相手方が契約に違反して是正しない場合、破産などの経済的な危機が生じた場合、反社会的勢力との関係が判明した場合、公序良俗に反する行為や企業の評判を著しく傷つける行為があった場合に、催告(事前の通知)なく即時解除できます。インフルエンサーが炎上したり、不祥事を起こしたりした場合も「信用毀損」として解除権が発動しうる仕組みです。解除後の報酬返還については個別協議とすることで、実態に応じた柔軟な対応が可能です。
第14条(反社会的勢力排除)
甲乙双方が、現在も将来も暴力団などの反社会的勢力でないこと、関係を有しないことを互いに表明・保証する条文です。現代の企業契約では標準的に盛り込まれる条文であり、取引先・提携先の審査においても「反社条項が入っているか」が確認されることがあります。インフルエンサー側との契約でも省略すべきではありません。
第15条(損害賠償)
契約違反によって相手方に損害を与えた場合の賠償義務を定めています。特徴的なのは「甲(企業側)の乙(インフルエンサー)に対する損害賠償責任の上限を支払い済みの報酬総額とする」という上限設定です。企業がインフルエンサーに対して過大な賠償を求められるリスクを限定する趣旨ですが、故意・重大な過失による場合はこの上限が適用されない設計になっています。
第16条(準拠法・合意管轄)
万一、契約を巡って裁判になった場合、日本法が適用され、東京地方裁判所または企業の本店所在地を管轄する裁判所を第一審の裁判所とすることを定めています。インフルエンサーが地方在住であっても、原則として企業側の地元の裁判所で解決できる仕組みです。海外拠点を持つインフルエンサーと取引する場合は、この条文の内容を特に慎重に確認することをお勧めします。
第17条(協議解決)
契約書に明記されていない事項や解釈に疑義が生じた場合は、双方が誠意を持って話し合いで解決することを定めています。いわゆる「一般条項」と呼ばれるもので、契約の最後に置かれることの多い条文です。網羅的な契約書であっても予期しない事態は起こりえます。この条文があることで、「契約書に書いていないから知らない」という態度を封じることができます。
【PR表記誓約書】
第1条(PR表記の実施)
インフルエンサーが広告・PR・タイアップであることを視聴者に「明確に識別できる方法で」表示することを義務づける核心条項です。消費者庁が2023年10月に施行した「ステルスマーケティング告示」では、一般消費者が広告と認識できるよう表示することが義務化されました。単にPRと表記すれば足りるのではなく「明確に識別できること」が求められており、この誓約書はその義務をインフルエンサー個人に落とし込む機能を果たしています。
第2条(PR表記の具体的方法)
「どの媒体でどのように表記するか」を具体的に列挙しています。YouTube動画ではサムネイル・タイトルまたは冒頭30秒以内に表示し説明欄にも記載すること、Instagram・X・TikTokでは本文冒頭または投稿内に#PRや#広告などを付けること、その他の媒体では貴社と協議して決めること——とプラットフォームごとに整理されています。「PR表記はしました」と言いながら動画の概要欄の最下段に小さく書いただけ、といったケースを防ぐための具体的なルール設定です。
第3条(ステルスマーケティングの禁止)
広告であることを隠した宣伝行為(ステルスマーケティング)の全面禁止を宣言しています。2023年の改正以降、ステマは景品表示法違反として企業側に措置命令が下される可能性があります。過去には大手企業がインフルエンサーに依頼した投稿がステマ認定されて炎上した事例もあります。この誓約書はそうした事態が起きた際に「企業は義務を周知していた」という証拠にもなりますが、むしろ誓約を通じてインフルエンサー自身の意識を高めることに意義があります。
第4条(法令・ガイドライン遵守)
景品表示法、薬機法、健康増進法など関連する法律・ガイドラインを誓約者が遵守することを確認する条文です。特に美容・健康・医療・食品分野のPRでは薬機法の規制が厳しく、「シミが消える」「免疫力が上がる」といった表現が薬事的な効能・効果の標榜として違反になり得ます。こうした分野の案件を依頼する企業にとっては、この条文がリスク管理上とりわけ重要な役割を持ちます。
第5条(違反時の対応)
誓約に違反した場合または企業から是正を求められた場合の対応を定めています。問題のあるコンテンツをただちに修正または削除すること、さらに企業が被った損害(行政処分・課徴金・謝罪広告費用・弁護士費用を含む)を賠償することが明記されています。「#PRを付け忘れた」という事態でも、行政に目をつけられた場合の対応費用は高額になることがあります。その費用負担の所在をあらかじめ明確にしておくことで、発生後の争いを防ぎます。
第6条(誓約の効力)
この誓約書がいつまで有効かを定めています。「コンテンツの公開日から当該コンテンツが全媒体から削除されるまで」という設定で、動画や投稿が存在し続ける限り誓約の効力が継続します。「契約が終わったので関係ない」という言い訳を封じる条文であり、過去に公開されたコンテンツについても義務が生き続けることを確認するものです。
【著作権帰属確認書】
第1条(著作権の帰属)
制作されたコンテンツの著作権が誰に帰属するかを明確にする中心的な条文です。「甲(企業)帰属」「乙(インフルエンサー)帰属+利用許諾」「個別合意」の3パターンからチェックボックスで選べる設計になっています。実務的には、企業がSNS広告や自社サイトに転載・再利用したい場合は「甲帰属」か「乙帰属+利用許諾」を選ぶことが多いです。たとえばコスメブランドがインフルエンサーのレビュー動画を切り取って広告に使いたい場合、著作権の処理が曖昧だと「転載は認めていない」と言われてしまいます。この確認書で事前に権利関係を整理しておくことで、コンテンツの二次利用がスムーズになります。
第2条(著作者人格権)
著作者人格権とは、クリエイターが自分の作品に対して持つ精神的な権利——公表する権利、氏名を表示する権利、作品を改変させない権利——のことです。著作権(財産的な権利)は譲渡できますが、著作者人格権は原則として譲渡できません。つまり、著作権を企業に渡したとしても、インフルエンサーが「自分の作品を改変するな」と主張できる権利は残ります。この条文では、企業がPR目的でコンテンツを公表・編集・二次加工する範囲においては著作者人格権を行使しないとインフルエンサーに約束してもらうことで、実務上の障壁を取り除いています。
第3条(第三者コンテンツの取扱い)
動画制作では、BGM・効果音・フォント・フリー素材の画像など、第三者のコンテンツを使用することが少なくありません。この条文は、それらの素材について事前に適切なライセンスを取得する義務をインフルエンサーに課し、もし権利侵害が起きた場合はインフルエンサーが自己の費用と責任で解決することを定めています。たとえば、BGMに無断で著作権管理楽曲を使ってYouTubeの収益化停止になったり、権利者から削除要請が来た場合でも、その処理はインフルエンサー側が対応することになります。
第4条(肖像権・プライバシー)
コンテンツに第三者(友人・家族・通行人など)の顔が映っている場合、その人の同意を事前に取得することを義務づける条文です。本人の許可なく顔を公開することは肖像権の侵害となり、場合によってはプライバシーの侵害にも該当します。インフルエンサーが屋外でのロケ動画を制作したり、複数人が登場するコンテンツを制作する場合に注意が必要です。万一、同意取得を怠ったことで損害が生じた場合は、インフルエンサー側が負担することが明記されています。
第5条(コンテンツの削除・修正)
契約が終了したり企業側から要請があった場合に、コンテンツを削除・修正する義務を定めています。PR動画は「案件が終わったら消してほしい」と言われることも多く、逆に「ずっと残しておいてほしい」という要望もあります。この条文は「企業の書面による要請があれば合理的期間内に削除する」という基本ルールを設け、削除後のデータ取扱いは別途協議する設計です。たとえば商品の販売終了や成分変更があった場合に古いPR動画が残り続けると誤情報になるため、削除できる権限を確保しておくことは企業側にとって重要です。
第6条(確認・精算)
この確認書が、元の案件PR契約書の一部を構成することを明確にする条文です。もし本確認書の内容と元の契約書の内容が矛盾した場合には、この確認書の規定が優先します。著作権は案件ごとに条件が異なるため、確認書によって個別の権利処理ができる仕組みになっています。
【4】FAQ
Q. このセットは企業側が用意するものですか、インフルエンサー側が用意するものですか?
A. 基本的には依頼する企業(広告主)側が準備します。インフルエンサーは受け取った書類を確認して署名・押印するケースが多いです。企業の法務担当やマーケティング担当が雛型として活用してください。
Q. フォロワー数が少ないマイクロインフルエンサーへの依頼でも使いますか?
A. はい。フォロワー数に関わらず、PR案件である以上は景品表示法・ステマ規制の対象です。むしろ比較的小規模な案件ほど書面化が後回しにされがちで、トラブルのリスクがあります。積極的にご活用ください。
Q. 個人のYouTuberと取引する場合、印紙は必要ですか?
A. 業務委託契約書は原則として「請負契約」に該当する場合、記載金額によって印紙が必要になります。ただし、電子データで締結する場合は印紙税が課されません。紙で締結する場合は税理士や税務署にご確認ください。
Q. 著作権は企業側に譲渡するほうがよいですか、インフルエンサー側に残すほうがよいですか?
A. 用途によって変わります。企業がコンテンツを広告素材として二次利用する予定があれば「甲帰属(企業帰属)」か「乙帰属+利用許諾」を選ぶと安全です。インフルエンサーのポートフォリオや実績として利用させたい場合は「乙帰属+限定的利用許諾」という形も一般的です。著作権帰属確認書のチェックボックスで選択できる設計になっています。
Q. PR表記誓約書は案件PR契約書とセットで必ず使うものですか?
A. セットでの使用を推奨しています。案件PR契約書にもPR表記義務の規定(第3条)はありますが、誓約書を別途取り交わすことで、インフルエンサー本人に義務の重さを認識させる効果があります。また、複数の案件を継続的に依頼する場合に「誓約書は最初の一回だけ取得する」という運用も可能です。
Q. インボイス制度に未対応の個人インフルエンサーへの支払いはどうすればいいですか?
A. 第4条第4項に「インボイス発行事業者でない場合は別途協議する」という規定があります。実務的には、仕入税額控除ができない分を報酬から差し引くか、そのまま支払うかを交渉で決めることになります。なお、経過措置期間中は一定割合の仕入税額控除が認められる場合もあるため、税理士にご相談ください。
Q. 英語版や中国語版も必要ですか?
A. 本セットは日本語版のみです。海外のインフルエンサーや外国語話者と取引する場合は、別途バイリンガル版の契約書をご検討ください。
Q. 動画を公開後にインフルエンサーが炎上した場合、契約を解除できますか?
A. 案件PR契約書の第13条(解除)に「公序良俗に反する行為または甲の信用を著しく毀損する行為」を解除事由として列挙しています。インフルエンサーの不祥事や炎上が企業のブランドに重大な影響を与えると判断される場合、この条文に基づいて契約を解除し、コンテンツの削除を求めることが可能です。
【5】活用アドバイス
このセットは、案件PR契約書・PR表記誓約書・著作権帰属確認書の3書類が相互に参照し合う設計になっています。案件PR契約書の第6条(著作権)は「別紙の著作権帰属確認書による」と定めており、著作権帰属確認書の第6条も「原契約の一部を構成する」と定めています。そのため、必ず3点セットで整えることを前提に活用してください。
書き替えが必要な箇所には「●●●●」が入っています。会社名・報酬額・確認期間・公開媒体・管轄裁判所などを貴社の状況に合わせて修正してください。報酬金額や業務詳細は「別紙」に書く設計なので、本文はほとんど変更せずに使い回すことができます。
インフルエンサーへの初回依頼時には3点すべてを使用し、2回目以降は案件PR契約書の更新と業務仕様書の差し替えで対応する、という運用が効率的です。PR表記誓約書と著作権帰属確認書は初回のみ取得し、以降は継続運用するという整理も可能です。
消費者庁のステマ規制は施行後も運用ガイドラインが随時更新されています。PR表記の方法や具体的な文言について、最新の消費者庁ガイドラインも定期的にご確認いただくことをお勧めします。
|